コトリバコとは、複数の木のパーツで組み立てられた「からくり箱」を使った呪術である。
俗に言う「からくり箱」は、特殊な細工が施されており、決められた順番に木箱の部品を操作しなければ開かない仕組みになっている、いわゆるパズルゲームのようなものだ。
対して、コトリバコに仕込まれているカラクリは、パズルゲームのように娯楽を享受する物ではなく、人に苦を与え、命を奪う「呪い」である。
今回は、かつてネット掲示板2チャンネルのオカルト板でも話題になった怖い話「コトリバコ」の呪いについて見ていこう。
コトリバコの起源は2ch?
コトリバコの起源については、いまだにハッキリとは分かっていない。
しかし、その時代背景が「1860年代後半頃」だと初めて語られ出したのは、ネット掲示板2チャンネルのオカルト板だったという。
コトリバコの舞台は島根県
そして、コトリバコの舞台は現在の島根県に当たる「出雲の国」だったそうな。
その当時、出雲の国には周辺地域から酷い迫害、差別を受けていた部落が存在した。
この部落に1868年に起きた隠岐騒動(おきそうどう)に関わったとされる男が落ち延びてきたことが全ての始まりだったとされる。
コトリバコのあらすじ
男が部落にやってくると、住民はスグに彼を始末しようとした。
というのも、普段から陰鬱な差別と迫害に耐え続けていた住民にとって、厄介ごとが増えることで、部落への迫害がエスカレートすることを怖れたからだ。
しかし、住民たちが男に襲いかかろうとしたその時、「自分を助けてくれたら強力な武器をやる」と男は村人たちに取引を持ちかけるのだった。
その武器とは「コトリバコ」のことで、取引とは「男がハコの作り方を教える」ということだった。
コトリバコの作り方
住民たちは強力な武器が手に入るならと、男との取引に応じ、謎の男によるコトリバコの作り方講座が始まった。
まず、箱を作るには、非人道的な行為に手を染める覚悟が必要なのだと男は言ったが、日々、迫害に怯えていた住民たちは背に腹は代えられないと、覚悟を決め言う通りにした。
男はコトリバコの作り方を伝えた。
- 寄せ木細工の「からくり箱」を用意する
- 箱の中を動物のメスの血液で満たす
- 箱の中に「水子の死体」の一部を入れる
- 箱を決して開けられないように厳重に封をする
- 呪いたい人物に箱を渡し、もっともらしい理由をつけて箱を身近な場所に置かせる
- 呪われた者は血反吐を吐き、苦しみ悶えながら死ぬ
コトリバコの呪いは一族を根絶やしにするもの
ここで誤解のないように説明しておくが、「コトリバコの呪い」は箱を受け取った人物が呪われるわけではない。
呪いを受けるのは、箱を受け取った人物が属している一族の将来を担うとされる、
- 幼い子ども
- 子を産める女性
に限られる。
つまり、コトリバコの本質は文字のごとく「子を取る」ことで、呪いたい一族の子孫(子どもたち)を根絶やしにすることにある。
なので、以下のような人物は呪いの対象外とされる。
- 一定の年齢以上の男性
- 閉経を迎えた高齢女性
ただし、上記の者であっても、まれに呪いを受けてしまうことがあるという。
もう、どっちやねんって。
その際には、内蔵がねじ切れて血を吐きながら死んでいくという。
コトリバコは呪いの強さを変えられる
コトリバコは、箱の中に入れる水子の数を多くしたり、少なくしたりして呪いの強さを変えられるのだという。
水子の数が多ければ多いほど、呪力の効果は増す。
また、コトリバコの呪いには名前が付いていて、出世魚のごとく、水子の数が増えていくに従って名前を変えていく。
- 1人:イッポウ
- 2人:ニホウ
- 3人:サンポウ
- 4人:シホウ
- 5人:ゴホウ
- 6人:ロッポウ
- 7人:チッポウ
- 8人:ハッカイ
- 9人:クダラ
- 10人:ジッカイ
とくに、9人目、10人目のクダラやジッカイまで来ると、もう手が付けられないぐらいヤバいレベルだという。
具体的には、呪う側も「呪い返し」を食らって命を落とす危険性があるという。
つまり、「人を呪わば穴二つ、いっぺん死んでみる?」という奴だ。
コトリバコの真相
コトリバコの「コトリ」とは、皆さんもすでにお気付きのとおり、
- 子取り
- 小鳥
の2つの言葉をかけたものになっている。
また、この話は島根県の隠岐から中国地方山間部が舞台となっているが、実際にはこの地域にコトリバコの伝承は存在しないし、史実としての隠岐騒動との関連も怪しいものである。
しかしながら、隠岐に住んでいる人にコトリバコの話をすると高確率で「ああ、それは〇〇さんのことだね」という反応が返ってきて地味に怖いという話もあるそうだ。
これには、現在、隠岐に住む方々の心の暖かさ、懐の深さ、ノリの良さに感謝するほかないだろう。
コトリバコの半分は思いやりで(ry