【バイエルンのイルミナティ】スケープゴートという秘密結社の生存戦略

不思議な話
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アダム・ヴァイスハウプトは、先進的な考え方を持つ人物だった。

当時、聖職者たちがこだわっていた迷信を軽蔑し、不正に立ち向かうために、「イルミネイティド組織」を立ち上げた。これが、のちの1776年の「バイエルンのイルミナティ」の創設につながる。

この組織は、もともと「完璧主義者組織」と呼ばれ、メンバーは人とはどうあるべきかという「倫理」と「道徳」を追及し、「世界を改革するのは善人が作る団体によって運営されねばならない」という考えの元に作られた。

今回は「現代の陰謀の出発点」とも考えられている「バイエルンのイルミナティ」についてご紹介しよう。

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バイエルンのイルミナティとアダム・ヴァイスハウプト

Adam weishaupt

アダム・ヴァイスハウプト(1748-1830年) image:wikipedia

生年月日1748年2月6日
出生地ドイツのインゴルシュタット
経歴イエズス会で学ぶ
1775年インゴルシュタット大学で自然法と教会法を学び、27歳で教授となる
1776年5月1日、バイエルンのイルミナティを創設
1777年ミュンヘンにフリーメイソンのロッジ「テオドール・オブ・グッド・カウンシル」を創設
1784年バイエルン政府はイルミナティに活動禁止令を発令
1785年ヴァイスハウプトは教授職を剥奪され、バイエルンから追放

アダム・ヴァイスハウプトは1775年に大学教授に就任後、1776年に「バイエルンのイルミナティ」、その翌年にはミュンヘンにフリーメイソンのロッジである「デオドール・オブ・グッド・カウンシル」を創設している。

創設メンバー

Knigge Freiherr

クニッゲ男爵(1752-1796年)image:wikipedia

バイエルンのイルミナティの創設メンバーは以下のとおり。

  • アダム・ヴァイスハウプト
  • フォン・クニッゲ男爵
  • クサーヴァー・ツヴァイク
  • バッソス男爵

ヴァイスハウプトは有力者たちとともにイルミナティを作ると、その噂は広く知れ渡り、メンバーは2000人に達した。

イルミナティのロッジ

Emblem of Bavarian Illuminati

イルミナティのエンブレム「ミネルヴァのフクロウ」 image:wikipedia

ロッジとは各地に点在する支部のことを指す。

イルミナティのロッジは、ヨーロッパから東ヨーロッパや北欧にも広がっていった。

  • フランス
  • イタリア
  • ポーランド
  • ハンガリー
  • スウェーデン
  • デンマーク
  • ベルギー
  • オランダ

ヴァイスハウプトの追放とイルミナティの消失

1784年6月22日、イルミナティを危険な組織と判断したバイエルン政府は活動停止命令を出す。翌年ヴァイスハウプトは教授職を剥奪されバイエルンから追放された。

1786年、政府はメンバーだったクサーヴァー・ツヴァイクの自宅を襲撃し、押収した資料を結社の鎮圧に利用した。

禁止令が出されるとイルミナティは組織的な勢いを失い、18世紀には完全に姿を消したと考えられている。

しかし、その一方でイルミナティは完全に消失してはおらず、フリーメイソンに溶け込んでいったという説も存在する。

以来、イルミナティはフリーメイソンの中から、強大な権力を振るい世界を操っているという。

イルミナティ崩壊の理由

聞くところによるとヴァイスハウプトは、神秘的な黒装束を身にまとった男だったという。

彼は「独立宣言」の原稿を執筆し、アメリカ政府に送ったと言われている。

また、イルミナティの創設メンバーだったツヴァイクの自宅が襲撃された理由は、1784年にバイエルン政府がフランス支部のリーダーだったロベスピエールに宛てられた手紙を発見したからだった。

そこには、1789年に「フランス革命」を起こすための手順が記されていたという。

イルミナティに関する不思議な噂

イルミナティには上記の話以外にも不思議な噂話が存在する。

  • イルミナティはフリーメイソンのメンバーからスカウトされる
  • イルミナティ三部作『The Illuminatus! Trilogy』出版した人物が現イルミナティのリーダーである
  • フランス革命や明治維新を起こしたのもイルミナティのしわざ
  • 神出鬼没で不老不死の男「サンジェルマン伯爵」もイルミナティのメンバーだった

