マザー・テレサといえば、次のような善いこと尽くめの「善のデパート」というイメージしか浮かばないかもしれない。
- 世界平和を訴えた人物
- 貧困者を救うために奔走した活動家
- 敬虔なカトリックの伝道者
しかし、そのイメージは作られたもので、「世間で知られているような人物ではなかった」としたらどうだろうか?
今回は「マザーテレサに関する批判」について。
マザー・テレサとは
修道名 | マザーテレサ(コルカタの聖テレサ) |
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本名 | アグネサ/アンティゴナ・ゴンジャ・ボヤジ |
誕生 | 1910年08月26日、オスマン帝国(北マケドニア、スコピエ) |
死没 | 1997年9月5日(87歳)、インド西ベンガル州コルカタ |
教派 | カトリック教会 |
マザー・テレサは、カトリック教会の修道女で修道会「神の愛の宣教者会」の創設者。
マザーテレサのはじめた、次のような生活困窮者たちを救うための活動は、インドから世界中に広がり、他の信徒たちを導いてきた。
- 貧困者
- 病人
- 孤児
- 末期の人
その活動は高く評価され、1979年のノーベル平和賞のほか、数々の賞を受賞している。
2016年にはバチカンから「聖人」に認定された。
バチカンの「奇跡認定」と言えば「ファティマの予言」だが、これも捏造ではないかという疑惑が囁かれている。
マザーテレサへの批判
世の中では求道者や聖人など、誰からも尊敬される人物として支持されているマザーテレサ。
しかし、そんな彼女に対し、批判の声を上げた人物たちもいる。
- クリストファー・ヒッチェンズ・・・ジャーナリスト
- リチャード・ドーキンス・・・生物学者
- クリティカ・ヴァラグール・・・インド人編集者
- アローチャタジー・・・インド人医師で作家
クリストファー・ヒッチェンズ
ジャーナリストのクリストファー・ヒッチェンズは、マザーテレサを自著「宣教師の立場」で以下のように正反対の人間として描いている。
『宣教師の立場 マザー・テレサの理論と実践』(The Missionary Position: Mother Teresa in Theory and Practice)は1995年に刊行されたクリストファー・ヒッチェンズの著作。マザー・テレサの慈善活動を極めて否定的に扱った書籍。彼女を実際は偏狭で、有力者には媚びる姿勢を見せ、金集めに奔走する人物として描写している。
出典:ウィキペディア
この本は発売当初、各メディアで批判の声があがったようだが、何故かバチカンやマザーテレサの関係者から抗議の声はあがっていない。
リチャード・ドーキンス
リチャード・ドーキンスは著書「神は妄想である」の中で、「宣教師の立場」を例にあげ、「マザーテレサは聖人ではない」と批判した。
クリティカ・ヴァラグール
インド人編集者のクリティカ・ヴァラグールは、2016年4月のハフィントンポストの記事で「白人は優秀だから、劣っている有色人種はいつも白人に助けられる」という誤ったイメージをインド人や他の西洋人に植え付けたとしてマザーテレサを批判している。
また、マザーテレサを神聖視させるイメージ戦略は、弱体化したバチカンがおこなったメディアキャンペーンであるとも述べている。
つまり、バチカンの広告塔として利用されたとも考えられるのだ。
https://www.huffingtonpost.jp/krithika-varagur/mother-teresa-was-no-saint_b_9658658.html
アロー・チャタジー
インド人医師で作家のアロー・チャタジーは、短い期間だったが、マザーテレサの施設で働いていたことがある。
その後、彼はテレサの修道会の資金管理の実態を調査していたという。
2003年には著書「最終評決」を出版し、マザーテレサの批判を行っている。
マザーテレサの裏の顔
マザーテレサが陰でおこなっていたとされる黒い疑惑は以下のとおり。
- カトリックへの改宗の強要
- 権力者との黒い交際
- 偽善的な慈善活動
- 「死を待つ人の家」の低品質な医療
- インドで発覚した乳幼児の人身売買事件
カトリックへの改宗の強要
マザーテレサの修道会では、末期の病人の信仰している宗教を問わず、強引にカトリックへ改宗させることを勧めていた。
しかも、カトリックの洗礼の儀式は患者に気づかれずに秘密裡におこなわれていたという。
強制的に改宗させていたことが、表沙汰になればヒンドゥー教徒やイスラム教徒の反発を招きかねないため、陰でひっそりとやるしかなかった。
