不思議な話

【タイタニックの都市伝説】沈みゆく謎は映画よりも奇なり前略海の底より

「タイタニック号沈没事故」とは、1912年4月14〜15日にかけてタイタニック号がイギリスからアメリカへの航海中に北大西洋で起こった海難事故である。

タイタニックは「4月14日23時40分」に氷山に激突し、その2時間40分後に沈没した。

船には2,224人の乗客がいたが、そのうち1513人が亡くなり生還したのは710人だった。

2009年、最後の生存者が亡くなり乗船者のすべてがこの世を去った。

この世界的に有名なタイタニック号沈没事故には、以下のように事故についての陰謀論や様々な都市伝説が存在する。

  1. 保険金目当ての事故説
  2. 船体すり替え説
  3. 石炭火災による船体強度低下説
  4. 操船ミス説
  5. ミイラの呪い説
  6. ブルーリボン賞説(大西洋最速横断記録)
  7. 天文現象説
  8. タイタニック沈没事故の予言

日本では「金曜ロードショー」で放送されるたびに、ジブリ作品なみに話題になるタイタニック。

今回はタイタニックの沈没事故にまつわる都市伝説を見て行こう。

タイタニック号沈没事件の都市伝説

Titanic sinking gif沈没のアニメーション image:wikipedia

タイタニックは、映画のロマンチックなラブストーリーに目が奪われがちになる。

だが、その事故原因については様々な都市伝説や陰謀論が囁かれていて興味深い。

①保険金目当てでタイタニックを沈めたという陰謀論

Stöwer Titanicプリンツ・アダルベルト号の乗組員が1912年4月15日に撮影した氷山。タイタニック号が衝突した氷山だと考えられている。image:wikipedia

当時、タイタニック号を所有していた「ホワイト・スター・ライン社」は、財政難で保険金を手に入れるために故意に船を沈めたという陰謀論も存在している。

この陰謀論が囁かれる理由には、悪名高き大富豪「J・Pモルガン」が関係しているからかも知れない。

タイタニックの所有者は「ジョン・モルガン」だった

JohnPierpontMorganJPモルガン image:wikipedia

タイタニックの事実上の所有者はホワイト・スター・ライン社に出資していた銀行家で大富豪の「ジョン・ピアポント・モルガン」だった。

ジョン・モルガンと言えば、アメリカに連邦準備制度(中央銀行)を作るために暗躍したメンバーの1人である。

タイタニックに乗る予定だったモルガンは直前に病気を理由にキャンセルしている。

モルガンの代わりに別の大富豪が乗ることになったが、キャンセルが続き、結局社長のブルース・イズメイが乗船することになった。

最終的に50人以上もの人間が乗船直前にキャンセルしたという噂もあるようだ。

モルガンはキャンセル後に旅行していた

モルガンは病気で乗船をキャンセルしたが、同時期に北アフリカからフランスにかけて旅行していたことが分かっており、イタリアでは愛人にも会っていた。

タイタニックの船旅をキャンセルした顧客の中にはモルガンの知り合いが数人いたことも判明している。

急遽予定が変わり、この航海で起きることを知っていたのかもしれない。

②船体すり替え説

Olympic and Titanic姉妹船オリンピックと並ぶタイタニック (右) image:wikipedia

タイタニック号には「オリンピック号」という姉妹船があり、姿かたちがよく似ている。

オリンピック号はタイタニックよりも1年早く営業を開始していたが、1911年から1912年の間に2回も事故を起こしている。

  1. イギリス海軍巡洋艦と接触し、船尾が大破したが海難保険は降りなかった
  2. 大西洋を航行中に障害物に乗り上げて、船体に大ダメージを負った

この2件の事故が、オリンピック号が近い将来廃棄される予定だったのではないかという「船すり替え説」の根拠になっている。

要するに、廃棄寸前のオリンピック号の内装や仕様を変更し、偽タイタニック号に仕立て上げ、わざと氷山にぶつかったという陰謀論である。

③石炭火災による船体強度低下説

Iceberg and titanic (ja)氷山に衝突した船体の模式図 image:wikipedia

1912年に開かれた事故調査委員会では沈没原因として「石炭火災」が取り上げられたが、大した火災ではなく沈没事故とは無関係というのが定説だった。

しかし近年の調査によると、出港前の写真には船体側面に大きな焦げ跡が見られることから、4月10日に北アイルランドの造船所を出ていく前から、石炭倉庫で「自然発火」による火災が起きていたとされる。

