キャトルミューティレーションとは、家畜の体や内臓が切り取られ、血液が抜かれるといった奇怪な現象である。
この不思議な事件は1970年代のアメリカで多発したが、事件の前後に未確認飛行物体の目撃情報があることや惨殺方法の異常性から、宇宙人の仕業だと考えられた。
この記事では、謎の家畜惨殺事件「キャトル・ミューティレーション」の正体と、その真相に近づき過ぎたため奇妙な人生を送ることになってしまった「デーン・エドワーズ」という人物をご紹介する。
- 謎の家畜惨殺事件「キャトル・ミューティレーション」の正体について
- その真相を知った「デーン・エドワーズ」という人物の奇妙な人生について
キャトルミューティレーションの正体

キャトルミューティレーション。謎のウシ惨殺事件の原因は次の説のどれかだと考えられている。
- エイリアン説
- ブラックヘリコプター説
- チュパカブラ説
- 自然原因説
- 人間説
- カルト・悪魔崇拝者説
- 政府・軍事実験説
エイリアン説

1974年、アメリカで最初のキャトルミューティレーションが確認された。その数か月後、ネブラスカ州の複数の牧場でウシに被害があった夜にUFOが目撃された。
グレイのようなエイリアンが人間の遺伝子を使って研究しているうちに、ウシの惨殺に行き着いたという話がある。エイリアンはウシを使って放射線の実験をおこなっていて、それは核による滅亡から人類を守るためだという噂だ。
UFOが目撃される時間帯は夜でウシの惨殺がおこなわれる前が多い。ウシはUFOを見ると落ち着きが無くなり、暴れ出すこともあるという。
ブラックヘリコプター説

UFOの目撃証言が出たのとほぼ同時期に、多くの牧場主がキャトルミューティレーションが起きる前に怪しい黒いヘリコプターを目撃している。
2002年、国立発見科学研究所はユタ州キャッシュ郡の2人の警察官から奇妙な報告を受けた。1つは、キャトルミューティレーションの被害が多発したこの地域の牧場主が事件との関連を疑っている所属不明の航空機を見つけるためにパトロール隊を組織していたということだ。
もう1つは、1976年キャッシュ郡にある小さな空港で数人の男性が所属不明の黒いヘリコプターに遭遇したと主張していたこと。この謎のヘリコプターを目撃後、約5年間はキャトルミューティレーションの被害は無かったという。
1979年4月8日には、ニューメキシコ州ダルシーで16頭のウシがキャトルミューティレーションの被害にあったあと、現場周辺をホバリングしている米軍のものとよく似ている黒いヘリコプターを3人の警察官が目撃している。
1974年7月には、アイオワ州の非法人コミュニティーの農場でも所属不明の白いヘリコプターと黒い飛行機の2機が突然あらわれ、発砲してきたとの通報があった。
ヘリコプターが、この事件に関与しているという話は一部のウシがかなりの高さから「落とされた」ということを説明するのに使われている。こうした飛行物体の存在が明らかになれば、家畜が上空に運ばれて惨殺され、用が済めば投下されるという説にも信憑性が出てくるものだ。
ブラックヘリコプターは政府の極秘プロジェクトや新世界秩序と関連づけられている。アメリカ市民が恐怖した謎の飛行物体「ブラックヘリコプター」についてはこちらの記事で取り上げている。

チュパカブラ説
キャトルミューティレーションの犯人が自然界の動物であるなら、それはオオカミやコヨーテ、未知の捕食者の仕業かもしれない。
その中でも未知の捕食者といえば、チュパカブラが最有力候補として上がってくる。おもに中央アメリカに住む謎めいた怪物チュパカブラは「ヤギ食い」とも呼ばれ、ウシを襲ったとしても不思議はない。
狂暴なUMA(未確認生物)として知られる「チュパカブラ」については、こちらの記事で取り上げている。

自然原因説

キャトルミューティレーションの原因が自然現象だとする説は、多くの実験で検証されている。実験では死亡したウシの死体を野原に置き、48時間観察する。すると、48時間以内に膨張により、皮膚を切開したような裂傷が起きた。
この切開部分は、これまでに報告されたレーザーによる外科的な切断と一致し、クロバエとウジの捕食行動はウシの軟部組織の損傷と一致したという。多くの科学者や獣医はウシは自然の原因で死亡し、捕食者や寄生虫、府肉食動物によりこの現象が引き起こされたと考えている。
だが、一部の牧場主は、この自然死説に異議を唱えている。その理由は被害にあったウシが健康で病気の兆候もなく、捕食者の標的にならないほど大きくて強かったからだとしている。また、被害にあったウシが群れの中で最も健康で強いウシだったと主張する牧場主もいる。
口や唇、肛門、性器の欠落・切断の原因
- 脱水による欠落や損傷部位の収縮によるもの
- 皮膚が薄くもろい部分から消費したり、侵入するスカベンジャーや寄生虫によるもの
目や内臓消失の原因
クロバエなどの府肉食昆虫やハゲタカによるもの
血液が抜き取られる原因
- 死亡したウシの体の最下点に血液が溜まり、有機成分が分解される
- 傷口や体外の血液は昆虫に消費されたり、太陽による乾燥で消失する
レーザーで切断したような皮膚の外科的な切れ味について
これらの要因により皮膚はレーザーで切断したような直線的な切れ目になるという。
- ウシの死後、肥大化した皮膚が引き伸ばされる
- 脱水により引き裂かれる
- 収縮により裂ける
- スカベンジャーや捕食者による切開
人間説

