2024年の流行語大賞が発表された。「ふてほど」などという、どこの界隈で流行っていたのか皆目見当もつかない言葉が選ばれ、困惑している人々も多いと聞く。
また、巷では「ふてほどは不適切報道のことでは?」という本来の言葉の意味とは違った解釈も飛び出している。
だが、昨今のマスメディアの偏向報道や世論との乖離具合からすれば、そのような皮肉を込めた解釈も納得せざるを得ない。
2024年の流行語大賞に前総理の「増税メガネ」や「裏金」などの言葉が選ばれなかったということ。
まさしくそれが「ふてほど=不適切報道」という言葉の解釈を裏付けるような結果になっていて、さらに興味深い。
2024年もあと少し、総理の任を解かれてもなお政権に影響力を持つとされる岸田前総理。
腐敗政治の原因の一つとされる「企業献金」を禁止しようとする動きに反対の意思を示す前総理。そこにイライラを募らせる人も多い。
振り返れば、そんな彼も代名詞となった増税メガネを筆頭に様々な「あだ名」で呼ばれていた。
- キッシー
- クーポン岸田
- 検討使
- 増税メガネ
- 増税クソメガネ
- 減税ウソメガネ
- レーシックメガネ
- ばらまきメガネ
筆者が聞いたことがあるものだけでもこれだけある。この他にもまだまだあるようだ。増税メガネや、その進化系である「増税クソメガネ」などは国会の質疑中にも登場したことで記憶に新しい。
「あだ名」といえば兼好法師(吉田兼好)の『徒然草』の第45段に、これと似たような話が出てくる。
公世の二位のせうとに、良覚僧正と聞えしは、極めて腹あしき人なりけり。
坊の傍に、大きなる榎の木のありければ、人、「榎木僧正」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木を伐られにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを堀り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正」とぞ言ひける。徒然草 第四十五段
官位従二位の藤原近世の兄で良覚僧正というへそ曲がりで怒りっぽいがたいそう偉い僧侶がいた。僧正の寺には「榎の木」があったので、人々は「榎木の僧正」と呼んだ。
このあだ名が気に入らなかった僧正が木を伐り倒すとそこに「切り株」が残ったので、人々は「きりくいの僧正」と呼んだ。
とうとう怒った僧正が切り株を掘って撤去するとその場所に大きな「堀」ができたので、人々は「堀池の僧正」と呼んだという話だ。
変な「あだ名」で呼ぶことをやめさせるために僧正は対策を打つが、状況が変わっても人々はあだ名で呼ぶことをやめない。次から次へとあだ名が変わっていくだけだ。
「増税クソメガネ」という「あだ名」が気に入らなかった男は定額減税という名の給付金を撒き、それを減税だと言い張ることで減税メガネと呼ばれたかったのだろうか。