不思議な話

【モッキンバード作戦】モノマネドリを殺すには・・・

モッキンバード作戦とは、CIA(米国中央情報局)によるテレビなどのメディアを使った大衆洗脳プログラムである。

1950年代初頭の冷戦時、当時のCIA長官だったアレン・ダレスは戦争や特定の政治的思想を世に広めるためにマスメディアをコントロールした。

CIAの洗脳プログラムといえば「MKウルトラ計画」が有名だが、この記事ではモッキンバード作戦についてお伝えする。

この記事で取り上げること
  • モッキンバード作戦について

モッキンバードとは

Mimus-polyglottos-002マネシツグミ image:wikipedia

この作戦名にもなっているモッキンバード(Northern Mockingbird)とは、南北アメリカ大陸に生息するスズメ科の鳥のことである。

日本では「マネシツグミ」という名で知られている。

この鳥は、以下のような生物や楽器、機械の音などの鳴き真似が得意なことから「ものまね鳥」とも呼ばれている。

マネシツグミはモノマネが得意
  • 別の鳥
  • ピアノの音
  • 車のクラクション

CIAは思いどおりの世論をつくりだすために、自分たちの思い通りに動いてくれるメディアを作ろうとした。そのため、この鳥の名前をとり「モッキンバード作戦」と名付けられた。

モッキンバード作戦

モッキンバード作戦とはCIAがメディアを使ってプロパガンダをおこなう大衆洗脳の手法の一つ。

この作戦にはCIA上層部の3名が関わっていた。

モッキンバード作戦に関わった人物
  1. アレン・ダレスCIA長官
  2. フランク・ウィズナー特殊工作本部長
  3. コード・メイヤー(CIAのエージェントでワシントンポスト紙編集長ベンジャミン・ブラッドリーとは親戚)

ウィズナーは、大手メディアのオーナーやジャーナリストたちをこの計画に引き入れた。

CIAの協力者たち

Aerial view of the Central Intelligence Agency headquarters, Langley, Virginia - Corrected and CroppedCIA本部『ジョージ・ブッシュ情報センター』(バージニア州ラングレー)image:wikipedia

アメリカで有名な「ウォーターゲート事件」をスッパ抜いたことで知られるジャーナリストのカール・バーンスタインによれば、1952年以降400人を超えるジャーナリストがCIAの手先となって働いていたという。

CIAに協力したとされる者の中には、以下の者たちが含まれていた。

CIAに協力したメディアとジャーナリスト
  • ワシントン・ポスト
  • ウィリアム・ペイリー(CBS創業者)
  • ヘンリー・ルース(タイム誌・ライフ誌の発行人)
  • アーサー・ザルツバーガー(ニューヨークタイムズ紙の発行人)

CIAは、このような繋がりのあるメディアやジャーナリストを通じて、海外情勢や各国首脳に関する情報を意図的にリークした。

その手法は、小さな新聞社に情報を流しメディアを通じて徐々に話題を広げていくというものだ。

メディアへの介入

ジャーナリストのティム・ワイナーによるとCIAのダレス長官は電話一本でメディアのニュースに口を挟むことができたという。

気に入らない記者を担当から外させたり、タイム誌やニューズウィーク誌の海外支局にCIAの仕事を協力させたりした。

のちに暴露されたCIAの計画
  • 1953年のイランのクーデター
  • 1954年のグアテマラのクーデター

上記の計画はCIAが企てたものであると後に暴露された。

しかし、そのとき内情を知っていたジャーナリストたちはそれを記事にすることはなかった。

それは、アメリカの愛国の為であり、国民の義務だと信じるものもいた。それは、結局歪んだ愛だったかも知れない。

メディアは好きな音楽が掛かる巨大なジュークボックス

海外工作本部長のウィズナーは、「メディアはCIAの好きな音楽だけを奏でる巨大なジュークボックスだ」と称した。

この言葉からも政府国家組織メディアを私物化している様子が見て取れるだろう。

モッキンバードは今もなお「口真似」を続ける

1975年、モッキンバード計画の存在は上院のチャーチ委員会の調査報告で明るみになり、そのときCIA長官だったパパブッシュは金銭を伴うメディアとの協力関係は解消すると表明した。

しかし、CIAとメディアの繋がりなくなったとは言えない。むしろ、その結びつきはより強固になったのではないか。

2003年のイラク戦争では、アメリカ政府イラク大量破壊兵器を保有しているというフェイクニュースを流し、侵略戦争に突入した。

また、2020年のアメリカ大統領選挙では再選を狙うトランプ氏をアメリカのほとんどのメディアが、一斉に袋叩きにするという場面が多く見られた。

トランプ氏は、そんなマスコミフェイクニュースメディアと皮肉り、彼を支持する人々、いわゆるQアノンとされる人々は、反トランプ報道を広めようとするアメリカのメディアを「モッキンバード」と呼んだ。

あとがき

これはアメリカだけの話ではない。コロナ禍であからさまになってきた情報規制や言論統制は目に余るものがある。

現在、日本を含めた世界のマスメディアは「報道しない自由」を行使し、一部の者たちにとって都合の良いことしか報道しない「モッキンバード」になっているのは確かだ。

例えば、「テレビを捨てる」「SNSを使わない」といった方法で情報の洪水を遮断すれば、少なくとも権力者よりの偏った情報だけを押し付けられることはないだろう。

だが、大衆を惑わすモノマネドリを殺すには、今のところ人里離れた山奥にでも籠もって文明と距離を置くほかないのが現状である。

関連記事

https//kovlog.net/olson-of-death/

【MKウルトラ計画】CIAの洗脳実験はまだ続いているのか?今回は、CIAが極秘に行っていたとされる謎の洗脳実験「MKウルトラ計画」について。 これは陰謀論ではなく、正式文書も公開されている...
【仮面の男の正体】鉄壁の緘口令が作り出した虚像「仮面の男」は長きにわたり、多くの歴史家たちを悩ませてきた。時は17世紀、フランスの牢獄に奇妙な男が収監されていた。 この囚人は「...
【ハバナ症候群】CIAや米大使館職員を襲う悪魔の兵器ハバナ症候群という謎の怪現象が発生している。 これまで、多くのアメリカ人やカナダ人の外交官などが原因不明の頭痛、めまい...
【クライシスアクター探し】仕組まれた事件の立役者たちクライシスアクター。近年、この言葉はSNSのトレンドワードになるほど注目を集めている。本来は事件や災害を想定した防災訓練に被害者役で登場...

関連商品

error: Content is protected !!