ヴォイニッチ手稿は1912年にイタリアで発見された「奇書」である。
発見したポーランド系アメリカ人の古書収集家ウィルフリッド・ヴォイニッチ氏の名前を取って「ヴォイニッチ手稿」と呼ばれている。
これまで多くの言語学者や歴史学者が解読にチャレンジしたが、現在でも内容のすべては解明に至っていない。
この記事では、摩訶不思議で解読困難な本、ヴォイニッチ手稿について紹介していく。
- ヴォイニッチ手稿について
ヴォイニッチ手稿は危険
ヴォイニッチ手稿は危険だという話は、かつてインターネット掲示板2ちゃんねるの「ヴォイニッチ手稿読めるけど、質問ある?」というスレを立ち上げたスレ主のエピソードに由来している。
スレ主はヴォイニッチ手稿や異世界についての質問に対し、次のように答えている。
- スレ主は異世界(植生世界)に行くことができる
- 毎日、就寝前にめまいがして気がつくと異世界にいる
- 異世界へは時空門を通って行き来している
- ヴォイニッチ手稿の作者も時空門を通った
- 言葉は植生世界で習った
- ヴォイニッチ手稿は、人間と植生植物の関係、人間と植生動物の関係、アダムとイブの関係について書いてある
- 非常に危険なため全文の翻訳と解説付きで世間に公表する気はない
- 解説付きで公表したら、悪用されるため危険
- 今後この世界が植生世界に変化することはない
- この世界は人間が最後に戦争を起こして滅びる
- 後ろから29ページ目には、植物の名前と危険性、食べれるかどうかについて書いてある
- 時空門は時空の門番(時空のおっさん)がいる所
- 別スレ「異世界で時空のおっさんに会いヴォイニッチ手稿も読めるようになった」のスレ主コードネームNとは知り合い
- ヴォイニッチ手稿の作者は遺言として手稿を制作した
- この世界と異世界の魂の交換が行われることを伝えたかった
- 魂の交換が行われるのは第一から第九宇宙までのすべての生物
- 異世界には別の自分がいて、その別の自分と魂が入れ替わる
- 魂の交換が行われるのは浄化のため
- 植生世界は第三宇宙にある
ヴォイニッチ手稿の危険性
スレ主は、ヴォイニッチ手稿が下記のことに触れているため、全文翻訳と解説を公表する気はないと述べている。
- 人間と植生植物、植生動物の関係
- アダムとイブの関係
もし、解説付きで公表すれば悪用されるので危険だと主張している。
肝心の「何」が危険なのかは明らかにされていないが、前半部分の「人間・植物・動物・アダムとイブ」といったキーワードから察するに、おそらく「生物の起源やDNA的なものの秘密」が記されているということだろうか。
後ろから29ページ
後ろから29ページ目には「植物の名前と危険性」、「食べれるかどうか」について書いてあるという。
ここにも「危険性」という言葉が出てくる。我々の住むこの世界は、お金が世界を支配しているが、このスレ主の語る異世界では「植物」が危険な存在であり、植物がすべてを支配しているのだろうか。
ヴォイニッチ手稿を読める男の話「記憶が2つあるんだが・・・」
インターネット掲示板2ちゃんねるにはヴォイニッチ手稿が読めるスレ主がまだ他にもいた。「記憶が2つあるんだが・・・」というスレを立ち上げた、もう一人のスレ主も紹介しよう。
これは2011年8月下旬、2ちゃんねるの「ニュース速VIP」板に書き込まれた投稿である。
投稿の内容は語り部である「スレ主」の記憶にある「もう一つの世界」という「異世界」で使われていた言語が「ヴォイニッチ手稿」に書かれている「謎の言語」と同じものかもしれないという疑惑が生まれる展開になっている。
異世界と現実世界の2つの記憶
スレ主には「小学校4年生の夏休みから19歳の10月までの記憶」が2つあるのだという。
- ちゃんと学校に通っていた記憶(こちらの世界・現実世界)
- 学校に通っていない記憶(あちらの世界・異世界)
「現実世界」が今の人生に直接つながっているらしい。
「現実世界」→「異世界」→「現実世界」という風にストーリーは展開していく。
あらすじ
- 小学4年生の夏休み、うっかり足を滑らせて川で流された
- 溺れかけたところを裸のおじさんが助けてくれた
- 自分が元いた場所には戻れなくなったので、おじさんの家族と一緒に暮らすことになる
- 自分も服を脱ぎ、裸の人たちと同じ言葉をおぼえて暮らした
- 言葉が使えるようになり生活が楽になったが、あることが原因で死んでしまう
- 意識が飛んだ次の瞬間に目を覚ますと、もう一つの世界で暮らす自分の部屋のベッドの上だった
学校に通ってなかった「異世界」では、すでにスレ主は死んでいるという。
スレ主は異世界で命を落とし、ベッドの上で目が覚めた時は「現実世界」の昨日の記憶があったという。
現実世界で子どもの頃に川で流された話をすると、スレ主は「父親に助けられて無事だった」ということになっているらしい。
スレ主の主張
スレ主が実際に「異世界で使っていた文字」の写真を撮ってみんなに見せると、誰かがこの文字は「ヴォイニッチ手稿」に似ていると言い出した。
スレ主は「ヴォイニッチ手稿」について知らなかったようで調べてみると、一部に読める部分もあるし、自分と同じ体験をした人間がいることは確かみたいだと主張した。
