不思議な話

【国際金融資本とバブル経済】繰り返される破壊と構築のプロセス

1929年のニューヨーク株式市場(ウォール街)大暴落時に国際金融資本は興味深い行動をとっている。

ウォール街大暴落時の国際金融資本の動き

wall street, usa, person

ウォール街大暴落時における銀行の動きについて米経済学者キンドルバーガーは、その著書で次のように述べている。

「株式市場の活況が頂点に達するにつれ、ニューヨークの銀行やニューヨーク郊外の銀行と対立関係にあった『他のすべての銀行』のコールローンが、1926年末には20億ドルをやや切っていたのに、1928年12月31日には38億8500万ドルに増加し、1929年10月4日には66億4000万ドルにも増加した。他方、ニューヨークの銀行のブローカーへの貸し出しは、1928年末の16億4000万ドルをピークに低下し、1929年10月4日には10億9500万ドルとなった。株価の暴落が始まるとともに、『他のすべての銀行』とニューヨーク郊外の銀行は、市場からコール資金を引き揚げた。彼らは、1873年のときにそうであったように、株式取引所が閉鎖されて彼らのこれまでの流動的な翌日物ローンが凍結されてしまうのではないかと恐れたのである」

『熱狂、崩壊、恐慌』/C・Pキンドルバーガー

この時期、国際金融資本は米国に大規模な金融機関を設立していない。また、ここで「ニューヨークの銀行」「他のすべての銀行」という2種類の銀行が登場するが、それは次のことを意味する。

  • ニューヨークの銀行:ユダヤ国際金融資本が経営する銀行
  • 他のすべての銀行:アメリカ人が経営する一般的な銀行

アメリカ人が経営する「他のすべての銀行」は株価の暴落が始まると取引所の閉鎖による資金凍結を恐れ、市場から資金を引き揚げたが、1837年の米国の金融危機でも、同じような動きがみられたという。

1920年代、ユダヤ資本の「ニューヨークの銀行」は貸し出しを増やし、計画的なバブル戦略を実行した。「他のすべての銀行」は、その計画を知るよしもなかった。バブルが仕掛けられていることにも気づかず、貸し出しを増やしていた。

そして、1929年10月、株価の暴落が始まると、「ニューヨークの銀行」「他のすべての銀行」も一気に貸出し資金を引き揚げたため、バブルはあっという間に崩壊した。

市場をゆさぶるバブル戦略

crash, statistics, diagram

「他のすべての銀行」は、国際金融資本のバブル戦略に火をつけるために、まんまと利用されたあげく、バブル崩壊の不良債権を抱え、次々に倒産していった。

それを国際金融資本は二束三文で買収した。米国の「他のすべての銀行」は、そのとき国際金融資本の所有物となった。

ここで注目すべきは次の動きだ。この危険な段階で国際金融資本は「貸し出し」を増やしたのである。

「この段階になると、ニューヨークの銀行は株価が沈滞しはじめた市場でおそらく値下がりを食い止めようとしてのことであったと思われるが、ブローカーへの貸し出しを回収することなく、若干増加させることまでした」

『熱狂、崩壊、恐慌』/C・Pキンドルバーガー

ニューヨークの銀行が「値下がりを食い止めるため」に貸し出しを増やしたというが、そもそも国際金融資本はバブルを構築し、崩壊させる戦略で動いていた。その彼らが値下がりを食い止めるはずがない。

繰り返される構築と破壊のプロセス

think, mental work, man

「同じように1882年には、パリ・オランダ銀行が率いるパリの銀行コンソーシアムが1800万フランを5回に分けて直接ユニオン・ジェネラルに前貸ししたのに対して、ロスチャイルド商会が率いる他のグループは、1月末の決済期を切り抜け、ブローカーやその顧客たちが決済の最終処理を行う時間的余裕を与えるために、ブローカーの集団に8000万フランを融資した」

「いずれの危機の場合も、ブローカー、顧客、そして銀行やそれが出資した金庫などが多数破産した。短期金融市場に資金を融通するもろもろの銀行が調整を行うために乗り出したが、1882年のパリでは、ユニオン・ジェネラルを救うまでに至らず、調整から手を引いてしまった」

『熱狂、崩壊、恐慌』/C・Pキンドルバーガー

この時、国際金融資本が貸し出しを増やしたのはバブル崩壊の動きを長引かせ、さらにアメリカ経済を大混乱させることが目的だった。

彼らが以前にも同様の戦略を使っていることはキンドルバーガーも書いている。1882年のフランスでも、1929年のアメリカでも彼らは同じ戦略を使った。

バブルの構築と破壊のプロセスは、国際金融資本によって仕掛けられた戦略である。射幸心を捨て、その本質に気づかないかぎり同じことは何度でも繰り返される。

関連記事

【ロスチャイルドの経済支配】アメリカ進出と格付け会社の登場20世紀、世界で起きた3つの巨大な事件がある。 ウォール街大暴落 第一次世界大戦 第二次世界大戦 こ...
【ロスチャイルドの米国進出】ブナイ・ブリスとADLの設立19世紀半ば、米国はまだ独立したばかりで、ある意味子供のようなものだった。 そこにユダヤ国際金融資本が乗り込んできた。ヨーロッパの...
【米国のバブル経済】ゴールドマン・サックスの華麗な錬金術1920年代、米国経済は黄金時代に突入した。ニューヨーク株式市場(ウォール街)は大盛り上がりを見せ、そしてバブル経済が発生する。 ...
ロックフェラー・センターの建設と意味1929年9月、ウォール街で株価が大暴落し、1930年代は「世界大恐慌の時代」となった。ルーズベルト大統領は「ニューディール政策」を実行...

関連商品

error: Content is protected !!