このところアマゾンプライム・ビデオでアニメをよく見ている。
ところで、アニメの「バビロン」見た?このアニメ怖くない?筆者は怖い。色んな意味で。このストーリーには、「自殺法」という法律の是非が語られている。
始まって早々、登場人物が死にまくるので、「次の犠牲者は誰だ?」ということばかりに目が行ってしまう本作だ。
その裏では国すらも支配下に置き、人が自由に自殺できる権利である「自殺法」を作らせる企みが見えてくる。また、日本だけでなく、アメリカ、世界各国で自殺法を取り入れる動きが広がっていく。
原作が小説のアニメ化だが、うすら寒い感じがする。読む毒薬から見る毒薬になったアニメ「バビロン」の感想と物語の中で語られる自殺法について考えてみたい。
アニメ・バビロンの原作
アニメ「バビロン」の原作は野崎まどさんのサスペンス小説である。
本作は、「自殺は悪いことなのか?」や正義とは悪とはという結構ヘビーなテーマを抱えている。また、過激で怖いシーンも多く「読む毒薬」とも言われています。
そんな問題作でもあり、ホントにアニメ化できるのかと心配されていた。でも、そんな心配をよそに余裕のアニメ化。作者自身も「公序良俗に反する作品です」とコメントしていて、その問題性をよく認識している様子。
アニメ・バビロンの主題歌
アニメ「バビロン」の主題歌を担当するのは、「Q-MHz」。アニメ「バビロン」は3章で構成されているアニメで各章で違う楽曲が提供される。
上記の動画は第1章の主題歌「Live and Let-Die」。章ごとに主題歌が変わるのも楽しい。
何話も同じ曲が続くと飽きてしまって、「歌を飛ばして本編へ」というのがルーチンワーク化するので。
アニメ・バビロンの平松の正体と声優さんは?
アニメ「バビロン」の肝とも言えるキャラが曲世愛(まがせ・あい)。
平松絵見子(ひらまつ・えみこ)の正体は、変装した曲世です。
曲世愛の声優は?
この狂ったセクシーボンバー曲世を演じている声優さんは、「ゆきのさつき」さんです。
アニメ歴の長い人には「雪乃五月」、「雪野五月」の芸名の方が馴染み深いかもですね。
ピンとくるキャラだと「犬夜叉の日暮かごめ」の声をやってましたね。
曲世愛はいくつもの顔をもっている
この曲世愛は、いろんな人間に変装、いや化ける。江戸川乱歩の生み出した怪人20面相ばりに。
しかも、顔を隠しているわけではないのに同一人物に見えないという薄気味悪さ。
その他に、因幡に接触していた「巨乳の美女」や正崎の部下・文緒が追っていた「10代の少女」にも化けていた。
アニメ・バビロンのあらすじ
メインキャラは、耳元で囁くだけで、人を自殺に追い込む能力を持つ曲世愛(まがせ・あい)。
その曲世を追う東京地検特捜部で本作の主人公・正崎善(せいざき・ぜん)。
舞台は東京都に新しく作られたエリア「新域」。この新域は政令指定都市を上回る権限があって、第2の東京と位置づけられている。その正体は、新しい法律を試すための「国家の実験場」だった。
新域がらみで、ある事件を捜査をしていくうちに、正崎の部下など犠牲者がどんどん増えていく。その裏には、謎の女・曲世愛の姿が見え隠れするといったストーリーだ。
アニメ・バビロンの感想
このバビロン、まだ小説は読んでないのだが。とりあえず、お試しで見てみて合わなければ切ろうと思い見始めた。それが恐怖の始まりとも知らずに。
早い話数でソッコー○○の手法は新しくはないが
すぐ思いつくのだけでも、まどか☆マギカの「ティロ・フィナーレ」がマミるシーンや「喰霊-零-の第1話」なみのインパクトはあるのかなと。
この手の手法は、最近では使い古された感があるっちゃあるのですが、出て来て即死パターンはいつ見ても精神衛生上うんぬんなのだ。
「なに、このアニメそっち系?」イマイチなら切るという、帰り支度は万全だったはずなのに「怖いもの見たさ」という好奇心に逆らうことはできなかったのだ。
曲世愛に釘付け
そして、ただ人が殺される(自殺させられる)だけでなく、国を裏でコントロールして死にたい奴は死ねばええねん的な法律作っちゃおうぜというムーブメント発動する。
東京だけではなく、自殺法の火種が世界に広がる。もう、これは汚染だね、精神汚染だね、やばいよやばいよと。
いつの間にか呼吸をするように悪の道を突っ走る曲世愛に釘付けだ。次は何するの?次は誰なの?という期待感はナゼなんだぜ?