スレ主がこちらの世界に戻ってきて思ったこと
スレ主はこちらの世界に戻ってきて次のように思ったという。
- 服を着ているのが鬱陶しく感じる
- 草にはいろんな力があり人間にはそれを利用する力がある
- あっちの世界の人間はこっちでいう白人に似ていた
- 白人の住む地域にあの場所があると思ったが、白人はあっちの世界から来た人かとも思った
- あっちの草らしきものを見つけた
- こっちの草は知識がない
異世界の説明
スレ主は異世界について以下のように語っている。
- あっちの主食は草
- あっちの世界は植物と暮らしてる
- こっちの世界は鉄などの金属を利用するが、あっちでは主に草を利用する
- 起きたら草の勉強をする
- 草をつかえるようになれば、いろんな事ができる
- 動物のような草もいた
「ヴォイニッチ手稿読めるけど、質問ある?」のスレ主と同じように、こちらのスレ主の語る異世界も植物に関する説明が多く、やはり植物の支配が及んでいるようだ。
突如スレ主が釣り宣言
スレ主は突然、訳の分からんことを言い出した。
あ、ごめん。
ヴォイニッチ手稿しらべてたら分かったわ。
すべて分かった。話聞かせて欲しいという人にはすまない。
知らない方がいい話もあるってことを覚えておいて欲しい。ごめんなさい。つりでした。
俺が見ていたのは、ただの夢だったようです。
この記憶は忘れてください。出典:2ちゃんねる
スレ主はヴォイニッチ手稿を調べていくうちに、「ヤバい真実」に辿り着いてしまい、突然「釣り」を装ってフェードアウトしたという展開になった。
参考:不思議.net
ヴォイニッチ手稿の真相
2019年4月29日、イギリスのブリストル大学の言語学者ジェラルド・チェシャー教授は、2週間という短い期間でヴォイニッチ手稿で使われている「言語の表記ルール」や「書かれた年代や場所」を解読した。
また、ヴォイニッチ手稿に使われている羊皮紙を炭素年代測定で解析したところ、15世紀中頃のモノと判明した。
チェシャー教授は、ヴォイニッチ手稿は「ドミニコ修道女がアラゴン王国の王妃マリア・デ・カスティーリャの為に作った参考資料だ」と主張している。マリア王妃は15世紀に夫のアラゴン兼ナポリ王の代わりに摂政としてアラゴン・カタルューニャ地方を統治していた人物である。
ヴォイニッチ手稿に使われていたのはロマンス祖語か?
チェシャー教授は謎の言語はすでに絶滅した「ロマンス祖語」ではないかと推測している。
ロマンス祖語とは、現在も使われている下記の言語の元になったと考えられている言語のこと。
- ポルトガル語
- スペイン語
- フランス語
- イタリア語
ロマンス祖語は中世の地中海地域で一般的に使われていた言語だ。しかし、これまでのところロマンス祖語で書かれた文書は発見されていない。
というのも、王室や教会、政府などの公的な文書の記録には主に「ラテン語」が使われていたからだ。ロマンス祖語が文書で使われる機会は無かったという。
なぜロマンス祖語が使われたのか
ではなぜヴォイニッチ手稿にはラテン語ではなく、ロマンス祖語が使われたのだろうか。
その理由としては、「参考資料程度」の私的な本だったため、わざわざ公的記録語のラテン語を使うまでも無かったのではと考えられている。
マリア王妃が気楽に読めるように、あえて砕けた言語であるロマンス祖語を使ったのかもしれない。
ヴォイニッチ手稿の内容
- 発見:1912年
- 場所:イタリア
- 発見者:ウィルフリッド・ヴォイニッチ
- サイズ:23.5 cm × 16.2 cm × 5 cm
- ページ数:約240ページ
- 材質:羊皮紙
- 特徴1:左から右へ読んでいくスタイル
- 特徴2:少なくとも28ページ分が欠損している
- 特徴3:未解読の文字で書かれた文章と人らしきもの、生物、植物などの挿絵が描かれている
ヴォイニッチ手稿には植物などの挿絵が多く描かれている
ヴォイニッチ手稿の内容は、未知の文字とカラフルな挿絵で構成されているが、どちらかと言えば文章よりも絵の割合の方が多い。
絵は植物に関するものが多く描かれている。
- 植物(草・花)
- 銀河・星雲などの天文学や占星術に関するもの
- 精子のように見えるもの
- プールや浴槽らしきものに浸かっている女性の絵
ヴォイニッチ手稿は今どこにある
現在、ヴォイニッチ手稿は米国イェール大学の「バイネッケ・レアブック・マヌスクリプト図書館」に保管されている。
ヴォイニッチ手稿は黒歴史ノートなのか
ヴォイニッチ手稿の真実は、オカルティックなものやスピリチュアルな何かよりも、中世時代に中二病だった誰かの「黒歴史ノート説」というのが個人的には好みだったりする。
現代ならば、中二病をこじらせた中高生などが「僕の考えた異世界生活を書いてみた」的なライトノベルのような産物を数十年後に発掘され、ネット上に拡散され、見ず知らずの者たちに超個人的な歪んだ欲望や暗黒面を根掘り葉掘りほじくり返されるようなものではないのか。
ヴォイニッチ手稿の作者は、まさか自分の書いた何の意味も持たない落書きが数百年後の異世界であーだこーだ言われて、真剣に議論されているなんて思ってもみないことだろう。
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