群集の想像力を刺激する術を心得ることは、群集を支配する術を心得ることである。
ギュスターヴ・ル・ボン
タビストック研究所は、大衆操作や分断工作をおこなう洗脳機関であり、世界中に存在する数多のシンクタンクを束ねる司令塔といってもいい組織だ。
支配者層は思惑どおりに大衆をコントロールするため、みずからが望む新世界の実現に向けタビストックという武器を振るう。
この記事では、ジョン・コールマン著「300人委員会」から秘密組織タビストック研究所に関するエピソードをいくつか紹介していく。
タビストック研究所とビートルズに関する話はこちらの記事で。
タビストック研究所
イギリスの軍事技術者ジョン・ローリングス・リース少佐は、RIIA(王立国際問題研究所)からの指示とロックフェラー財団の資金提供を受け、洗脳の研究をおこなう専門施設を設立した。
それが「タビストック研究所(Tavistock Institute of Human Relations)」だ。
イギリスの心理戦争局は洗脳施設の設立にあたり、イギリス陸軍が捕らえた捕虜で実験をおこなっていたリース少佐の研究を利用しようとしたのだ。
タビストックはNATOやアメリカ最大の情報機関ONI(海軍情報局)、CIAの元となった組織OSS(戦略情報局)を設立した。
現在、タビストックはアメリカ国内に多くの研究機関を持ち、政府機関のあらゆる部署に侵入し、政策作成にたずさわっている。
タビストックはNATOを設立する
300人委員会により、ヨーロッパは超組織が管理することに決定した。
上からの声を届けるRIIA(王立国際問題研究所)がタビストック研究所をつくると、タビストックはNATOをつくった。
最初の5年間、NATOの財政を支えたのはドイツのマーシャル財団だった。
CIAの前身OSSを設立する
タビストックのメンバー、クルト・レヴィン博士は、CIAの前身組織であるOSS(戦略情報局)を設立した人物だ。
彼はイギリス空軍でドイツ労働者の住宅地を爆撃する戦略先制爆撃の任務に就いていた。
レヴィンの研究チームは、「夜間の爆撃が民間人に与える心理的影響」について研究していた。この爆撃の目的はドイツの労働者から士気を奪うことだった。
軍需工場への攻撃を避けたのは、その所有者が国際銀行家だったからだ。飼い主の言うことは絶対である。
イギリス空軍はドレスデン(ドイツ)を爆撃し、老人と女、子供などの12万5000人以上が犠牲になった。
この計画でイギリス軍が一般市民を爆撃した事実は第二次世界大戦後もずっと封印されていた。
人的資源研究局
人的資源研究局(HUMPRO:Human Resources Reserch Office)は、「サイコテクノロジー」を扱う陸軍の研究機関だった。
1969年、この研究機関の管理権が300人委員会に渡るとローマクラブ保護下の民間の非営利組織に変更された。現在、HUMPROはアメリカ最大規模の行動研究機関となっている。
サイコテクノロジーとはアメリカ兵に動機づけをおこない士気を高めたり、敵に「洗脳音楽」を聞かせてコントロールする技術である。
彼らの専門の1つは集団がストレス下で受ける影響の研究である。軍事行動に大きな影響を与えてきたHUMPROの洗脳技術はタビストックから直接受け継いだものだ。
この研究局では軍の上層部に対し、「兵器としての人間」という考え方を叩き込んでいるとされる。
そのいい例が湾岸戦争中に兵士が戦場で命令に従わず、1万2000人のイラク兵を生き埋めにしたことだ。この種の洗脳はきわめて危険だとされる。
洗脳された兵士は、今日数千人の敵兵を全滅させたかと思えば、明日になれば「政府の政策に反対する市民グループは敵だ」と操作される可能性があるからだ。
このHUMPROはタビストックの重要な関連施設で、ここでレクチャーされた洗脳技術は湾岸戦争でも応用された可能性が高い。それは、アメリカ兵が残忍なハンターとして振舞ったことで納得がいく。
敵に仕立てる世論形成工作
