インターネットの裏側、ダークウェブ、それは無秩序で何でもアリな闇の電脳空間だ。
私たちが日々利用しているインターネットには個人情報や薬物、銃器などが取引されているダークウェブというヤバい場所がある。
今回はダークウェブについてご紹介しよう。
ダークウェブと階層
そもそもインターネットは大きく分けて次のような3階層の構造で成り立っている。
- サーフェスウェブ・・・Google、Yahoo!、Amazon、twitter、facebook
- ディープ(深層)ウェブ・・・大学・医療などの学術論文やデータベース
- ダークウェブ・・・シルクロード(ダークウェブ版アマゾン)など
普段、私たちがググったりして使っているインターネットは「サーフェスウェブ」と呼ばれる場所だ。
対して「ダークウェブ」とは、普通のインターネットの検索エンジンで検索出来ない部分のうち、反社会性の強いものを指す。
①サーフェスウェブ
まず、私達が普通に検索エンジンから調べて閲覧できる大手サイトや動画サイト、SNSなどは「サーフェスウェブ」や「ビジブルウェブ」と呼ばれている。
これは、表面のウェブや可視的なウェブという意味で一般人が簡単にアクセスできるサイトのことだ。
②ディープウェブ
それに対して、検索エンジンなどで調べても表示されないサイトを「ディープウェブ」という。ディープウェブは都市伝説などではなく実際に存在している。
例えば、会社の社員同士で閲覧する企業内の秘密資料や身内だけで見るためにパスワードをかけている画像、検索エンジンが普及する前に制作された古いウェブサイトなどだ。
こうしたものがディープウェブと呼ばれ、その規模はサーフェスウェブの400倍から500倍ともいわれ、インターネットの99%を占める。その中でも特に秘匿性が高く、反社会性のあるサイトの集まりを「ダークウェブ」と呼んでいる。
③ダークウェブ
「ダークウェブ」では違法性のある商品の売買や犯罪行為の依頼など、多くの人が目を背けたくなるような悪趣味な交流などもされており、犯罪の温床になっている。
その構造はインターネット上に何重ものネットワークを重ね合わせて構築されたウェブサイトの集まりになっていて、いくつもの認証を突破しなければアクセスできない仕組みだ。
ダークウェブの中には暗号化された通信システム使って、メールや仮想通貨で金銭のやり取りをするものが多いとされている。
ダークウェブは検索では弾かれる場所
元はと言えば、グーグルやヤフーの検索エンジンなどのフィルターで弾かれて検索で表示されない情報が転がっていただけのエリアに目をつけた悪い人たちが使いはじめ、現在のマニアックでアンダーグランドな雰囲気が出始めた。
この「検索エンジンのフィルターに弾かれただけ」という説明だけだと、そんなに大した危険は無いように思える。しかし、フィルターから弾かれるということは、それなりの理由がある。
サイトによっては、アクセスしたユーザーから個人情報を盗みとったり、コンピューターウイルスに感染させるなどの罠が仕掛けられている場合もある。検索エンジンには、危険なサイトに容易にアクセス出来ないよう検索結果に表示しないという方法で私たちを守っているという側面もあるのだ。
ダークウェブで取引されているもの
ダークウェブは次のようなサイトを内包しており、法的にグレーなものから見つれれば逮捕されてしまうような様々なモノが取引されている。
- 違法売買サイト
- 悪趣味なサイト
- 犯罪依頼のサイト
- 人身売買のサイト
①違法売買サイト
ダークウェブで最も代表的なものは「違法売買」サイトだ。やってはけないクスリや爆発物などが取引されているようである。
たとえば、拳銃などは殺傷目的で購入する人もいれば、コレクションのために手に入れようとする人もいるようである。もちろん、どちらにしても日本では所持するだけで銃刀法違反などで逮捕されてしまうのだが。
その他には昔の卒業アルバムや偽造の証明書など、悪用されそうなものも扱っているサイトが存在する。
②悪趣味なサイト
ダークウェブには他人には危害を加えないものの社会通念上、良しとされない異様な趣味のサイトもあるのだ。
たとえば、グロテスクな動画や特殊な性的嗜好を満たすためのポルノなどである。
コミュニティや掲示板もあり、マフィアが見せしめに行った拷問や殺傷の動画を楽しんでいる集団も存在しているようである。
他にも自分の肉体を自分で手術するような法的にグレーで危険な情報をやり取りしているサイトもあると言われている。
③犯罪依頼のサイト
ダークウェブにはモノの売買だけでなく、依頼を請け負うサイトも存在している。
たとえば、偽造証明書の作成やサイバー攻撃代行などである。
偽装証明書の作成
偽物のパスポートや運転免許証などの作成を60万円~100円ほどの費用で請け負う業者がいたりする。
なかには、外国籍を偽装して移住できるように斡旋する違法サービスも存在する。
よく映画などで、他人になりすまして海外に逃亡するというシーンがあるが「ダークウェブ」を使ってそれに近いことをしている人がいるようである。
サイバー攻撃代行
ネット上の犯罪、サイバー攻撃を請け負う業者も存在している。
たとえば、特定のサーバーに大量のデーターを送りつけてダウンさせるDDos(ディードス)攻撃は1時間10ドル、RDP攻撃なら月10ドルというように相場がだいたい決まっているようで、多様な業者が存在するとのことだ。