権力者との黒い交際
マザーテレサは以下の権力者と繋がりがあったとされる。
- ジャン・クロード・デュヴァリエ・・・中米ハイチの独裁的政治家
- エンヴェル・ホッジャ・・・アルバニア元首相で独裁者
- ロバート・マクスウェル・・・イギリスのメディア王
- チャールズ・キーティング・・・アメリカの元スポーツ選手で起業家
- リーチオ・ジェッリ・・・フリーメイソン
ジャン・クロード・デュヴァリエ
1981年、マザーテレサは中米のハイチを訪問し、独裁的な政治家として有名だったジャン・クロード・デュヴァリエからレジオン・ドヌールという勲章を受け取っている。
エンヴェル・ホッジャ
テレサは生前、共産主義者であり独裁者だったアルバニアのエンヴェル・ホッジャ政権を支持していた。
また、ホッジャ氏が亡くなった後の1989年にアルバニアへ訪問した際には、未亡人となったネジミエ夫人や政府要人から歓迎を受け、ホッジャ氏の墓に花束を供えたという。
ロバート・マクスウェル
マザーテレサは、イギリスのメディア王として有名なロバート・マクスウェルから多額の資金提供を受けていた。
マクスウェルは、のちに従業員の年金基金から4億5000万ポンド(約643億円)を着服したことがバレた。
チャールズ・キーティング
チャールズ・キーティングは、アメリカの元水泳選手であり、弁護士や不動産開発者、銀行家といった多くの肩書を持っていた。
彼が詐欺事件で起訴された時、マザーテレサが彼の人柄を擁護する陳述書を作成したことで批判が集まった。
キーティングは、マザーテレサに数百万ドルの寄付を行っていて、彼女がアメリカに来た時には自分のプライベートジェットを貸し出す中だったといわれている。
リーチオ・ジェッリ
リーチオ・ジェッリがノーベル文学賞にノミネートされた時、マザーテレサは彼を支持した。
ジェッリは、フリーメイソンのイタリア支部ロッジP2の創設者でファシスト的な社会活動家だったが、イタリアでの殺人や汚職事件などの複数の犯罪との関連が指摘されている。
偽善的な慈善活動
マザーテレサは「貧困の救済者」というイメージが強いが、テレサの修道会が積極的に資金を投入していたのは、慈善事業ではなく、カトリックの伝道活動だと言われている。
テレサの運営する最大級の施設でも数百人程度の施ししか行われていなかったし、途上国に建てられた施設の目的は、地元住民を改宗させるためだけに運営されていたからだ。
テレサが伝道をおこなった国のヒンドゥー教徒からは、貧困者の足元を見て、秘密裡に改宗させようとしていると非難されていた。
「死を待つ人の家」の低品質な医療
テレサの施設「死を待つ人の家」には次のような問題があり、まともな医療行為は実施されていなかったという。
- 医者がいない
- 修道女もボランティアも医学的知識はなし
- 治療薬もない
- 注射針は消毒せず使いまわし
- 施設内では結核患者も隔離されていない
テレサの修道会は治療の可能な患者と不可能の患者を区別していなかったとされる。
これは、助かる可能性のある患者も感染や処置不足で死の危険に晒されるということ。
ここは厳密には病院ではなく、末期患者の収容施設とはいえ、ヒドイ惨状だった。
ジャーナリストのクリストファー・ヒッチェンズは、マザーテレサが貧困について述べた言葉が彼女の目的が人民救済ではないことを証明しているという。
記者会見で「貧困者には我慢することを教えるのですね?」と聞かれたとき、テレサは次のように答えた。
「貧しい人が自らの分け前を受け入れることはとても美しいことだと思います。キリストのご受難と共にあるということですから」
インドで発覚した人身売買事件
2018年にインドで発覚した乳幼児の人身売買事件。
この事件にはどうやらバチカンやマザーテレサが絡んでいるという。
異例のスピード出世の謎
2013年、マザーテレサの文献の研究をしていたモントリオール大学とオタワ大学は、彼女のおこなった2回の「奇跡」は科学的に証明できるとした。
マザーテレサの「スピード出世」には、奇跡を捏造してでも、何が何でも彼女を聖人にしなければならないというバチカンや権力者の思惑が隠されているように思われるのだ。
通常、死後から「聖人認定」までの期間は平均で「181年」かかるというから、マザーテレサの没後20年での認定は異例というか、焦り過ぎである。
事実とは違う神聖化したイメージを広め、異例の聖人認定を進めた背後には聖女の仮面で悪事を覆い隠したいと考える富裕層の存在があるのかもしれない。
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