2021年も気がづいたら、あっという間に4月ということで、そろそろ経済紙のフォーブスさんから「世界長者番付」が発表されるシーズンである。
- 世界の富の82%は1%の富裕層が持っている
- 世界の超富裕層26人が世界人口の半分の資産を握っている
なんて会話が普通に交わされ、不条理を噛みしめている昨今。世界の仕組みに対して自分勝手に鋭く切り込んで行くこのシリーズ。
今回は「世界長者番付」について、被害妄想的視点と陰謀的思考を駆使して迫ってみたい。
世界長者番付とは
世界長者番付とは、経済紙の「フォーブス」が毎年春頃に発表する世界の個人資産ランキングである。
つまり、世界のお金持ちランキングのことで、英語では「The World’s Billionaires(ビリオネア)」とか言ったりする。
2019年時点での世界の億万長者の人数とその純資産総額は、以下のようになっている。
- 億万長者の人数・・・2,153人
- 純資産総額・・・8兆7000億ドル(約962,282,933,303,840円)
日本円に換算すると「約962兆円」である。金額のケタが多すぎて、数えながら眩暈がしてくる。ウシジマくんもビックリだ。
なお、権力や支配的な地位により富を所有している独裁者や王室などは、ランキングから除外されている。
2021年度世界個人資産ランキングトップ10
2021年度の世界長者番付が4月6日に発表された。最新の長者番付トップは、アマゾンのCEOのジェフ・ベゾスで4年連続首位が確定した。
他のランキングの順位には少し動きがあったようだが、コロナパンデミックの影響はどうなのだろうか。
米経済紙フォーブスが2021年度世界長者番付を発表したようです!
2020年度世界個人資産ランキングトップ10
順位 | 名前 | 年齢 | 国籍 | 資産 | 収入源 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ジェフ・ベゾス | 56 | アメリカ | 1130億ドル | アマゾン |
2 | ビル・ゲイツ | 64 | アメリカ | 980億ドル | マイクロソフト |
3 | ベルナール・アルノー | 71 | フランス | 760億ドル | LVMH |
4 | ウォーレン・バフェット | 89 | アメリカ | 675億ドル | バークシャー・ハサウェイ |
5 | ラリー・エリソン | 75 | アメリカ | 590億ドル | オラクル |
6 | アマンシオ・オルテガ | 84 | スペイン | 551億ドル | インディテックス、ザラ |
7 | マーク・ザッカーバーグ | 35 | アメリカ | 547億ドル | |
8 | ジム・ウォルトン | 71 | アメリカ | 546億ドル | ウォルマート |
9 | アリス・ウォルトン | 70 | アメリカ | 544億ドル | ウォルマート |
10 | ロブソン・ウォルトン | 77 | アメリカ | 541億ドル | ウォルマート |
出典:フォーブスForbes: The World’s Billionaires website
昨年の2020年でフォーブスによる世界長者番付も34回目を迎えた。
リストが作成された時期にはコロナパンデミックが既に始まっており、資産額にも影響があったようだ。
ランキング的には、2018年、2019年に続き、ジェフ・ベゾス(Amazon)とビル・ゲイツ(マイクロソフト)の3年連続の1、2フィニッシュは変わらず。
2019年度個人資産ランキングトップ10
順位 | 名前 | 年齢 | 国籍 | 資産 | 収入源 |
1 | ジェフ・ベゾス | 55 | アメリカ | 1310億ドル | アマゾン |
2 | ビル・ゲイツ | 63 | アメリカ | 965億ドル | マイクロソフト |
3 | ウォーレン・バフェット | 88 | アメリカ | 825億ドル | バークシャー・ハサウェイ |
4 | ベルナール・アルノー | 70 | フランス | 760億ドル | LVMH |
5 | カルロス・スリム | 79 | メキシコ | 640億ドル | アメリカ・モービル |
6 | アマンシオ・オルテガ | 82 | スペイン | 551億ドル | インディテックス、ザラ |
7 | ラリー・エリソン | 74 | アメリカ | 625億ドル | オラクル |
8 | マーク・ザッカーバーグ | 34 | アメリカ | 546億ドル | |
