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【9月22日】
書籍メディアでの歴史修正主義の興隆は数字に顕著に表れている。笠原十九司が整理した書籍リストを参照すれば、一九六三年から二〇〇七年までに南京事件を史実とする図書八十七冊に対して、否定する図書は四十一冊だった。しかし、一九九五年からニ〇〇〇年までに、三十ニ冊対三十一冊、〇〇年から〇七年では、十二冊対ニ十一冊と否定派の図書数が上回っていくことがわかる。笠原によれば、「南京事件」の歴史的事実をめぐる学術的評価は一九九〇年代初頭までにケリがついている。しかしながら、一般流通書籍ではエビデンス抜きの否定説が繰り返し発刊されているのである。「諸君!」「正論」「WiLL」「Voice」、「SAPIO」(小学館)、「産経新聞」など保守メディアや展転社といった右派系出版社は、二〇〇〇年以降も執拗に否定論を出版し続ける。
出典:倉橋耕平著『歴史修正主義とサブカルチャー』