そして、イギリスのサウサンプトン港で乗客を乗せた時点でも火災は消火できておらず、そのせいで船体に使われている鋼材の強度が低下し、すでに脆くなっていたという。

つまり、タイタニック沈没のおもな原因は石炭火災による船体強度の低下であり、「氷山との衝突はあくまでキッカケに過ぎない」というのが近年の有力説となっている。

④操船ミス説

Titanic porting around Englishタイタニックが氷山と衝突する際の航路を示した図。青が船首の経路、赤が船尾の経路である。image:wikipedia

2010年にはタイタニックの二等航海士だったチャールズ・ライトラーの孫のパッテン氏が英紙デイリーテレグラフの取材に対し、「ミスさえ無ければ氷山をかわすことは簡単だった。沈没はパニックになった操舵手の操舵ミスが原因」と語った。

事故後に生還したライトラーは海運会社の倒産を恐れて事故調査において操舵ミスを隠蔽したと説明している。

操舵号令の違いによるミス

操舵号令の違いによるパニックで舵を逆に切ってしまったことが操船ミス説である。

一等航海士マードックが氷山を発見したのは衝突の4分前で、氷山までの距離は約2,700メートルだった。

氷山は船の右前方にあり、停まろうと思えば停止できる距離でもあったが、マードックは回避することを選択しロバート・ヒッチェンズ操舵手に「starboard(スターボード)」の号令を出した。

しかし、ヒッチェンズ「蒸気船式の号令(直接法)」で訓練を受けていたため、マードックの出した「帆船式の号令(間接式)」が理解できずにパニックに陥り、指示とは真逆に舵を切ってしまった。

その後、操舵ミスに気づいたマードックは舵を修正しようとしたが、手遅れだったという

  • 直接法は船の進行方向を指示する
  • 間接法は帆船で舵柄(かじづか)を押す方向を指示する

そのため逆の号令になる。

「Starboard(スターボード)」は右(舷)、「Port(ポート)」は左(舷)を意味する。

スターボードの号令の場合、直接法は船が右に曲がり、間接法では左に曲がる。

ブルース・イズメイ社長が前進するよう命令

J. Bruce Ismay1912年のイズメイ image:wikipedia

衝突後、社長ブルース・イズメイ氏の命令により、微速前進で航行を続けていたことが、浸水と沈没を早めた原因とされる。

氷山に衝突後、前進ぜず停止していれば、カルパチア号(救助にあたった客船)が到着するまでタイタニックが沈むことはなかったという証言も残っている。

氷山に衝突した場所から沈没現場までは、数海里(1海里は約1.8キロメートル)の距離があったとされる。

ヒッチェンズ操舵手は口封じのため飛ばされた?

事故から生還したヒッチェンズ操舵手は、南アフリカのケープ・タウンの港湾長に任命されたが、「自分がケープタウンに送られたのはタイタニックの事故に関する秘密を守るため」と知人のヘンリー・ブラムに漏らしていたという。

この措置は口封じのための「配置転換」とも考えられる。

だが、「口封じ」で済んで良かったのかもしれない、下手をすれば「口減らし」の可能性もあったかも知れない。

⑤ミイラの呪い説

タイタニックでミイラを運んだことが原因で、「ミイラの呪い」により沈没事故が起きたという説も存在する。

このミイラ(実際にはミイラの上に載せる人型のフタだと言われている)は、大英博物館が所有している物で、海外に貸し出されたのは1990年と2007年の2回だけだという。

なので、事故当時の1912年にタイタニックに積まれていたとする事実はない。

ミイラ説が生まれた理由

どうやら乗客の中にツタンカーメンなどの「ミイラの呪い」についての話を知る者がいて、暇つぶしのネタとして話していた。

そして、この話をたまたま聞いていた者が沈没事故で生き残り、この話に尾ひれを付けて広めたのではないかとされている。

ミイラ説の内容

ちなみに、このミイラ説の内容はというと、ミイラを購入したのはイギリス人旅行者で、購入後に様々な不幸を体験したので手放すことにした。

その後、多くの人手に渡り、大英博物館に収められることになったが、博物館の記録には最後の所有者しか記録されていないという。

つまり、それ以前の所有者については分かっていないので、「ツタンカーメンの呪い」と同様に噂の域を出ない。

ミイラの呪いで船長がおかしくなった

CaptianEdwardSmith船長エドワード・ジョン・スミス image:wikipedia

タイタニック沈没事故で生き残った船員が、「船長はいつもと違い、氷山の警告を無視した。性格も変貌し、船のスピードアップに躍起だった」とスミス船長の様子がおかしかったと証言している。

