2024年2月3日より、映画『沖縄狂想曲』が全国の映画館で絶賛公開中である。マスコミが報道できない沖縄・基地問題の真実を専門家たちが解説する映画だ。
2013年、映画『朝日のあたる家』で原発問題を描いた太田隆文・監督が「辺野古基地問題」から「オスプレーの騒音・墜落問題」など数々の沖縄問題のタブーに切り込む。
内容が内容だけにマスコミからはシャットアウトされているが、心ある著名人たちの応援により予想以上の反響を得ているようだ。
映画『沖縄狂想曲』を観た感想
2024年3月17日、鹿児島のガーデンズシネマで『沖縄狂想曲』を鑑賞してきた。
専門家や地元民しか知らない話は実に刺激的なものだった。また所々でオスプレイの映像が入ってくるが、爆音をたてながら沖縄上空を飛行するオスプレイの姿は真っ黒で実に不気味である。
沖縄から基地を無くすために尽力した元沖縄県知事の大田昌秀氏のエピソードに思わず涙がこぼれた。最前列で視聴していたが、筆者の隣の男性も鼻をすすっているようだった。
基地建設の問題は、「大手ゼネコンやアベ・アソウのための利権でしかない」という有識者の言葉が胸に刺さる。私たち内地の人間は沖縄をただのリゾート地だと思っている。沖縄を知らなすぎるのだ。
映画『沖縄狂想曲』
キャスト
沖縄問題に詳しい有識者に取材
- 元大手新聞社論説委員
- 沖縄大学教諭
- 元市長・元県庁の幹部
- 大田昌秀(元沖縄県知事)
- 鳩山由紀夫(元内閣総理大臣)
- 山本太郎(れいわ新選組)
上映館・上映時間など
上映館、上映時間などの公開スケジュールは映画『沖縄狂想曲』公式サイトへ。
太田監督が語る沖縄問題など
太田監督は沖縄問題の取材を通じて知ったことなどを自身の動画で語っている。太田監督語録、そのいくつかをご紹介しよう。
沖縄の基地問題をマスコミは報じない
この映画は数々の沖縄の問題を取材し、取り上げているが、その中でも大きな部分を占めているのは基地問題である。
この問題について知られたくない人たちが多くいて、その人たちは強大な権力やお金を持っている。
オスプレイが落ちたりしない限り、東京のニュースでは沖縄基地問題について詳しい報道などしない。
報道されないことを映画にする
- 米軍の犯罪
- 米兵によるレイプ事件
- 米軍車両と地元民との交通事故
地元の人が米軍関係者と事故を起こすと、やってくるのは警察ではなく米軍関係者だったりと大変である。なぜか、実際に現地で起きていることは内地本土にいると伝わってこない。
太田監督は沖縄に滞在した際、地元のテレビで毎日のように基地問題についての報道がされていることに驚いたという。
いったい沖縄では何が起きているのか。太田監督は沖縄の人たちが沖縄基地問題でどうなっているのか、どう考えているのかを知りたくてこの映画を撮った。
報道しないのは知られたくないから
報道しないということは見て欲しくない、バレてはいけない。「デビルマンではないが誰も知らない知られちゃいけないことなのだ」と思うと太田監督は考えている。
今まで19年の監督生活の中で5本の劇映画と3本のドキュメンタリー映画を撮ったが、かつてここまでマスコミが自分の作品を紹介してくれなかったことなどないという。こんな状況は初めてだと。
この件だけを見てみても、いかに基地問題を伝えることがヤバい事なのか、誰もこの件に触れたくない、知ってほしくないという状況があるのだと今更ながらに実感したという。
DVD化されない可能性
映画が制作された後、劇場公開を経て、DVDとして商品化されるのが一般的な流れである。だが沖縄基地問題という内容が内容だけに、この『沖縄狂想曲』のDVD化が実現されない心配もあったが、無事DVD化され、動画配信サービスでも鑑賞できるようになった。
以前、太田監督は『朝日のあたる家』という映画を制作している。原発問題がテーマであるこの作品もDVD化されるまでに3年かかったという。ちなみに、この映画はれいわ新選組・山本太郎氏の最後の出演作品である。
原発問題を描いた映画をテレビは無視する
