不思議な話

両面宿儺(りょうめんすくな)は善人か?悪人か?呪いの王の正体とは?

最近、視聴をはじめた呪術廻戦というアニメに両面宿儺(りょうめんすくな)というキャラが登場する。

「名前も四字熟語みたいで変だし、正体は呪いの王って何ぞこれ?」と興味が湧いたので、アニメファンとオカルトファンの両方の知的欲求を満たす意味で両面宿儺について調べてみた。

この両面宿儺は取り上げられている書物や伝承によっては、その正体も様々だ。

  • 人外(妖怪、バケモノ、呪物)
  • イイもの
  • ワルもの
  • 飛騨地方に寺を建て仏教を広めた
  • 凶賊で天皇に逆らったため殺された
  • 天皇の命令で山に住む鬼を退治した

今回は、そんな両面宿儺の正体が気になります。

両面宿儺(りょうめんすくな)の正体とは

 

現在、両面宿儺の正体について確認できる情報源は大きく分けて3つ。

  • 日本書紀
  • 岐阜県(飛騨)に伝わる伝承
  • 2chの都市伝説

日本書紀に登場する両面宿儺

Nihonshoki jindai kan pages
日本書紀に描かれている両面宿儺は仁徳天皇の時代の飛騨地方に登場する。

西暦で言えば、300年代の終わりから400年代前半の頃だった。

その姿は「異形の物」や「鬼神」、「妖怪」などとも言われ、朝廷に逆らった豪族・凶賊として、天皇の命により差し向けられた武振熊命(たけふるくまのみこと)に討たれたと言いう。

宿儺という言葉の意味

両面宿儺の宿儺(すくな)という言葉には「悪いものを追い払う」という意味があると言われている。

ゆかりの地である飛騨地方には宿儺という名を冠した施設や食べ物もあるという。

両面宿儺の容姿の特徴

 

宿儺の容姿の特徴については、日本書紀に以下のような記述がある。

  • 2つの顔
  • 4本の手
  • 2本の足
  • 膝の裏のくぼみがない
  • 踵(かかと)がない

奇怪な姿が描写されていて、確かに「人ではない何か」のようだ。

岐阜県の伝承に登場する両面宿儺

千光寺本堂千光寺本堂 出典:ウィキペディア

岐阜県に残っている言い伝えでは、宿儺は悪人ではなく、むしろ善人や英雄として描かれていて興味深い。

主な伝承は以下の3つです。

①2つの寺を建て鬼を退治した

 

千光寺記という書物によると、仁徳天皇が世を治めていた時代に飛騨国(現在の岐阜県)に宿儺という者がいた。

身長は、約54メートルで洞窟から現れたという。

1つの頭に2つの顔、4本の手と2本の足という描写があり、見た目は日本書紀の記述と同じ。

両面宿儺は観音菩薩の化身であり、千光寺と善久寺の2つの寺を建て、この地に仏教を伝えたとされている。

また、天皇の命令で山に住む鬼の七儺(しちな)を退治したとも言われている。

②国家安全と五穀豊穣を祈り、お経を唱え山の守り神になった

 

金山町誌という書物には、両面宿儺は飛騨の豪族として描かれている。

両面宿儺は、天皇に逆らったせいで命を狙われ、金山の鎮守山に37日間立て篭もり武振熊命(たけふりくまのみこと)と戦ったが敗れ、討ち死にしたとされる。

また、この話に関しては、もう1つ別のエピソードがある。

ある時、宿儺は金山にある小山に飛んできて、国家安全と五穀豊穣を祈り37日間お経を唱えた後、高沢山に去ったという話。

その後、この山は鎮守山と呼ばれるようになり、村人は観音堂を建てて宿儺を山の守り神として祀った。

③高沢山の毒龍を退治した

 

新撰美濃志という書物によれば、飛騨の国にいた2つの顔と4本の手を持った人ではない者が、高沢山に棲む毒龍を退治したとされている。

また、日龍峰寺という寺を建てた者の名は、「両面四手上人」と言われていて、名前からしてこの人物は両面宿儺のことではないかと考えられる。

2chの都市伝説「リョウメンスクナ」

ネット上で語られている都市伝説「リョウメンスクナ」

この話の出所は歴史や伝承ではなく、掲示板の2ちゃんねるが発祥と言われている。

古い寺の解体工事をしていると、奇妙な木箱に入った呪物「リョウメンスクナ」が見つかったそうだ。

そして、その呪物にはある教団が関わっているのだとか。

【2chの都市伝説リョウメンスクナ】木箱の呪いは今も日本のどこかでひっそりと息づいている両面宿儺(りょうめんすくな)に関するエピソードは、これまで日本書紀のような歴史書や在地伝承で語られてきた。 しかし、それとは別にイ...

宿儺は「呪いの王」であり「祈りの王」でもあった

 

両面宿儺は実在したのか?

その正体は人だったのか?

妖怪やバケモノの類いだったのか?

今となっては想像するほかない。

名は体を表すというが、両面宿儺はその名の通り、

  • 善人と悪人
  • 人と人外
  • 呪いと祈り

といった2つの顔(2面性)が描かれており、言い伝えによれば、「呪いの王」は国と民を想う「祈りの王」でもあったようだ。

見方や立場が違えば、正義は悪であり、悪は正義になるということだろうか。

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