世論調査員は、政府や政策にとって最も重要な「世論形成」という任務を担っている。支配者層の思惑どおりに世論を形成するのは世論調査会社の仕事だ。
アメリカを例にとれば、CBC、NBC、ABC、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどのメディアが絶えず世論調査をおこなっている。
調査の大半は全米世論調査センターで調整される。そこで国全体を動かす人物の印象操作技術が開発された。
研究結果は世論調査会社のデータベースに入力され、比較検討される。新聞やテレビで目にするものの大半は最初に世論調査会社でチェック済みのものだ。
われわれが目にするものは、世論調査員が「疑問など持たず、このまま受け入れろ」と願っているものだ。
「世論形成」には支配者層が出す政策命令に一般大衆がどう反応するのかを見極めようとする狙いがある。
今日、誰もが充分な情報を得られていると思い込んでいる。しかし、自分の意見だと思っているものが、実は調査機構やシンクタンクによって作られ、押し付けられたものだということに気づいていない。
メディアや世論調査が絶え間なく与え続ける情報に対して、誰も独自の意見を自由に持つことが出来ないのだ。
世論調査は、アメリカが第二次世界大戦に突入する前から利用されていた。それまで疑うことを知らなかったアメリカ国民は、ドイツと日本を危険きわまりない敵だと見なすよう操作された。
同様にイラク戦争でもタビストックの洗脳プログラムが実施され、イラクは脅威であり、サダム・フセインは凶悪な敵であると思い込まされてしまった。
ネット工作員による誹謗中傷
われわれに身近な例でいえば、YouTubeやツイッターなどのSNS上で組織的におこなわれていると見られる「誹謗中傷」である。
これは、見知らぬ他人同士が、たまたま束になって誹謗中傷をおこなっているのではなく、まさにどこぞに雇われた「Dappi」のように組織的な動きである可能性が高い。
ワクチン接種も世論操作された可能性
2021年の春ごろ、同じ目的を達成するがために一か所に集められた者たちが、号令でもかかったかのように一斉に動き始めた。
だが、国民のワクチン接種率が80%を超えたと報道された秋口頃には、その動きはピタリと止んだ。それは、まるで「ノルマ達成!打ち方やめい!」と言わんばかりだ。
しばらくの間、SNS上には静寂がおとずれた。その後、次のワクチン接種がはじまると、同じような不穏な動きが繰り返された。
この集団の動き、パターン化されたような同じ内容の文章の投稿は、一般人によるものとは言い難い。
なりすましの手法
このようなネット工作員たちが使う手法の一つに「なりすまし」がある。
対立する「主張」にAとBの2つがあるとする。A論者のフリをしたB論者が口汚い言葉で暴言を吐くのを繰り返す。
これにより、はたから見ている部外者にはA論者はロクでもない人々だという印象を植え付け、Aを主張する者たち全体を貶めることができる。
例えば、ワクチン接種の遺族に向かって「接種は任意だったのに打ったのが悪い」と批判する者のうち馬鹿にしたような口調で極端に口汚い言葉で罵ったりする者は「なりすまし」が書いている可能性がある。
これをだだの「気のせい」や日本人特有の同調圧力による個人攻撃と見るのはあまりに浅はかだ。国を挙げた壮大な目標達成のためなら世論操作や誘導くらい平気でやってのけるだろと。
世論形成は最大の武器
世論調査会社のダニエル・ヤンケロビッチは「世論形成」は世論を動かす道具だと誇らしげに語った。ヤンケロビッチはローマクラブの依頼で書かれた未来学者ジョン・ネイスビッツの著書を参考にしていた。
世論形成こそが世界を支配するための最大の武器だ。ニューサイエンスの科学者やニュースメディアを自在に操り、どのような問題に対しても世論はおよそ1、2週間で生み出され、世界中に広めることが出来るからだ。
これは、まさにジョージ・ブッシュがイラクに対して攻撃態勢を取るように命じたときに見られた。2週間以内にアメリカはおろか、ほぼ世界中でイラクとフセインに対する敵意の世論が形成された。
