日常の話題

共通善の敵は消費税

消費税や社会保険料の増額などから私達の暮らしの安全を守ることは共通善きょうつうぜんである。

なぜなら、私たちの生命の安全が確保されていることが、日常生活を送る上で必要最低限のことだからだ。

長年に渡る不況、賃金もなかなか上がらない。そして現在の物価高だ。容易に生活費が使えない状況において、税や社会保険料で可処分所得かしょぶんしょとくを削ることは、まさしく生命を脅かす危機といえる。

国民負担率

国民負担率とは、国民が支払う税金や社会保険料などの公的負担が国民全体の収入に対してどのくらいの割合を占めるかを示す指標である。

2023年度の日本の国民負担率は約46〜47%とされている。これは国民所得の半分近くが税金や社会保険料として国や自治体に支払われていることを意味する。

江戸時代は農民から年貢の半分を取り立てる五公五民ごこうごみんの重税で一揆が起きたとされている。

  • 租税負担率:約25〜27%
  • 社会保障負担率:約20%

国際比較

国民負担率は国によって大きく異なる。日本の国民負担率は、国民所得比で計算されるのが特徴。

2023年2月に財務省が公表した資料によると、2023年度の国民負担率は46.8%(見込み)、2024年度は45.1%(見通し)とされている。

一方、国際比較ではGDP比が標準的に使われるため、日本の国民負担率をGDP比でみると、2020年度は約33.5%程度となり、国民所得比よりも低い数値が出る。

  • デンマーク: 46.5%
  • ベルギー: 44.6%
  • スウェーデン: 36.7%(国民所得比では54.5%)
  • ドイツ: 40.7%(国民所得比では54.0%)
  • イギリス: 34.7%(国民所得比では46.0%)
  • 日本: 33.5%(国民所得比では47.9%)
  • アメリカ: 26.1%(国民所得比では32.3%)
  • OECD平均: 約34.0%

日本は中間に位置しており、北欧型(高福祉・高負担)アメリカ型(低福祉・低負担)の間を取った形とよく言われている。

  • 後期高齢者医療保険料(2024年):値上げ
  • 65歳以上の介護保険料(2024年):値上げ
  • 森林環境税(2024年):新設
  • 相続税(2024年):課税対象拡大
  • 復興特別所得税(防衛増税)(2025年):徴収期間延長
  • 贈与税(2025年):非課税枠廃止
  • 独身税(?):新設
  • 走行税(?):新設
  • 通勤手当税(2026年以降?):新設

しかし、それ以外にも上記のように「ステルス増税」といわれるものが国民のあずかり知らないところで作られていく。

  • ステルス増税(さまざまな税と保険料)
  • 再エネ賦課金(電気料金に含まれる)
  • NHK受信料

これまでの税や社会保険料にステルス増税、再エネ賦課金、なかば強制的に徴収されようとしているNHK受信料などを加えれば、日本は立派な「高負担・低福祉」国家である。

高い国民負担率は医療や教育、年金などの社会保障を充実させる財源になるというのが建前たてまえになっているが、負担が重すぎれば個人の可処分所得(自由に使えるお金)が減り、経済活動が停滞する。

まさに、日本は取るだけ取っておいて面倒は見ないという超弩級ちょうどきゅうの新自由主義的自己責任クソ国家に成り果てようとしている。

共通善を破壊する暴政

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、「共通善とは社会を構成する自由で平等な市民一人ひとりが道徳的に優秀になること」と論じている。

彼の主張を継承する政治思想に「共和主義」というものがある。これは自由と平等という政治的な価値とそれを実現する政治制度を「共通善」であるとみなす考え方だ。

これに対し、「共通善」が失われている状態を暴政ぼうせいという。暴政とは暴虐非道な指導者による恐怖政治といった言葉のイメージどおりの意味ではない。

政治思想用語としての「暴政」とは、「一部の権力者が自己利益を優先させた結果、国民生活が疲弊し、破壊され、自由と平等が損なわれた事態」を意味する。

あとがき

これまで政権を担当してきた政治家や指導者たちは意識的にせよ無意識的にせよ、この国を破壊してきた。筆者も含め道徳的に優秀ではなかった国民たちの選択が、30年間この国の共通善を歪め、暴政を蔓延はびこらせてきた。

これまでは何をするにも「財源が〜!」と騒ぎ立てるのが通例だったが、昨今、日本における財源論「緊縮財政を推し進めようとする政府・官僚・財界のプロパガンダである」とする主張も日に日に増え、財務省や政府の経済政策のあり方について声をあげるデモが各所でおこなわれている。

現在の国の汚れに気づき、未来の国の美しい景色とそれを引き継いでいく子供たちの笑顔を想像できるかどうかで、私たちのこれからの行動は変わっていく。

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