不思議な話

【LGBT法案可決】フランクフルト学派と文化マルクス主義ポリコレの先にあるもの

LGBT問題を内包し、現在世界を席巻しているポリコレ(ポリティカル・コレクトネス、政治的公平性)は、そもそもフランクフルト学派が提唱した文化マルクス主義という思想に影響を受けているという。

フランクフルト学派といえば、ビートルズの曲を作っていた人物として知る人ぞ知るテオドール・アドルノが所属していた学者グループである。

米国はポリコレに屈服し多様性や少数派に配慮しすぎた結果、これまでの伝統や慣習は破壊され、日常で使っていた言葉さえもいつの間にか消えていくという、おかしな社会になっている。

ポリコレに影響を与えた「フランクフルト学派」とその思想「文化マルクス主義」とは何なのか?

フランクフルト学派

フランクフルト学派は第一次世界大戦後、ドイツのフランクフルトを中心にマルクス主義の新たな潮流を生み出した。

このグループはドイツ系ユダヤ人を中心とする哲学者や歴史家のグループで、のちにナチスに追われアメリカに亡命した。

当時の米国はただでさせ白人と黒人が対立する差別的で抑圧的な社会であり、彼らは自分たちを受け入れてくれた米国に感謝するどころか、米国社会はナチスドイツよりも酷いところだと思ったのではないだろうか。

主なメンバーは、以下のとおり。

  • マックス・ホルクハイマー
  • ヘルベルト・マルクーゼ
  • テオドール・アドルノ

フランクフルト学派の系譜

ホルクハイマーやマルクーゼたちは、コロンビア大学といった米国の有名大学の教授のポストを得ると、そこから多くの弟子たちが生まれた。弟子たちはフランクフルト学派の理論を学生たちに伝えていった。

もともと米国にはアメリカ共産党などの労働者による革命をめざしたマルクス主義者がいた。

そこにフランクフルト学派の学者たちが加わり、文化的側面からのアプローチを数世代に渡って粘り強くおこなった結果、今日のようなポリコレが蔓延した狂った米国社会が出来上がってしまったのだと考えられる。

文化マルクス主義

「文化マルクス主義」とは、「フランクフルト学派」のメンバーやイタリアの共産主義者アントニオ・グラムシの提唱したマルクス主義革命理論である。

左翼活動家はポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)を肯定的に捉えているが、その思想的根幹にあるものが「マルクス主義」の変異種である「文化マルクス主義」である。

「最も発展した資本主義国において共産主義が起こる」という革命理論が現実にならなかったことで、彼らは革命そのものを起こすことよりも、既存の資本主義社会をいかに内部から弱体化させ、革命前夜の状況を作り出すかを研究した。

家庭の破壊

その結果、家庭こそが憎き保守主義の思想を育てる元凶だと認識した彼らは、家庭を解体するために以下のものを批判し、その崩壊を目論んだ。これが「文化マルクス主義」と言われる理由である。

  • 家父長制や一夫一婦制からの脱却
  • 性の解放を提唱
  • 保守主義の温床とされる宗教や伝統文化、地域社会の批判

家庭の破壊は「タビストック研究所」による世界洗脳計画においても、「300人委員会」による全人類家畜化計画においても重要な計画として登場している。

社会の最小単位である「家庭」は昔ながらの家父長主義に基づいており、保守的な思想を生む基盤となっている。彼らは、この根幹を揺さぶり破壊することで共産革命に、より近づこうとする。

マルクーゼの『純粋寛容批判』

自由主義社会では「寛容の精神」によって様々な思想や主張が許容されるが、暴力を行使した主張やテロは、その寛容な精神によって禁止されている。

しかし、フランクフルト学派の中心的人物マルクーゼは自らの論文『純粋寛容批判(A Critique of Pure Tolerance)』で、この寛容の精神に守られている保守主義を批判している。

権力者を守り社会に対して不正義を強いる保守主義に対しては、徹底的に不寛容になるべきであり、社会の進歩を掲げる左翼思想については、どこまでも寛容であれと左翼による暴力主義を容認した。

新左翼の父

この思想は、1960年代後半から1970年代にかけて世界中で起きた新左翼による学生運動の理論的支柱となった。

マルクーゼは、当時「新左翼の父」と呼ばれていた。彼は新しい社会の変革の主体はもはや労働者階級ではなく、学生や社会の周縁に追いやられた少数派(マイノリティー)であると主張した。

しかし、その少数派とは具体的にどのような人たちのことを指すのか明示しなかった。

アントニオ・グラムシ

この少数派の正体についてはっきり言明したのが、前述のイタリア共産党書記長だったアントニオ・グラムシだった。

グラムシは、フランクフルト学派とほぼ同時期に活躍した同学派と同じ思想を持った人物である。彼は独裁者ムッソリーニに追われソ連に亡命したが、そこで彼が見たものは恐怖政治によって社会を締め付ける独裁国家の姿だった。

