ダボス会議では各国の指導者に指令が下る。2024年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)は1月15日~19日に開催された。スイス東部の町「ダボス」でおこなわれるため、この名前で呼ばれている。
年に一度、この会議には世界中から政財界の指導者が集まり、地球規模の問題が議論される。グローバリストは世界情勢をコントロールするために様々な会議を主催する。その主な予定は次のようになっている。
- ダボス会議(1月):世界経済フォーラム年次総会
- ビルダーバーグ会議(5〜6月):欧州内部におけるグローバリストたちの秘密会議
- サミット(随時):先進国首脳会議
- G20(随時):二十か国・地域/財務相・中央銀行総裁会議
多くの日本人はサミットやG20が「世界情勢を論じる重要な会議」と信じている。だが、それは見せかけである。この記事ではダボス会議について記していく。
クラウス・シュワブ
ダボス会議(世界経済フォーラム)の主宰者はスイスの経済学者のクラウス・シュワブ。彼の経歴は以下のようになっている。
- 世界経済フォーラムの主宰者
- ハーバード大学ケネディスクール出身
- ヘンリー・キッシンジャーの教え子の一人
- ジュネーブ大学名誉教授
- 2人の子、2人の孫がいる
ダボス会議とは
グローバリストたちは1月のダボスで年次計画を決め、5月のビルダーバーグで年次計画を練りあげる。
サミットやG20では、それを実行レベルに落としこむ。世界はその結果を受けて動いていく。
だから「ダボス会議で世界各国から集まった指導者が議論する」というのは建前にすぎない。
いつから
1971年、「世界経済フォーラム」はローマクラブを参考に設立された。
この組織の目的は「経済・政治・知的活動のグローバル化の促進」とされている。
一説によると、ダボス会議(世界経済フォーラム)はシュワブの発案ではないという。
ダボス会議の発案者
ダボス会議(世界経済フォーラム)の誕生にはキッシンジャーやCIAに資金提供を受けたハーバード大学のプロジェクトが関わっている。
ダボス会議の発案者とされる者たち。
- ヘンリー・キッシンジャー
- ジョン・ケネス・ガルブレイズ(経済学者・ハーバード大学名誉教授・『バブルの物語』著者)
- ハーマン・カーン(軍事理論家・ハドソン研究所創設者)
ダボス会議の目的
毎年1月に開催されるダボス会議の本当の目的は「グローバリストの年次計画を各国の指導者に伝えること」だ。
その意志伝達は「命令」と同義である。その年1年間の世界情勢はダボスの結論に従って動くことになっている。とはいえ、その命令は具体的に発せられるわけではない。「暗黙の命令」である。
少々、古いが2012年の新聞はダボス会議について次のように書いている。
ダボス会議
「金融危機がこのまま続くと世界はどうなってしまうのか。(一月)二十九日閉幕した世界経済フォーラム・ダボス会議を覆ったのはそんな焦燥感だった。特に強かったのは、若者の高失業や貧困が放置されれば、社会の不安を招き、市場経済や民主主義の基盤が崩れかねないとの懸念だ。だが、有効な解決策は示されず、意見の対立も目立った。危機から抜けだせない先進国の威信が失墜する中で、新しい秩序やモデルが見えない不安定な世界の姿も浮き彫りになった」
「日本経済新聞/2012年1月30日」
ダボスの命令
新聞は客観的にダボス会議の情勢を伝えているが、これは命令である。この情勢を「ダボスの命令」に置き換えると次のようになる。
- 世界の金融危機はいつまでも持続させるべし
- 各国の若者の失業や貧困は放置すること
- 各国の指導者は社会不安を煽るべし
- 同時に市場経済や民主主義の基盤を崩すこと
- 諸問題について有効な解決策は示さなくてよい
- 異なる意見は徹底的に対立させるべし
- 先進国は現在の危機から脱出する必要はない
- 先進国の威信は徹底的に失墜させよ
- 一般大衆に新しい秩序やモデルを見せる必要はない
- 解決の糸口が見えない不安定な世界の姿を浮き彫りにせよ
グローバリストは世界の行く末について、このような形で各国の指導者に命令する。
国民の声を聞くことは命令に背くこと
当然のことながら、政府や政治家が馬鹿正直に「国民の声」を聞いて政策を実行すれば、このダボスの命令に背くことになる。
ダボスの命令を当てはめれば、現在の日本の社会や経済の様相は推して知るべしである。
2010年にダボス会議のヤング・グローバル・リーダーの1人に選出された元ライフネット生命保険社長・岩瀬氏は、新聞のコラムに次のように書いている。
「2011年1月にスイスで開かれたダボス会議に、私は「次世代のリーダーの一人」として招待されました。世界の保険業界のお偉方が参加する会合に出かけてみると、米欧の大手の幹部が八人ほどいて日本人は私だけでした。そこで「みなさんの考え方は古い。保険はなお革新が見込める」と一席ぶったら拍手をいただきました」
「日本経済新聞2012年6月2日/「知求見聞・私のひきだし」
ダボスは支配層が主催する会議だが、同時にそれは自分たちの手先をスカウトする場でもある。
ダボスの手法
世界の成功者たちからダボス会議に招待された参加者は舞いあがり、温かい対応を受け、優秀な人物と絶賛される。
「自分も成功者の仲間入りをしたのだ」と感無量であろう。だが、このようなプロセスを経て、いつの間にか参加者たちは無意識のうちに彼らの手先として精神的に改造されていく。
利己的な集合無意識へ自ら同化していく。そこに罪の意識など存在しない。それが彼らの手法である。
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