神に仕え、ある時は人を守護し、悪魔と戦う天使たち。
その数は、40億かそれ以上とも言われる天使たちですが、その頂点に君臨し統率するのが大天使ミカエルである。
そもそもミカエルは異教の神だったとも言われている。
今回は「大天使ミカエル」をサラッとご紹介しよう。
大天使ミカエルとは
大天使ミカエルは、天使たちを率いるリーダー的存在だ。
「ミカエル」という言葉は、ヘブライ語で「神に似た者」という意味である。
大天使ミカエルは「三大天使」の1人
ミカエルは旧約聖書から、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ伝わり、教派によっては異なるが、「〇大天使の1人」と考えられてきた。
- 三大天使
- 四大天使
- 七大天使
三大宗教においては、偉大な天使として認知され、天使の階級や序列で言えば、最高位の「熾天使(してんし)」に位置するとも言われる。
大天使ミカエルはもともと異教の神だった
そもそもミカエルは天使ではなく、紀元前6世紀ごろにメソポタミアの地に栄えていたカルデア(新バビロニア)という王国で崇拝されていた神だったという。
この時代のユダヤ人は捕虜としてこの国に連行され、数世代にわたり労働を強いられてきた。
その時、カルデアの文化や風習と同時にミカエル信仰も吸収し、ユダヤ教にも取り入れられたのではと言われている。
聖書の中のミカエル
大天使ミカエルは、以下の新・旧の聖書にも登場する。
- 旧約聖書の「ダニエル書」
- 旧約聖書外典の「エノク書」
- 新約聖書の「ユダの手紙」
- 新約聖書の「ヨハネの黙示録」
また、以外にも旧約聖書に名が記されている天使は、「ミカエル」と「ガブリエル」だけなのだ。
他の天使たちは、時代を経るごとに徐々に判明していったか、新たに作られていった。
ダニエル書に登場するミカエル
旧約聖書「ダニエル書」によれば、ミカエルはイスラエルの民(ユダヤ人)の守護者であり、天使長の肩書を持つ。
しかし、その後ミカエルはユダヤ人のみならず、神ヤハウェを信仰するすべての民の守護者となった。
とくにキリスト教の最大派閥、カトリック教徒のあいだにおけるミカエル人気は絶大で、カトリック圏ではミカエルの降臨や奇跡にまつわる伝説が多い。
フランスの「モン・サン・ミシェル修道院」は大天使ミカエルの奇跡により建てられた?
フランスの観光名所であり、世界遺産として知られる「モン・サン・ミシェル修道院」。
この礼拝堂は、8世紀にアヴランシュ司教オベールが夢の中で大天使ミカエルのお告げを聞き、その命令に従って建てた物だと言われている。
ちなみに、このモン・サン・ミシェル修道院の名前に含まれる「ミシェル」は、ミカエルのフランス語読みである。
ミカエルの読み方
ミカエルの読み方は、世界各国の人名にも使われている。
アメリカ読みのマイケルが一番有名だろうか。
- 英語では「マイケル」
- ドイツ語で「ミヒャエル」
- フランス語で「ミシェル」
- スペイン・ポルトガル語で「ミゲル」
- イタリア語で「ミケーレ」
- フィンランド語で「ミカ」
- ロシア語で「ミハエル」
- アラビア語は「ミカイール」
- 日本語では「ミエハル」
となっている。
天使崇拝は禁じていたがミカエルの崇拝だけは許されていた
これまで、天使を崇拝することは偶像崇拝につながるとして、カトリック教会は庶民のあいだで天使崇拝が過熱するたびに厳しく禁じてきた。
しかし、大天使ミカエルだけは別格とされ、彼への崇拝はむしろ奨励されていたようである。
というのがカトリック教会の公式見解であり、彼を天使の中の天使として「天使長」と呼んでいるのだ。
剣を持った大天使ミカエルがサタンを踏みつける絵画
そんなミカエルは、多くの役職を兼任しているが、一番重要な任務と言えば、「悪魔王サタンを戦うこと」だ。
その姿は、甲冑を身に纏い、剣をたずさえ、翼を持つ戦士として描かれており、多くの絵画ではサタンやその化身であるドラゴンを踏みつけているシーンが有名である。
イスラム教での天使のトップはガブリエル
ミカエルはユダヤ教、キリスト教では、天使たちの頂点に立つが、イスラム教ではトップではなく「2番手」に位置づけられている。
イスラム教での天使のトップは「ガブリエル」で、天使ガブリエルは神の知恵と啓示を司り、預言者ムハンマド(マホメット)にコーランを伝えた天使として、崇拝されている。
まとめ
現代の偶像崇拝と言えば、「アイドル」。
アイドルと言えば、「推し」。
「アイドル」や「芸能人」のファンなどを見てみると、そこには、人によって好みや「推し」もさまざまである。
天使の起源やランク付けも宗教や経典により変わってくるが、ひょっとしたらそこには今でいう「推し」といったものが介入していたのかも知れない。