2013年、太田監督が原発問題をテーマに描いた映画、『朝日のあたる家』。その時、新聞や雑誌は「原発事故を描いた映画がある」と紹介してくれたおかげで多くの人に作品のことを知ってもらえた。
その時、テレビの報道ステーションでは古舘一郎氏がキャスターを務めていて、原発問題についてガンガン切り込んでいたけれど、テレビでこの作品について取り上げられることはなかった。
報道ステーションのスタッフも取材には来たが、結局スポンサーなどに忖度し、テレビで紹介してもらえなかった。
原発映画を新聞はしっかり取り上げてくれた
それでも当時の新聞は配慮してくれて、朝日から毎日、読売ですら取り上げてくれた。
朝日といえば原発推進派だったけど、それでも取り上げてくれた。あの時は多くの新聞が報道してくれた。
原発事故後のことなので、取り上げることが出来たのだろう。もし原発事故前にそのような映画を作ったら多分、今回と同じようにテレビだけでなく、新聞も全紙取り上げてくれなかったと思うと監督は話す。
今回は大手新聞、雑誌も無視
戦後の沖縄問題というのは本当に数知れないほどあると思うが、やはり致命的なあの原発事故のような被害がでない限り、なかなか切り込むことができない。
太田監督はマスコミが報道を自粛するのは圧力のせいではなく、忖度だと考えている。相手が弱ってくると一斉に馬鹿みたいに叩くが、相手が強い間はやはり避けて通るのだ。
でもそれは「圧力がかかって報道できない」ということではなく、あまり触れない方がいいのではという自粛なのだ。
報道できない裏事情
今回は大手新聞、雑誌も全滅で、その理由についても、よく考えてみれば分かることだという。
圧力があるとすれば、その圧力とはいったい何なのかと。なぜ基地問題を避けるんだと。
この映画は、その裏事情を暴露するという目的で作ったわけではないという。ただ取材を続けていくうちに、そういう裏事情が見えてきただけなのだ。
米軍基地が日本に居座る理由
戦後80年にもなろうとしているのに、米軍はなぜまだ日本に居座っているのか。
戦後の頃は、アメリカまでの距離が遠かった。太平洋を超えて日本の米軍基地から朝鮮戦争やベトナム戦争へ出撃する。
アメリカから遠くて大変だから日本の沖縄基地を中心としてそのような対応が必要だった。沖縄は重要な前線基地の役割を果たしていた。
湾岸戦争から中国脅威論へ
あの湾岸戦争とは何なのか。別にアジアで起きているわけではなく、遠い中東でやっている戦争なのに、なんで米軍はいつまでも日本にいるのだろう。それが最初の疑問だった。
それを調べていくと、中国脅威論にぶち当たる。よく言われているのは中国の脅威について。
中国を抑え込むためには米軍が日本(沖縄)にいなければならないというものだ。
中国のお得意様は日本とアメリカ
それについても調べていけば、分かることがある。日本もアメリカも中国製品をすごく沢山買っている。中国はそれで大儲けして黒字になり、アメリカは赤字になっている。
その状況はつまり一昔前の日本とアメリカの関係そのものなのだ。メイドインジャパンが世界を席巻していた頃のようだと考えると、中国にとってはアメリカや日本は大事なお客様、お得意様なのだ。
貿易でいい思いをしている中国が戦争などするのだろうか。戦争して中国が日本を占領して何の得があるのだろうか。今はもう不況続きで貧しい国となり、世界ではメイドインジャパンもどんどん信頼が落ちてきている。
沖縄は中国人観光客だらけ
物価が安くて、食べ物が美味しい日本は占領するよりも、バカンスを過ごすために訪れたい観光地なのではないか。
北谷(チャタン)の辺りに来ている観光客のほとんどは中国人だ。彼らはキレイな海を眺めて、美味しい日本料理を食べて喜んでいる。彼らのあいだでは日本のラーメンが大人気だったりする。
そして、イオンのショッピングモールで買い物をして1週間のバカンスを過ごしたら帰っていく。国際通りや首里城に行ったりしないのだ。アメリカ人にとってのハワイのような役割を果たしているのが今の日本なのだ。
沖縄を攻めることはない
ここ数年、太田監督は取材で何度も沖縄に行っているが、ここは中国人から韓国人、ヨーロッパ人、アメリカ人なども訪れる観光地。