ソ連に幻滅したグラムシは帰国後、新しい共産主義革命の方法を模索するが、ムッソリーニに投獄されてしまう。その獄中で執筆したのが『獄中ノート』である。これは、フランクフルト学派が頻繁に引用する20世紀におけるマルクス主義の古典の1つとなっている。

獄中ノート

グラムシは「獄中ノート」の中で、労働階級に代わって革命の主役となる少数派(マイノリティー)は次の者たちだと述べている。

  • 歴史的に反主流とされる層
  • 多数民族に対する少数民族
  • 男性に対する女性
  • 犯罪者

さらに、グラムシは「犯罪者が悪いのではない。そういう犯罪を起こさせた社会の側にこそ責任がある」とマルクス主義的な犯罪者擁護論も展開している。

文化マルクス主義(ポリコレ)を利用した米国社会の破壊

いま米国で進行しているものは文化マルクス主義の理論そのものである。

  • ジェンダー
  • 人権
  • 民族
  • LGBT

このような少数派(マイノリティー)や弱者の権利をポリコレを楯に過剰に擁護、尊重し異論を封殺することによって多数派とのあいだに緊張状態や対立をつくりだし、米国社会を不安定化させている。

  • ジェンダーレス・トイレの導入
  • 全ての白人は人種差別主義者と教えるアメリカの教育
  • 女子競技に元男性のトランスジェンダー女性が参加することで問われる公平性
  • トランスジェンダーの学生に話しかける際、代名詞(he・sheなど)を間違っただけでクビになる米国教員
  • カルフォルニア州では結婚式の際に夫(ハズバンド)と妻(ワイフ)という言葉の代わりに配偶者(スパウス)を使わなければならない
  • 黒人差別になるので白人は黒人特有のヘアスタイルであるドレッドヘアにしてはいけない
  • 人種差別になるので白人は日本の着物を着てはいけない
  • 米国の下院では2021年1月1日以降、民主党の働きかけにより性別を表す単語(父/母/ブラザー/シスターなど)は使用禁止になっている
  • 米国の幼稚園でのLGBT早期教育(性自認の洗脳)の押し付けが深刻な問題となっている

キリスト教的価値観の排除

米国の新左翼は、保守層の弱体化と資本主義社会の破壊を目論み、社会からキリスト教の文化や価値観を駆逐することに躍起になっている。

具体的には以下のような、難癖、言いがかりとしか思えないような抗議が起きているが、これは別に仏教やイスラム教などの他宗教から抗議の声が上がったわけではないという。

ポリコレを信奉する活動家がメリークリスマスを邪魔者扱いするのは、非キリスト教徒への配慮などではない。彼らにとってキリスト教とは、倒すべき強力な保守勢力なのだ。

  • 公共の場に設置された十字架などのキリスト的要素に文句をつけ撤去させる
  • 左翼の法曹団体「アメリカ自由人権協会」は、街頭にあるキリスト教的要素に対して政教分離違反として訴訟を起こして撤去させる
  • クリスマスからキリスト教色を排除するため「メリークリスマス」の挨拶は「ハッピーホリデー」に言い換えられた

マルクス主義者は同性婚を利用する

  • 同性同士の結婚では子供ができない
  • 子孫が生まれなければ家庭は途切れてしまう

マルクス主義者は家庭を破壊するためにLGBTや同性婚もツールとして利用する。

ただし、勘違いしていけないのはマルクス主義者がLGBT運動を仕組んだのではないということ。

この運動における家庭破壊のすさまじい威力に気づいたマルクス主義者がこれを利用しようとしたのだと考えられている。

消されていく言葉

無くなる言葉 言い換え
ブラック アフリカンアメリカン(アフリカ系アメリカ人)
メリークリスマス ハッピーホリデー
クリスマスツリー ホリデーツリー
レディース・アンド・ジェントルマン ハロー・エブリワン
ボーイズ・アンド・ガールズ ハロー・エブリワン
彼(he)/彼女(she) 彼ら(they)
パパ/ママ/ダディ/マミー グロウンアップス(Grown-ups)/フォークス(folks)/ファミリー(family)

中には妥当だと思われるものもあるので、このような言い換えのすべてを否定するわけではない。

あとがき

ジョージ・オーウェルの小説『1984』では「ニュースピーク」という未来の言語が登場し、民衆は使用する言葉を政府に管理されている。

そして、体制側に都合の悪い言葉があれば逐一削除されていく。まさしく、その光景は現在この世界に蔓延るポリコレによる「言葉狩り」の行き着く先である。

ニュースピークの目的は思考の範囲を狭めることだ。使える言葉が極端に減ってしまった社会では、おかしな事におかしいと声を上げることが出来なくなるかもしれない。

なぜなら、そのとき何かを批判する言葉は、この世にひとつとして残っていないからだ。

出典:福田ますみ著/ポリコレの正体、ジョージ・オーウェル著/1984

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