【プーチンとNATO】オリバーストーン・オン・プーチンを見てみた。

日常の話題
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世間はウクライナとロシアの紛争で大変である。

情報戦により、何が本当で何が嘘なのか、もしかしたら全部が嘘なのかもしれない中、どっちが黒でどっちが白だとネット上でやり合っている白黒警察の皆さん、ご苦労さまでございます。

そんな折、アマゾンプライムでプーチン関連の作品「オリバーストーン・オン・プーチン」を見つけたので視聴してみることにした。

この映像作品は、映画ではなくオリバーストーン監督が直接ロシアのプーチン氏のもとへ足げく通いインタビューしたドキュメンタリー作品である。

かつてプーチン氏が「NATO」についてどのように考えていたのかを振り返ってみたい。

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オリバーストーン・オン・プーチンとは

『オリバーストーン・オン・プーチン』は、戦争映画の「プラトーン」やアメリカ大統領の暗殺事件を描いた「JFK」などで有名な映画監督オリバーストーンが2015年から2017年にかけて、ちょくちょくロシアに足を運び、プーチン氏に密着インタビューしたドキュメンタリー作品だ。

エピソードは1~4までの4話構成で1話が約1時間、時に和やかに時に険悪なムードが漂う舌戦もあり、なかなか見ごたえのある作品に仕上がっている。

NATOについて

NATO( North Atlantic Treaty Organization)とは、「北大西洋条約機構」のことで、ヨーロッパとアメリカなどの30か国による軍事同盟である。

加盟国のいずれかが攻撃された場合、集団的自衛権を行使し共同で対処することができるというものだ。

プーチンはオリバーストーンに「NATOが東ヨーロッパに拡大しないという約束はあったのか?」と尋ねられ、話し始める。

当時のアメリカ高官とNATOのヴェルナー事務総長はソ連に「これ以上のNATOを東ヨーロッパに拡大しないと約束する」と口をそろえて言ったという。

だから、ドイツの再統一が決まった時、ソ連軍は東ヨーロッパからの撤退に合意した。

彼らの話によると、「NATOの東の境界線」はドイツの国境より東に行くことは無いはずだった。

しかし、実際にはその境界線はロシア国境へ向かって進んできている。

これは約束違反であるが、当時の代表ゴルバチョフ氏も迂闊だったのだ。

このことを書面にしなかったし、話しただけで十分だと判断してしまったのだから。

政治では重要なことは口約束で済ませるべきではなく、すべて書面に残すべきである。

笑顔と呆れ顔が入り混じった微妙な表情でプーチンは語った。

「彼(ゴルバチョフ)は甘かったね」と。

NATOの存在意義

NATOが設立されたのは、東西ブロックの対立があった時代で、そこにはソ連とヨーロッパ諸国という2つの陣営があった。

だが、今ではソ連もワルシャワ条約機構も消滅した。

そこで、プーチンは「NATOの存在意義は?」と問いかけ、次のように語った。

「私の目には自らの存在を正当化するために、NATOが外敵を作り出しているように見える。もしくは、挑発行為によって誰かを敵よばわりしている」

NATOに同盟国は存在しない

NATOはアメリカの外交の道具であるとプーチンはいう。

そこには、同盟国など存在しない。

あるのはアメリカの属国だけだ。

一度、NATOの加盟国になってしまえば、アメリカの圧力にあらがうのは難しい。

  • ABM(弾道弾迎撃ミサイル)
  • 新たな軍事基地
  • 新たな攻撃用システム

など、何が配備されても、おかしくない。

当然、状況は緊迫化するだろうが、新たな脅威となる施設に対して、我々はミサイルの照準を合わせるだけだとプーチンは語気を強めた。

ロシアがNATOを懸念する理由

  • 存在意義の欠如
  • 脅威

などNATO拡大に関する問題はいくつかあるが、その中でもプーチンが一番懸念しているのは、意思決定のあり方だ。

彼はその実情を知っているという。

それについては詳しく言及することは無かったが、「そこには同盟国による話し合いなどというものは存在しない」と雄弁な視線が語っているようにも見えた。

ロシアがNATOに加盟すると困るのはアメリカ

クリントン政権時代にモスクワでおこなわれた最後の首脳会談での話。

プーチンは会談の最中にこう切り出した。

「ロシアのNATO加盟を検討しているよ」と。

その時、クリントンはそのジョークとも取れそうな発言に賛成している様子だったが、彼の取り巻きのアメリカ代表団の中には、ピリピリと険悪なムードを漂い始めていたという。

「ホントに加盟申請をしたのですか?」と笑顔で聞くオリバーストーンにプーチンはアメリカ代表団がピリピリしていた理由について語りはじめる。

ロシアが加盟すれば発言権を得るから、NATO内をアメリカの好きなように操作できなくなる。

だから、アメリカはロシアのNATO加盟を認めることはないだろう。

アメリカはとても興味深い国

そして、プーチンは第一話の終わりの方でアメリカという国についてしみじみ語っている。

ソ連崩壊後、ロシアはアメリカや各国に対し、核兵器の情報を含めてオープンにしてきた。

秘密はほどんどない。

事実、ロシア有数の核兵器の部品を製造する工場にアメリカの査察官が常駐していたこともあった。

ロシアは十分オープンだった。

ソ連が崩壊し、冷戦が終了して、ロシアにとって新たな脅威はもうなかったんだ。

アメリカはとても興味深い国だ。

大統領が変わっても政策は変わることがない。

プーチンは新世界秩序(NWO)を批判する

2007年2月10日におこなわれた、世界各国の首脳が集まる「ミュンヘン安全保障会議」のスピーチでプーチンは次のように、新世界秩序を推進しようとする者たちを批判した。

冷戦後、懸念されていた世界の一極化は起きなかった。

そもそも、世界の一極化とは何か?

どれほど脚色したとしても、この言葉が意味することは1つだ。

権力の一極集中である。

権力や意思決定の一極集中である。

唯一の支配者を持つ世界。

損害を被るのは支配下の人々だけではない。

支配者自身も内側から蝕まれていくのだ。

特にアメリカはあらゆる意味で国境を侵している。

その証拠に経済、政治、文化、教育の政策を他国に強要している。

あとがき

かつて、お互いをファーストネームで呼び合い、さまざまなモノを賭けて賭け、欠けぬけた結果、何一つ進展させることの出来なかった人物がいた。

外交のプロフッショナルと呼ばれた彼は有事の際に何の役にも立たない「見せかけの友情」という大きな成果を得たのだ。

ところで、ロシアの議員たちはプーチンのことを敬意を込めてこう呼ぶ。

ヴラジミール・ヴラジーミロヴィッチと。

また、ミハイルをミーシャと呼ぶように、ヴラジーミルにもヴォロージャやワロージャという愛称がある。

もし、こう呼び合えるほどの関係を築けていたなら、日本が仲裁に入り、この国際紛争を早期解決へと導くことが出来たのかもしれない。

プーチン氏は2022年3月、ロシアへ制裁をおこなった日本を「非友好国」に指定している。

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どうも、コウです。
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機械いじりやネット関係、謎が謎を呼ぶ不思議な事や妄想する事が好きなので、そのジャンルの情報発信と日常の中で埋没しがちな素朴な疑問を拾い上げ考察します。
使える言葉が減っていけば、思考の幅は狭まっていく。
それは批判的思考の抑圧であり、検閲である。

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