未来の衝撃
「未来の衝撃」とは、「一度にたくさんの事件が起きると理解が追い付かず、ショック状態におちいること」だ。これはタビストックの関連組織であるSPRI(科学政策調査研究所)の研究課題の1つだった。
精神が処理できる変化の量や性質には限度があるといわれる。ショッキングな出来事が続いたあとでは、標的とされたグループはそれ以上の思考や選択ができなくなる「思考停止状態」におちいり無関心が蔓延する。
これはいわゆるショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)にも応用されている概念だと思われる。
あるグループにショックを与え、反抗することもなく従順に命令に従わせるようにする。これが洗脳プログラムの目的だ。
SPRIの資料によれば未来の衝撃とは、「人間の心理に過剰に決定の選択を負わすことによって生じる肉体的、心理的苦痛」と定義されているそうだ。
FEMA(連邦緊急事態管理庁)が仕組んだ原発事故実験
アメリカの連邦緊急事態管理庁FEMA(フィーマ)を作ったのは、タビストックとローマクラブだとされている。FEMAは、天災(洪水・ハリケーン・地震・原子力災害)や人災などに対応する政府機関の1つだ。
1979年3月28日、アメリカのペンシルベニア州で「スリーマイル島原子力発電事故」が起きた。だが、これは「事故」ではなく、FEMAが故意に仕組んだ「実験」だったという説がある。
本当は危険などどこにも存在しないのにニュースメディアが恐怖を煽り立てたため、集団ヒステリーが起き、人々がそこから避難するという騒ぎに発展した。実際このスリーマイル島の事故では死傷者は出ていない。
スリーマイル島原発事故は大衆操作の実験だったのか?
FEMAはスリーマイル島の実験を「事故」だと規定し、反核勢力を勢いづかせた。その後、スリーマイル島は環境保護主義者たちの聖地となった。
その環境保護グループは脱工業化を掲げるローマクラブと関わりのあるアスペン研究所が財政支援しているグループだった。
心理学者アーヴィング・ジェイナスは、タビストックで空爆によるストレスが日本人とドイツ人にどの程度影響するのかを研究していた。
ジェイナスはこの原発の実験で、危機を続けてでっち上げ、レヴィン博士の恐怖戦術に従って人々を操作すれば、どんなターゲットグループもコントロールできると考えていた。
さらに、ジェイナスはタビストックの作家グループに書かせた原発と核戦争に関する記事をアーカンソー州の議員婦人の名義で『マッコールズ』という女性誌に投稿した。
このような嘘や憶測の寄せ集めでできた捏造記事はタビストックが得意とする心理操作の典型的な例だった。
この時、『マッコールズ』を読んだ女性たちはみな、核戦争がもたらす恐怖と絶望的なイメージが脳裏に焼き付いたことだろう。
タビストックは新たな研究データを得た。テレビを使って核戦争の恐怖を煽れば、大規模な社会の操作が可能なこと。さらに、女性誌は核戦争の恐怖を拡散するのに有効であること。
恐怖はウイルスよりも早く感染し、広がっていく。これからも一般大衆の想像もつかない理由で事故という名の「実験」が世界各地で繰り返されていくのだろうか。
世論操作と分断工作のために作り出された洗脳機関
夢見がちな支配者たちは、銀行や製薬会社、軍産複合体、金融会社、石油会社、テレビ、新聞、ラジオといった企業をコントロールし世界を覆い尽そうとしている。
彼らの武器であるタビストックは世論操作と分断工作のために作り出された洗脳機関である。
左翼も右翼も実は同じ連中にコントロールされている。これらは分断のために生み出された幻想だ。目に見えない仕切りを作り出す罠は社会のいたるところに仕掛けられている。
われわれを拘束するのに鎖やロープは必要ない。妖しげな人心掌握術によって未来への不安を見せることは大衆を扇動したり、その動きを封じるのに効果的なのだ。
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