不思議な話

【奇妙な死に方をした人たち①古代編】空から陸ガメが降ってくることもある

人間とは何か。

人間と切っても切れないモノとは何か。

と問われれば真っ先に頭に浮かぶのが「生と死」だろう。

われわれは普段、死を意識しないようにして生きている。

だが、古代から現代にかけて想像も出来ない死に方をした人物たちが存在する。

今回は、古代において「奇妙な死に方をした人たち」について見ていく。

第2部【中世編】、第3部【近世編】、第4部【19世紀編】が待ちきれない方はこちら。

【奇妙な死に方をした人たち中世編】笑い続けて気づいたらヘブン

【奇妙な死に方をした人たち近世編】ヒゲに生きヒゲに殉ず髭ダンディズムを体現した男

【奇妙な死に方をした人たち19世紀編】野菜が凶器になることもある

奇妙な死に方をした人たち古代編

①お祝いの贈り物に殺された男

 

「アテネの立法者ドラコン」は古代ギリシャのアテネにおいて最初の憲法を作った人物である。

紀元前620年頃、エギナ島にある劇場で彼の業績を称えるために集まった群衆により投げられたマントや帽子などの「贈り物に埋もれて窒息死」したという。

②格闘技の試合中に自らのキックの連打で死を招いた男

UffiziFlorenceWrestlers

古代ギリシャの格闘家(グラップラー)だったアリチオンは、紀元前564年のオリンピックのパンクラチオン決勝戦で、グラウンドでの抑え込みから抜け出すために、対戦相手にキックの連打を浴びせた結果、対戦相手に首を折られてしまった。

対戦相手は痛みに耐えかね、ギブアップの合図を出すが、その際に誤ってアリチオンの首をへし折ってしまったという。

対戦相手が負けを認めていたため、アリチオンは死後に勝者となった。

③体にウンコを塗りたくったために犬に食い殺された男

Heraclitus, Johannes Moreelse

紀元前475年頃、ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは「むくみ」を治療するため牛糞を自分の身体に塗りたくった結果、「犬に食い殺された」という。

④ワシの落した陸ガメに殺された男

Aischylos Büste

古代ギリシャの三大悲劇詩人の1人アイスキュロスは、「頭にリクガメを落されて死亡」したという。

上空を飛んでいた鷲(ワシ)は、彼の見事に禿げあがった頭部を岩と勘違いして陸ガメの甲羅を砕くのに利用しようとしたのだ。

古代ローマの博物学者・大プリニウスによれば、アイスキュロスは「落下物によって死ぬ」という予言におびえ、屋外で生活していたとされる。

この場合、主犯はワシなのか陸ガメなのか、もしくは共犯なのか判断に迷うところだ。

⑤自分が神であるという妄想に殺された男

Empedokles
紀元前430年、古代ギリシャの哲学者エンペドクレスは、「自分が神であることを証明するためエトナ火山の火口に飛び込んで死亡した」という。

⑥昆虫に肉体を喰わせる刑で殺された男

Artaxerxes II

紀元前401年、アケメネス朝ペルシアの兵士ミトリダテスは、国王アルタクセルクセス2世の王位を奪い取ろうとしていた王の弟・小キュロスを討ちとった。

しかし、そのことを周囲に自慢し王の顔に泥を塗ったとして、昆虫に受刑者の肉体を食わせる「スカフィズム」という刑で処刑されたという。

王の主治医だったクテシアスによれば、ミトリダテスが昆虫の刑で死亡するのに17日間かかったとされる。

⑦爪楊枝(つまようじ)に殺された男

Tooth pick

紀元前288年、古代ギリシャの僭主アガトクレスは、敵に毒を塗られた爪楊枝を使ってしまい毒殺された。

または、爪楊枝が原因で出来た傷の痛みに耐えられず、暖炉に飛び込み焼け死んだという説もある。

⑧学問に殺された男

Antikythera philosopher

紀元前270年、ギリシャの学者コス島のフィリタスは議論と言葉の用法の研究に没頭し過ぎて、餓死したという。

⑨不老不死の幻想に殺された男

Qinshihuang

紀元前210年、不老不死に憑りつかれていた「秦の始皇帝」は、永遠の命が得られると信じ、有毒な水銀の丸薬を服用して死亡した。

⑩ロバとイチジクで笑い死にした男

Chrysippos BM 1846

紀元前206年、古代ギリシャの哲学者クリュシッポスは、ロバがイチジクを食べているのを見て笑い出し、「笑い過ぎて笑い死にした」という。

⑪ゾウの下敷きで死亡

 

紀元前163年、聖書で英雄として描かれているエレアザル・アヴァランは戦場で敵国の王が乗る象に槍を突き刺した矢先、倒れてきた象に押しつぶされて圧死したという。

⑫リアル焼き土下座で死亡

Carlo Crivelli 024

258年、キリスト教の助祭ローマのラウレンティウスは、ローマ皇帝ウァレリアヌスの時代に迫害を受け、巨大な焼き網の上で生きたまま焼かれて死んだという。

一説には、ラウレンティウスは焼かれながら処刑人をからかって、「ひっくり返せ、こちら側はもう焼けている」と言ったとか。

要するにトネガワ風リアル焼き土下座。

現在ラウレンティウスは、コックやシェフ、コメディアンの守護聖人となっているそうだ。

まとめ

この12人の偉人の稀有な死の中で印象的なものを挙げるとするなら、ギリシャの悲劇詩人アイスキュロスだろう。

「落下物で死ぬ」という予言に怯え、せっかく屋外で生活していたのに、空から物が落ちてきたことで、その人生は悲劇で幕を閉じた。

今回、ご紹介した古代の偉人による珍しい死に様は、そのほとんどは創作であり、都市伝説の可能性が高いとも言われている。

しかし、古代という時代背景もあってか、死因ひとつとってみても現代ではありえないようなことが起きていたのかも知れない。

つまりは、メメントモリなのである。

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