9 | マイケル・ブルームバーグ | 77 | アメリカ | 544億ドル | ブルームバーグ |
10 | ラリー・ペイジ | 45 | アメリカ | 508億ドル | Alphabet |
おととしの2019年世界長者番付では、ビッグテックの世界4大企業GAFAのうち3社の代表者がTOP10にランクインしている。
億万長者の人数・国籍別ランキングトップ10
2020年の億万長者の人数を国籍別に見てみるランキング。
トップ10は以下。
順位 | 国籍 | 人数 |
---|---|---|
1 | アメリカ | 614 |
2 | 中国 | 389 |
3 | ドイツ | 107 |
4 | インド | 102 |
5 | ロシア | 99 |
6 | 香港 | 66 |
7 | ブラジル・イギリス | 45 |
8 | カナダ | 44 |
9 | フランス | 39 |
10 | イタリア・中華民国 | 36 |
日本人の億万長者
トップ10に日本は入ってないが、日本人の億万長者の数はゼロではない。
ちなみに、日本国籍の億万長者の人数は次のようになっている。
- 日本の億万長者・・・26人
- 世界ランク・・・14位
これまでの世界長者番付の歴史の中で世界一位になった日本人は以下の2人。
- 堤義明・・・西武グループの元オーナー
- 森泰吉郎・・・森ビル創業者
日本の長者番付「高額納税者公示制度」とは
かつては、日本国内にも長者番付的なものが存在していた。
それが「高額納税者公示制度」で、数千万~数億円単位の高額納税者を公に周知する制度だった。
つまり、日本国内で税金をたくさん払った人のランキングを発表するというものだ。この制度は1947年から2005年まで導入されていたが、諸事情により2006年に廃止された。
この公示された高額納税者名簿は、つぎのように呼ばれていた。
- 高額納税者番付(こうがくのうぜいしゃばんづけ)
- 長者番付(ちょうじゃばんづけ)
導入の目的
「高額納税者公示制度」が導入された目的は、以下のとおり。
- お金持ちの脱税防止
- 高額納税者の社会貢献の功績を表彰する
つまり、高額納税による社会貢献の功績を表彰する形を取りつつも、所得金額を公にすることで第三者のチェックによる脱税防止効果を狙ったものだった。
情報提供者には報償金が与えられる「第三者通報制度」
高額納税者公示制度が導入された初期の頃には、「第三者通報制度」も導入されていた。
これは脱税防止効果を強化するために、「情報提供者には脱税発見額に応じて報償金が支払われるという制度」である。
つまり、イメージ的には密告者が賞金をゲッドできる、ある種の賞金首ウォンテッドなシステムだった。
しかし、第三者通報制度は通報の動機が「怨恨」や「報復目的」が多かったため、1954年に廃止されているのだ。時代劇に出てくる越後屋みたいに悪いことして儲けてる人もいるからね。
「高額納税者公示制度」が廃止された理由
かつて、日本国内にもあった長者番付「高額納税者公示制度」は2006年に廃止された。
廃止の理由は次のようになっている。
- 犯罪抑止
- 公示逃れ
- 税務技術の普及
- 個人情報保護法の施行
おもな理由としては、この制度のせいで「自分が大金持ちなこと」や「お金持ってることが他人にバレる」わけで、犯罪に巻き込まれたら激ヤバスなので、無くなった感じである。
世界長者番付に仕組まれた「勘違い」という名のプログラミング
世界長者番付とは、いったい何なのか。何のためにあるのか。それは一般庶民に「勘違い」させるための「洗脳プログラミング」なのかもしれない。
世界のお金持ちがどのくらいの資産を持っているのかを大々的に発表する。敢えて分かりやすく数字で見せる。
これにより、一個人が所有できる財産やお金の量には限りがあるのだ、というある種の「錯覚」や「勘違い」を私たち庶民に繰り返し植え付ける。
そもそもお金という仕組みを作り、それを先祖代々受け継いでいる者や通貨発行権をもつ者は、一般大衆や普通の資産家のように銀行に貯金したり、お金をプールする必要はないのだ。
つまり金庫や財布を持つ必要がない。わざわざ、お金を所有する必要はないし、貯める必要もない。お金は、いつでも自分の好きな時に電話一本、指一本で作り出せるのだから、使う時に用意すればいい。
お金をいつでも好きなだけ作り出せる者が、あえて「お金を持たない」ということは、一個人が持てる資産の量に縛られることなく、お金を無限に持っていることと等しい、「0=∞」というような妄想が膨らんでいく。