人間説は動物を虐待することで喜びや性的興奮を得る人間の仕業とする説である。世界中で人間による動物への残虐行為が確認されている。
攻撃対象は猫や犬といった小型なものから、羊や牛、馬などの大型動物までとなっている。虐待の手段としてはナイフや手術器具を使って動物を切断した事例も確認されている。
もう一つは、お金の問題。この場合は牧場主が家畜の保険金目当てに自作自演をおこなった可能性が考えられる。毒殺や病死では牧場側の管理ミスを指摘されかねないが、傷による不審死の場合、ウシの売値の何倍もの保険金を手に入れることができるという噂だ。
カルト・悪魔崇拝者説

ウシの切断、惨殺事件の原因がカルトや悪魔崇拝者にあるとする説。この説を支持する人たちはカルトや悪魔崇拝の儀式にウシの死体が使われたと主張し、次のように考察している。
- 被害にあった動物の血液が抜かれているのはカルトメンバーが採取しているから
- ウシの臓器が無くなっているのは儀式で使用するために取り出しているから
- ウシを惨殺するのは儀式で生贄として使用する子ウシを手に入れるため
この説は1970年代から80年代にかけてアメリカで広まったが、それはカルトによる悪魔崇拝の儀式に国民の関心が高まっていた時期だった。
結局、FBIとATF(アルコール・タバコ・火器取締り局)は、カルト集団や悪魔崇拝者が儀式で利用する生贄にするために家畜に手をかけたとする明確な証拠を見つけることはできなかった。
政府・軍事実験説

1997年、キャトルミューティレーションの研究家チャールズ・オリファントは、この現象は政府による新たなウシの病気の極秘研究の結果で人間にも感染する可能性があると推察した。
生化学者のコルム・ケンハーは、キャトルミューティレーションは狂牛病の蔓延を追跡するためにアメリカ政府がおこなった極秘プロジェクトの可能性が高いと主張した。
また、一説には「ブラックヘリコプター」や「チュパカブラ」も軍の極秘実験の産物とされている。もし、この2つがキャトルミューティレーションに関係しているとしても政府・軍事実験説に当てはまる。
デーン・エドワーズの奇妙な失踪

1975年7月、ジャーナリストの「デーン・エドワーズ」はキャトルミューティレーションの真相に迫るべく、調査を開始した。当初、彼はカルト説を支持していたが、のちに政府真相説の線で事件を追うようになっていった。
エドワーズが記事を投稿し、「アメリカ政府がベトナムで使用する生物兵器を開発するために牛の部位で実験している」という説を唱えると、すぐさま正体不明のエージェントからの脅迫に悩まされることになった。
1975年10月、エドワーズはガゼット紙(コロラドスプリングス・ガゼット・テレグラフ)に「キャトルミューティレーションに関する一連の事件の背後にはアメリカ政府の極秘プロジェクトがある」という記事を書いた。そして、主要な新聞社がこの事件を報道しないのは政府から圧力がかかっているからだと批判した。
彼はFBIがこの事件に乗り気じゃないことに不満を漏らしながら、自分の人生をかけてでもキャトルミューティレーションの真相を暴く本を書くと宣言した。
エドワーズは家族を南部の安全な場所に転居させるために新聞社を辞め、ひとり行方をくらました。1975年12月5日、エドワーズの妻は彼の指示どおり、警察に行方不明者の届け出(捜索願い)を提出した。
数年後、テキサス州タイラーに再び姿を現した時、エドワーズは「デビッド・エルズワース」と名乗っていた。彼は「保安官事務所と麻薬捜査官の不正」を暴いた本を出版すると、大スキャンダルに発展し、エルズワースはエドワーズだった時のようにまた殺害の脅迫を受けるようになり雲隠れを余儀なくされるのだった。
1990年代なかば、再び姿を現したエルズワースはメキシコで17の大学で採用された第二言語としての英語学習プログラム「IAAP」を開発した名誉博士になっていた。
その後、エルズワースはアメリカとメキシコの歴史的関係を考察した本やロマンス小説、その他の本を執筆した。だが、彼の人生を翻弄し続けた「キャトルミューティレーション」に関する本はいまだ書かれていない。
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