イルミナティのメンバーはフリーメイソンからスカウトされる

イルミナティのメンバーはフリーメイソンから選ばれるという噂も存在する。

1902年、フリーメイソンのメンバーだったイギリスの検死官ウィリアム・ウェストコットは、同じくフリーメイソンのメンバーだったテオドール・ロイスから「バイエルンのイルミナティ」への入会を許されたという。

また、神秘主義者のエリファス・レヴィは1913年にバイエルンのイルミナティとフリーメイソンは関連組織だと語っている。

イルミナティ三部作を出版した人物が現イルミナティのリーダー

Robert Anton Wilson, 1977

ロバート・アントン・ウィルソン image:wikipedia

1970年代にロバート・シェイとロバート・アントン・ウィルソンの2人は、イルミナティ3部作『The Illuminatus! Trilogy』を出版した。

この本は壮大な陰謀論をフィクションに仕立て、イルミナティの内部事情を暴露した小説だ。

この本によってイルミナティの存在が再度、民衆に知れ渡ることになったが、この話がただの作り話だと思う者はいないだろう。

また、作者の一人、ロバート・アントン・ウィルソンが現イルミナティのリーダーだと噂する者もいるのだ。

フランス革命や明治維新を起こしたのもイルミナティのしわざ

Taisehokan

「大政奉還図」 邨田丹陵 筆 image:wikipedia

フランス革命イルミナティのしわざだという噂があるが、そのフランス革命明治維新にはある共通点が見られるという。

フランス革命では、領主の持つ権力が破壊され、そのかわりに商工業や金融業の上に立つ者が権力を握った。

同じく江戸時代も領主が権力の座にあったが、明治維新後は商工業、金融業の上に立つ者が権力を手に入れた。

この点からフランス革命と明治維新は、ある意図をもって引き起こされたと考えられなくもない。

もしかしたら、日本の明治維新を計画したのもイルミナティなのかもしれない。

神出鬼没で不老不死の男「サンジェルマン伯爵」もイルミナティのメンバーだった

Count of St Germain

サン・ジェルマン伯爵 image:wikipedia

都市伝説やオカルト話が好きな人なら、一度はその名を聞いたことがあるであろう人物「サンジェルマン伯爵」。彼はイルミナティのメンバーだったという話も存在する。

イルミナティのメンバーリストには、「コンスタンツォのサンジェルマン侯爵」という名が載っているが、その人物が「サンジェルマン伯爵」だと言われている。

サンジェルマン伯爵は神出鬼没で、魔術師や錬金術師、賢者として中世からあらゆる時代に存在した世界でただ一人の「不老不死」とされる人物である。

その彼が、秘密結社「イルミナティ」の魔術師の階位を与えられたメンバーだったという話は興味深い。

イルミナティはフリーメイソンへの疑惑をそらすために作られた組織

そもそも、イルミナティはフリーメイソンに向けられた疑惑の目をそらすために作られた組織だという噂も存在する。

フリーメイソンは各国政府の廃止から世界統一政府の樹立、宗教の一本化などの目的を達成するために自分たちの計画を隠し通さなければならなかった。

そのため、組織に向けられる疑いの目、つまり悪事に対する批判や暴露話に対処するための苦情処理班や隠れ蓑、スケープゴートとしてイルミナティという組織が必要だったのかもしれない。

これが数百年ものあいだ、ひっそりと暗躍しつづける秘密結社の生存戦略なのだ。

あとがき

アダム・ヴァイスハウプトはバイエルンのイルミナティの創設時に次のように語っている。

われわれの秘密を明かそう。われわれが唯一無二の宗教を持っているかのように振舞ってきたのは、キリスト教をはじめとする宗教を根絶するためであったのだ。目的は手段を正当化する。智者はあらゆる物事を善き手段に変えることができるのだ。しかし、、これを達成するには秘密組織の存在なしには不可能である。秘密組織は徐々にそして極秘のうちに、政府をわがものにし、この政府を利用して基本目的を達成するのだ。つまり、この秘密結社の目的は、明確なるキリスト教の廃棄とすべての市民政府の打倒である。

1776年5月1日 アダム・ヴァイスハウプト

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どうも、コウです。
すこぶる天然な妻と二人で暮らしております。
謎が謎を呼ぶ不思議な事や妄想する事が好きなので、そのジャンルの情報発信と日常の中で埋没しがちな素朴な疑問を拾い上げ考察します。
懐柔か支配か。どうすれば良いのかわかっているのに、それをさせない何かがある。
愚かな習慣をやめるには行動が必要で、それは気づきを掘り起こす事から始まる。
つまりは、すべてエンタメである。

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