不思議な話

キューピッド「俺たちは天使じゃない!」その違いについて

今まで「キューピッド」と「天使」は、同じモノだと思っていたのだが、どうやら違うものらしい。

恋と言えばキューピッド。

このたびは、恋の花咲くバレンタインデーも近いということもあり、すでにオッサンなので、チョコもクソも無いのだが、少しばかり見聞でも広めようと思い、天使とキューピッドの違いについて考えてみた次第である。

天使とはなにか

William-Adolphe Bouguereau (1825-1905) - Song of the Angels (1881)歌を歌う天使達。ウィリアム・アドルフ・ブグロー (1881)。image:wikipedia

天使とは、時に人を導き、人を罰する神さまの使い。

英語では、Angel(エンジェル)という。

私たちはよく、可愛らしい「子ども」「綺麗な女性」を見ると「天使だ」と称える。

しかしながら、この場合は天使の本質や実像とは無関係に「純粋さ」「美しさ」を表す言葉として使用している。

そもそも天使とは

そもそも、天使とは神・ヤハウェを崇めるの3つの宗教における神の使いを指す。

  • ユダヤ教
  • キリスト教
  • イスラム教

じつは、これらの宗教の教義の中で天使が「子供」や「女性」の姿をしていることは滅多にない。

キリスト教の宗教画にはよく、背中に白い翼を生やした子供が描かれているが、あの子供らは厳密には天使ではなく、「プット」と呼ばれる別の存在なのだ。

プットとは

Sleepingputto LéonBazilePerraultペロー 画「眠れるプット」(1882) image:wikipedia

プット(Puttto)とは、ルネサンス美術の絵画に描かれる翼の生えた裸の幼児である。

また、複数体で描かれることもあり、その場合は複数形のプッティ(Putti)とも呼ばれる。

Worship of the shepherds by bronzinoブロンズィーノ画「羊飼いの礼拝」。ストーリーと関係の薄いプット数体が上空を舞っている。image:wikipedia

そして、このプットは、ギリシャ・ローマ神話の神が「キリスト教美術」に取り込まれて生まれたものだ。

  • ギリシア神話の愛欲の神・・・エロス(エロース)
  • ローマ神話の愛の神・・・クピト(クピードー)

また、プットは「智天使ケルビム」の別の姿であるとも言われる。

天使は中世には怪物のような姿で描かれていたが、「不老」という特徴が独り歩きして誇張され多結果、ルネサンス期には「幼児の姿」で描かれるようになった。

キューピッドとエロス

Botticelli-primaveraサンドロ・ボッティチェッリ作 春(プリマヴェーラ)image:wikipedia

テレビなどで紛らわしい使われ方をしているからだろうか。

日本ではよく、次の特徴を持ったものを「天使」だと勘違いされているような気がする。

  • 弓矢
  • 幼児

しかし、こやつの正体は「ローマ神話に出てくる愛の神・クピト」なのだ。

クピトを英語で言うとキューピッド(Cupid)になる。

クピトの別名は以下のとおりだ。

  • クピードー
  • キューピッド
  • キューピット
  • アモール

また、このキューピッド「ギリシア神話の愛欲の神・エロス(エロース)」と同一視されている。

なので、この世界の片隅で日夜、弓矢で恋を取り持つ任務に当たっているキューピッドさんは天使ではないのだ。

ちなみに、イタリア語で「愛」のことをアモーレという。

あとがき

 

天使とキューピッドの違いを簡単に言うと次のようになる。

  • 天使・エンジェル・・・キリスト教が題材の神に仕えるの者でハープやラッパなどの楽器を奏でる
  • キューピッド・エロス・・・ギリシア・ローマ神話に登場する神で対象を弓矢で狙撃する

パッと見、姿もソックリだし、天使とキューピッドの違いは紛らわしいのだ。

まあ、間髪入れずに弓矢で狙撃してくるのが「キューピッド」だから、今回は「俺たちは天使じゃない!」ということだけ分かってくれ。

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