【2月26日】
<前略>
陰謀論が拡散するエネルギーは、「世の中は善と悪に分かれていて、どこかに世界を操る巨悪がいる」という単純なストーリーの魅力です。政治の世界でも、政敵を巨悪化させて支持を得るポピュリズムの手法は一種の陰謀論といっていいでしょうし、ジャーナリズムの世界でも、自身の有料メルマガなどのコンテンツに人々を誘導するために陰謀論を利用する人は少なくありません。巨悪と戦う姿勢は共感を得やすいのです。リテラシーのある人はすぐに「これはデマだ」「明らかな誇張だ」とわかるので歯牙にもかけませんが、いったん釣られてハマってしまった人は、なかなかそこから出てこられません。たとえ論理的な反証を目の前に提示されたとしても、「真実を隠蔽するための圧力だ」などと言って聞く耳を持たないのです。人間には、物事を単純化したいという欲求があります。眼科検診で使われる「C」ような形が、事実”というものだとすれば、人はついついその隙間を勝手に閉じて、「〇(輪)」にしたくなる。でも、その輪はもはや事実ではありません。
「C」は、遠くから見たら輪に見えます。見極めるにはそれなりの視力と根気が必要です。でも、それを怠けた人は簡単に「〇=陰謀論」にのみ込まれてしまいます。単純な”気持ちのいい話”に飛びつく前に、一度立ち止まって考えてみてください。自分だけが真実を知っている・・・なんて、そうそうある話ではないのです。
出典:モーリー・ロバートソン著『挑発的ニッポン革命論』