そのダークな期待感とともに、今後、正崎さんがどうやって悪の権化・曲世愛を追い詰めていくのか乞うご期待。
ご飯食べてる時は「バビロン禁止」
これが一番メンタル来たんだけど、曲世さんときたら、正崎さんに見せつけるように、瀬黒ちゃんをエルフィンリート。
ほんとに、これが一番豆腐メンタルきた。正崎さんの部下の瀬黒(せくろ)ちゃんも可愛くて好きな女性キャラだったのに何やねん。
こっちは、毎回、夫婦で見とるっちゅーねん!ウチは、だいたい、晩ご飯食べながらアマゾンプライムでアニメ見てるんだけど、晩御飯食べてる時は「バビロン禁止」になったから。
「このアニメ、ご飯どきに見ない方がいいね」と奥さんに耳元でそっと囁かれたぞ、お前は曲世かと。奥さんにこんなこと言われたの初めてやぞ。
さすがはアニメ「バビロン」。見る毒薬。確実に感染は広がっている。
アニメ・バビロンに出てくる自殺法の考察
暑苦しいレビュー(感想)はさておき。ちょっと辛気臭くなるかもだが、本題の自殺法について考えてみよう。
アニメ・バビロンの自殺法とは
アニメ・バビロンに登場する自殺法とは、東京の新しい行政区画になった新域(しんいき)で推進される新しい法律。
齋開化(いつき・かいか)は新域の自殺法を構想
新域の責任者になった齋開化(いつき・かいか)が表向きには自殺法の言い出しっぺ。この齋は、曲世(まがせ)と行動をともにし、失踪しながら暗躍している。
世界の自殺率
順位 | 国 | 自殺者数 |
---|---|---|
1 | ロシア | 31.0人 |
2 | 韓国 | 26.9人 |
3 | ラトビア | 21.2人 |
4 | ベルギー | 20.7人 |
5 | ハンガリー | 19.1人 |
6 | スロベニア | 18.6人 |
7 | 日本 | 18.5人 |
8 | エストニア | 17.8人 |
9 | フランス | 17.7人 |
10 | スイス | 17.2人 |
11 | インド | 16.3人 |
12 | ポーランド | 16.2人 |
13 | フィンランド | 15.9人 |
14 | オーストリア | 15.6人 |
15 | アメリカ | 15.3人 |
16 | スウェーデン | 14.8人 |
17 | アイスランド | 14.0人 |
18 | ポルトガル | 14.0人 |
19 | ドイツ | 13.6人 |
20 | ルクセンブルク | 13.5人 |
(10万人あたりの自殺者数/WHO調べ2016年)
世界の自殺者数は年間100万人を超えていて、日本も多い時は3万4千人を超えた年もあった。まず、世界の自殺率を見てみる。上記は10万人あたりの各国の自殺率だ。
ホントはもっと多くの国のデータがあるが、20位までを抜粋する。トップはロシアの31.0人で、そのあとに韓国、ラトビアと続く。そして、日本は7位の18.5人です。
日本は自殺率7位
警察庁ホームページによると、2019年の日本の自殺者数は、18,487人だった。
前年の2018年は2万人を超えていたので、減少しているとも言えるが、どうなんだろうか。
データーは都合のいいように改ざんされたりするから。ホントはもっと多かったりして。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
自殺・自死は法律で禁止されていない
世界各国を見ても、自殺を罰する法律はない。だが、自殺しようと考えている人をほう助して死なせてしまった場合、日本では刑法第202条が適用され処罰される。
安楽死も刑法202条で殺人罪に
自殺法は物語の中の話だが、現実社会でもっとも近いと言えるのは、安楽死ではないだろうか。安楽死は、自殺ほう助と同様に刑法第202条が適用され嘱託(同意)殺人罪として処罰される。
安楽死の定義
安楽死(あんらくし、英語: euthanasia)とは、人または動物に苦痛を与えずに死に至らせることである。一般的に終末期患者に対する医療上の処遇を意味して表現される。安楽死推進団体に所属し、スイスで安楽死したオーストラリアの環境学・植物学者 デイビット・グッドールは「ふさわしい時に死を選ぶ自由」と定義している。
(出典:ウィキペディア)
安楽死のという言葉は、一般人がというよりも、主に医師が患者の自殺に手を貸した時に用いられる。また、患者本人の意思によって、医師が致死性のある薬物の服用や投与を実行することを積極的安楽死という。
積極的安楽死を認めている国
国 | 年月日 |
---|---|