「沖縄の海が欲しいから、ここを占領して独り占めしたい」というような悪の組織ショッカー的な発想を中国はしないのではないか。
「中国が沖縄を軍事的に攻める、攻撃することなどない」と監督は考えている。
中国にとってのアメリカとは
では米国と中国の関係について考えてみると、中国からアメリカ大陸に届く核ミサイルはすでにある。
だから今は中国が日本を占領し、ハワイを占領して、いよいよアメリカを攻撃だとか、そんな面倒なことをする必要などないのだ。
中国が本当に戦争する気なら大陸間弾道ミサイルを1発、発射でドカーン。アメリカと戦争できてしまうので、わざわざ沖縄を攻める必要はない。
アメリカにとっての日本とは
そう考えると、太平洋戦争時の本土決戦もそのような感じだった。日本を攻めるためにまず前線基地として沖縄を攻めて、自分たちのものする。それから本土攻撃という計画だった。
確かに第二次世界大戦の当時はそうするしかなかったのかも知れない。でも技術の進んだ現在は昔と違い、中国のミサイルはアメリカに届いてしまうから昔の戦争のやり方はしない。
そのような状況でアメリカ側に立って考えてみると、アメリカは別に日本を守ろうなどと考えてない。
盾としての使いみち
中国が攻めてくる時に「日本を盾にしてアメリカ本土を攻撃させないようにする」というのが昔からのアメリカの考え方である。
そのために日本に軍隊を置いた。だがミサイル1発で戦争が始まってしまう世の中になってしまったのだから、日本で食い止めることなど出来ないのだ。
中国が発射した大量のミサイルをすべて撃墜できるものではないのだから、米軍にとっても日本にとっても沖縄に基地や米兵を置く意味などない。同胞がみな犠牲になるわけだから。
オバマの発言
オバマが大統領だった時、「沖縄の米軍をグアムに移転する」と発言した。NHKは、そのニュース映像で「米軍を辺野古に移転する」という間違ったテロップを出した。
すると民放もすべて、そのNHKの間違った報道に追従して報じた。その後、NHKはテロップの間違いを認める訂正報道を出したが、世間ではそんな間違いをするわけないだろうと不審の声があがっていた。
そこにはアメリカはまだ日本から撤退などせず、普天間から辺野古へ基地を移転するだけだとNHK(日本政府)は国民に対して印象操作したかったと考えられるのだ。
米軍は沖縄にいる意味がない
ではなぜ政府は、そのような印象操作をするのか。
それは次のことが国民にバレたらまずいからだ。
- 米軍が沖縄にいても意味がない事
- 中国は貿易で儲かっているので日本を攻めてもメリットがないので攻めてこない事
実際にグアムへの移転計画もどんどん進んでいるという。映画『沖縄狂想曲』では専門家がその説明をしている。
米軍基地がいなくなると困る人たち
そうして米軍が移転し、沖縄からいなくなってしまうと困る人たちがいる。
戦後しばらくは、そうしたアジア戦略があり沖縄に米軍基地を置いたのだろう。だが時が経ち、技術が進歩した今ではその意味がなくなってしまった。
トランプ大統領が任期中、「沖縄に米軍がいて欲しければ金を払え!」と発言した。具体的には100億円、もしくは1000億円出せと発言したという話もある。
トランプ「沖縄にいて欲しければ金を払え」
これは金が払えないなら米軍は日本から撤退すると迫ることで、米国優位の立場を絶対的にするためのトランプ流の外交戦略、駆け引きだと考えられる。
米軍に撤退されると困る日本はアメリカを儲けさせるために、どんどんお金を出して必死にアメリカを引き留めようとしている。
その事はこの映画の中でも描かれている。
日本が米国を引き留めている
日本が米国を引き留めている。それは守ってもらいたいからではない。現在、沖縄では辺野古基地建設の工事をしている。
最初、その建設費用は1000億円だった。だが、工事を進めるうちに軟弱地盤が発見され、それを何とかするのに2兆円かかるということが分かった。
当初、1000億円だったものが2兆円である。この話、なんだか大阪万博の話に似ているなあと筆者は感じた。工事費用が段々と増えていく。
基地建設で儲かるのは誰か?