クラッキング
同じネット関連ではクラッキングなども請け負うサイトもある。
「あの人のパソコンに侵入して情報を盗みだして欲しい」というドラマやアニメ、映画にありそうなやり取りが本当にあるのかもしれない。
〇し屋
さらに凶悪なモノなら殺人の請負、いわゆる「殺し屋」というものも存在する。
この仕事は外国人の業者が多く、日本円にして200万円程度の金額で引き受けているとのことである。
ただし、これは実際に殺人がおこなわれているわけではなく、金だけをだまし取る一種の詐欺ではないかという説が有力のようだ。
④人身売買サイト
海外のダークウェブには人身売買のサイトも存在しており、警察では取り締まりきれない状況となっているようだ。
ダークウェブへのアクセス方法
ダークウェブにアクセスするにはTor(トーア)というMozillaブラウザを改造した特殊なブラウザが必要で、GoogleクロームやEdge、Firefox、サファリなどではアクセスできない。
とはいっても、トーアは誰でもダウンロードすることができ、使うだけなら合法である。
Tor(トーア)は「The Onion Router(オニオンルーター)」の略でサイトのドメインは「.onion」となっており、通称「onionサイト」と呼ばれている。
ダークウェブは一般的なブラウザではアクセスできない
トーアは通常のブラウザと違い、ネット閲覧の記録が残らない。アブナイ取引を前提としているダークウェブの利用者にとって記録が残るというのは致命的である。
だから、閲覧履歴を残さず簡単に特定されないようにダークウェブは一般的なブラウザでは閲覧できないようになっている。
現在も違法サイトの摘発と新たな違法サイトの発見という「イタチごっこ」が続いている。
Tor(トーア)とは?
Torはもともと匿名でネットの人とコミュニケーションが取れるということで開発されたブラウザだった。
- 大学・医療などの機密情報のやり取り
- 内部告発
- 言論の自由がない人たちの集まり
Tor(トーア)がもつ匿名性の仕組み
匿名性の仕組みは監視ツールなどから通信のやりとりを隠すためにトーアが自動的に大量のネットワークを経由することで接続の足跡を辿りにくくしている。
ただし、足跡を辿りにくくするだけで完全にトレースできないわけではないので一般人が使いこなせる代物ではないとも言われている。
ダークウェブは危険
こういった話を聞くと、ダークウェブって何だか刺激的で面白そうだなって思うかもしれない。
でも、油断は禁物だ。
ダークウェブのサイト運営者はセキュリティのことなどまったく考えてないから、普通のサイトに比べ、次のような被害に遭うリスクが圧倒的に高い。
- コンピュータウイルス感染
- 犯罪に巻き込まれる
- 無実の罪に問われる
ダークウェブではセキュリティソフトが使えない
ダークウェブにはセキュリティソフトを切らないと閲覧できないサイトも多いので、その隙を突かれてクラッカーに自分のパソコンを乗っ取られる可能性もある。
攻撃を受けてパソコンが破損したり情報が盗まれたりするのはもちろんだが、最悪の場合はダークウェブでの犯罪に巻き込まれる可能性もあるのだ。
興味本位でサイトを見ただけなのに、犯罪者の濡れ衣を着せられてしまうこともあるのだ。
たとえば、第三者の手で冤罪に仕立て上げられるケースや警察の捜査で被疑者扱いされてしまう場合もある。
もし、すでにダークウェブを利用しているなら、警察に目を付けられているかもしれない。
その他には、ノートパソコンのカメラをハッキングされ第三者に私生活を盗撮され「今あなたが見えている」という薄気味悪いメールが届くようになった人もいる。
トーアが実力を発揮するのは言論統制された時かも知れない
ダークウェブを一般人が利用しても、普段目にすることのないアンダーグラウンドが覗けるということ以外には、あまりメリットが無さそうである。
注目すべきは、ダークウェブといった活動空間そのものよりも、Tor(トーア)などの匿名性の高いネットワークに接続できるツール(ブラウザ)の方ではないかと思う。
- テレビ、ラジオ、新聞などの国内の情報が統制される
- インターネットが規制され検閲に通ったサイトしかアクセスできない
近い将来、国内が何らかの理由により鎖国状態になり、真実の情報がシャットアウトされた時、この匿名性の高いブラウザは本領発揮するのかもしれない。
例えば、国外の情報を手に入れたい時、上手くすれば国内ネットワークのフィルターをすり抜けて海外の情報にアクセス出来たりなど。
だから、今はもしもの時に備えてこういうツールの存在を知っているだけで良いのかもしれない。
あとがき
私たちが日々利用しているサーフェスウェブはインターネットの氷山の一角。ダークウェブという閉鎖された不思議空間がどんなものなのか少々興味はあったが、触らぬ神に祟りなし。
タガの外れた人間のダークな一面が垣間見れる場所。そこには独自のルールや悪意を持った人々が存在し、善良な人間の常識など通用しない世界なのかもしれない。
降りかかった火の粉をみずから払えるレベルでないなら近づかないのが賢明である。
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