スイス | 1942年 |
アメリカ(オレゴン州) | 1994年 |
オランダ | 2001年 |
ベルギー | 2002年 |
ルクセンブルク | 2008年 |
アメリカ(ワシントン州) | 2009年 |
アメリカ(モンタナ州) | 2009年 |
アメリカ(バーモント州) | 2013年 |
アメリカ(ニューメキシコ州) | 2014年 |
アメリカ(カリフォルニア州) | 2015年 |
オーストラリア(ビクトリア州) | 2017年 |
大韓民国 | 2017年 |
現時点で合法的な尊厳死を認める国はこれだけある。実際にスイスで安楽死したオーストラリアの植物学者デイビット・グッドール氏がいる。
また、数年前に筆者もネット掲示板などで、安楽死施設を作ってくれたら良いのにという発言をしている人をよく見かけた。
ニュージーランドでは国民の65%が安楽死に賛成
2020年10月30日、ニュージーランドでは「安楽死容認」の賛否を問う国民投票がおこなわれた。
- 賛成・・・65.2%
- 反対・・・33.8%
賛成が65%を越え、「死ぬ権利」が認められることになったのだ。
対象と基準
ニュージーランドにおける安楽死の対象者と基準は以下のとおり。
- 18歳以上の国民と永住者
- 余命半年以内と診断された回復が認められない患者
- 投薬による安楽死
- 2人の医師からの承認が必要
来年の2021年11月6日から新法が施行される見込みだ。
宗教的に見ると
宗教的に見てみると、また違った見方があったりする。
キリスト教では自殺は罪
キリスト教では、神からもらった命を自ら断つことは神に対する反逆と見なされる。自殺をすれば煉獄に行くと言われ、伝統的に自殺は禁止されている。
また、聖書には、イエス・キリストの弟子パウロが自殺しようとした者を改心させる逸話もある。
イスラム教では地獄行き
イスラム教でも自殺は地獄行きとされている。だが、イスラム教の場合、自爆テロがあったりする。
これに関しては、イスラム教の宗派によっても解釈が違ってくるのだが、敵に対しての自爆攻撃はジハード(聖戦)なので天国に行けるという。
一方、民間人に対しての自爆攻撃は自殺として永遠の刑罰を受けるという考え方らしい。これに関してはノーコメントとする。
仏教では禁止はしていないが
仏教の始祖・ブッダは自殺を禁じてはいない。というより、自殺を善悪で論じることはなかったそうだ。
しかし、「牛のたとえ」という逸話があり、自殺をしようとした人を見かけて改心させたと言われている。
カリギュラ効果を利用して自殺を抑制する
これは、不謹慎かもしれないが、自殺防止と抑制のために、あえてバビロンのように自殺法を作ってみたらと考えてみた。
人には「やってはダメ」と禁止されると、やらずにはいられない心理が存在する。これを「カリギュラ効果」というが、これを利用して自殺の防止、抑制ができないかと。
逆に禁止されなくなった時、人は禁断の果実のうま味を感じることができず、自死への誘惑から目覚めるのではといったことが狙いなのだが。
確かに自殺の原因は、仕事や人間関係、貧困とさまざまで、死んででも今ある苦しみから逃れたいのだから、それを止めることは一筋縄ではいかない。
でも、自殺法が存在する世界を想像してみると、「死のうと思えば、死ぬことはいつでもできる」、「もうちょっとだけ頑張ってみるか」と一旦クールダウンして自分の取り巻く状況を冷静に見つめ直すことが出来るのではないか。
一見、マイナスに見えることからプラスに転じる反作用的な何かが生まれるのではないかと期待してしまう自分がいるのだ。まあ、考え方が楽観的すぎだろうがな。
自殺は悪いことなのか
日本では案楽死の事件が起きていることもあり、議論されている真っ最中だ。
しかし、上記のように安楽死を認める国が実際にあるということを考えると、遥かに遠い未来に自殺法が生まれる可能性はゼロではないと思う。
では、自殺は悪い事なのか?個人的な意見だが、良いも悪いも無いと考える。個人的な価値観や考えの問題なので、それを法で縛ったり、禁止するという類いの話ではないと思うのだ。人それぞれ。なので、自殺法に対する結論は賛成も反対もない。
昔偉い人がこの世はデッカイ宝島だと言っていた。綺麗ごとになるが、せっかく生まれてきたんだから自ら命を絶つって、すごくもったいない気がするし。近距離にそういう人がいたら、やっぱり止めるのだろう。
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