しかし、これが「ミイラの呪い」によるものなのかを確かめる術は何もない。

スミス船長が、タイタニックを高速航行させた理由については、次に紹介する「ブルーリボン賞説」の中で解説する。

⑥ブルーリボン賞説

ブルーリボン賞とは、船による「大西洋最速横断記録」のことで、タイタニックの沈没事故はこの賞を獲得するために無理なスピードやペースで航行したことが原因なのではという説である。

タイタニックは高速船ではない

当時このブルーリボン賞を保持していたのは「モーリタニア」という高速船で、その性能を比較してみても、タイタニックでは到底太刀打ちできるものではなかった。

というよりも、タイタニックはスピード航行ではなく、豪華さを売りにしていた客船だったので、たくさんの荷物や乗客を乗せられるように輸送力の増大やエンジン出力を抑えて燃費を稼ぐことを目指して設計された船であった。

つまり、「ブルーリボン賞を取るためにスピードを出し過ぎて事故を起こした」という可能性は低いと考えられる。

タイタニックが高速航行した理由

だとすれば、タイタニックが高速航行した理由は何だったのか?

考えられる理由には以下のようなモノがある。

  • スミス船長や乗組員たちは高速で氷山を突破した方が安全と考えていた
  • 石炭火災を食い止めるために燃えている石炭をボイラーにクベ続けた結果、自然と船のスピードが上がってしまった
  • イギリスの炭鉱でストライキが発生し、ギリギリの量しか石炭が手に入らなかったので、早く目的地に到着したかった

⑦天文現象説

事故当時、海域に氷山が大量に発生していたが、「氷山の大量発生は天文現象が原因」という説も唱えられている。

タイタニックの事故が起きた4月14日の約3か月前(1月4日)に、「太陽、月、地球」が一直線上に並ぶといったスーパームーンを含む天文現象が観測され、いつもより地球への重力の影響が強まっていたと言われる。

グリーンランドで発生した氷山

天文現象の影響で海の潮位の変化が普段よりも大きくなり、発生した大潮でグリーンランドの氷河が砕け、大量の氷山が南へ向かって流れだすこともあるという。

しかし、氷山の移動スピードは遅いため、グリーンランドからタイタニックの事故現場まで3か月で到達するのは無理だと言われている。

カナダ付近の島の浅瀬に着底していた氷山

その他には、カナダ付近にある島々の浅瀬に着底していた大量の氷山が、天文現象による異常な潮位の変化で、一気に海面へ浮上してタイタニックの航路へ向かって流れていったという説もある。

しかし、この天文現象は数年おきに起きているが、氷山の発生にはそれほど影響を与えないという指摘もあり、この説に関しても結論は出ていない。

⑧タイタニック沈没事故の予言

タイタニックの沈没事故が起きる14年前の1898年

アメリカ人の元船員モーガン・ロバートソン「タイタン号の遭難」という小説を発表していた。

その内容がタイタニックの沈没事故とよく似ていたため、「事故を予言した小説」として話題になり欧米でベストセラーになったという。

この小説に登場する「タイタン号」と「タイタニック」は、

  • 船名
  • 大きさ
  • 構造
  • 航路
  • 沈没原因

などがほとんど一致していたが、改訂時に重量と馬力が変更されたという。

このタイタン号の重量と馬力のスペック変更は、オカルト的に暴走してしまった話題性が不謹慎と見なされたからなのだろうか。

あとがき

なぜ、モルガンは仮病を使って乗船をキャンセルし、旅行先を変えたのか。

仮に乗組員たちが買収され、わざと船を氷山に衝突させたという陰謀も考えられるが、そうなると乗組員たちに死亡者が出ていることの説明が付かない。

  • タイタニックが沈没することを事前に知っていたので船に乗らなかった
  • 保険金を手に入れるために故意に船を沈めた

要するに、タイタニックが沈没することを事前に知っていた者たちがいる。

なぜなら「保険金をせしめる為に故意に船を沈めたのだから」と考察したいところだが、そこまでの証拠は揃っていない。

しかし、タイタニック沈没前に社長が出した命令や乗組員たちの行動、生き残った者の言葉には不審な点も多いので、その可能性も捨てきれない。

生き残った乗組員の「事故に関しての秘密を守る」という発言は何を意味するのか。

秘密とは「ミスを隠そうとしたこと」なのか、それとも「事故に見せかけて沈没させたこと」を言っているのか、今となっては真実はすべて海の底である。

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