これで儲かるのは日本の建設業会である。大手建設企業、ゼネコンとかだ。
マヨネーズみたいな軟弱な地盤を見つけてしまった。どうしよう、これは時間がかかるぞ。工事に時間がかかればかかるほど儲かるのは彼らだ。きっと笑いが止まらないだろう。
そのお金はどこから出ているのかと言えば、日本政府からだ。つまり、政府は僕ら日本国民の税金を建設会社に流す、利権にたんまりと注ぎ込むシステムなのだ。
お金の流れを追え
実は軟弱地盤というのも昔から分かっていて、アメリカが自分たちのカネで辺野古基地を作ろうとした時に、その軟弱地盤を避ける建設計画を立てていた。
それなのに今回わざわざ日本は軟弱地盤の上に基地を作ろうとしている。こんな地盤を工事するには莫大なお金と時間がかかる。とんでもない費用がかかってしまうというのに。
そして、2兆円の莫大な建設費用がかろうが、我らの米軍様のためにみんなで頑張ってこのマヨネーズみたいな地盤を攻略しようという国家予算タカリ計画だったのではないかという気もしてくるのだ。
バラされたら困る人々
そんな風にして結局日本がアメリカ様を引き留めているのは、国民を騙してそういう工事が大々的にできるからだ。
今、建設業は経済的にキツい状態だ。これは建設業者を儲けさせるためにやっているいわゆる利権、利益誘導だ。
だが、表向きは自分たちのためではなく、アメリカ様のために仕方なくやっていると言いたいのだ。
世論を作り出すカラクリ
そのような沖縄の実情をバラされたら困る。基地建設はアメリカ様のためとか、中国が攻めてきたら困るからとか、沖縄の人は大変だけど仕方ないことなのだと多くの人が思い込む。
そういう世論を作り出すカラクリなのではとも考えられるのだ。取って付けたような言い訳を並べていれば幾らでも稼げる。このマネロンのスキームがバレさえしなければ。
太田監督は沖縄基地問題を調べていくうちに、そういうカラクリが分かってきたという。アメリカももう少し、このままで居た方が楽に稼げそうだから居ようかなとなり、現在に至っている。
建設費2兆円でゼネコンは大儲け
引き留めているのは、そこで本来やる必要のない工事をすることで2兆円ものお金を流し込めるからだ。当然、そのために尽力した政治家の皆さんにはそれ相当のキックバックがあるだろう。
例えばセメント屋さんのボスである元総理の太郎なにがしがやっている会社や他にも関連する企業があり、工事をすれば儲かるようになっている。
関連企業の家族の1人が議員をやっていれば儲かる。ああ、そういうことだったのかと今まで気づかなかったことが段々と浮かび上がってくる。それを隠すために米軍が居座っているというのが沖縄基地問題の真実なのだ。
原発を描くと2度と監督ができなくなる
原発の時も同じだった。事故が起きるまで、そこを指摘する人はいなかった。映画界でも原発を映画にしてはいけない。「原発を描けば2度と監督はできなくなるぞ」と昔から言われていたという。
なのに太田監督は「原発」と「基地問題」という絶対に映画に出来ないタブーな2つテーマを映画にしてしまった。
権力者にとって都合の悪いことを追求する者に起きること。ある日突然、〇〇なニュースが出たりする。命を取られるか、汚名を着せて社会的に抹殺されるなどの末路を辿る可能性もなきにしもあらずなのだ。
あとがき
沖縄と米軍基地問題。本来、日本国民に分配されるはずの富が米国や米軍、日本の巨大企業に流れている。
だとすれば、この問題は我々と無関係とは言えないだろう。多くの国民が隠された真実を知ることで、少しずつでも日本が良くなっていくことを願う。
誰もが避けようとする闇、タブーに命懸けで光を当てようとする人物と、その心意気に敬意を表したい。