アメリカ中西部を竜巻が襲い、一夜にして町の姿が一変した。
被害地域の民家は屋根がえぐり取られ崩壊し、クルマは横転するなど惨憺たる状況で、死者は100人を超えるのではと予想されている。
アメリカを襲った竜巻の被害
2021年も残すところ3週間となった12月10から11日にかけて、アメリカ南部、中西部の以下の6つの州で30を超える竜巻が発生した。
- イリノイ州(中西部)
- ミズーリ州(中西部)
- アーカンソー州(南部)
- ケンタッキー州(南部)
- テネシー州(南部)
- ミシシッピ州(南部)
ケンタッキー州のロウソク工場
一番被害が大きかったと見られるケンタッキー州。被害が拡大した原因の1つがロウソク工場の倒壊といわれる。
中西部の都市メイフィールドのロウソク工場ではクリスマスへ向け、24時間態勢で約110人の従業員が働いていた。
13日の報道では約90人が救出され、8人の死亡が確認され、その他8人の安否は不明だという。
イリノイ州のアマゾンの物流倉庫
イリノイ州にある通販大手アマゾンの物流倉庫でも甚大な被害が出た。
これまでに少なくとも6人の死亡が確認されている。
倉庫内から45人が救助されたが、勤務シフトが変わるタイミングだったため、正確な人数がわかっていないという。
台風・タイフーン・ハリケーン・サイクロンの違い
台風やハリケーンなどは、熱帯低気圧が発生した場所により呼び名が変わる。
竜巻(トルネード)は、台風などの熱帯低気圧と違い、積乱雲の下に発生する気流のこと。
- ハリケーン(Hurricane):北大西洋、カリブ海、メキシコ湾および西経180度より東の北太平洋東部で発生
- タイフーン(台風・Typhoon):北太平洋西部で発生
- サイクロン(Cyclone):ベンガル湾、北インド洋で発生
- トルネード(竜巻・Tornado):積乱雲の下で発生する渦巻状の気流で台風に比べ発生するまでの時間が短い
スーパーセルが竜巻の原因?
巨大な積乱雲スーパーセル(super cell)は、竜巻が発生する原因の一つとされる。
- 南側のメキシコ湾からの暖かく湿った空気
- ロッキー山脈を超えてくる北からの冷たく乾いた空気
2つの空気が衝突し、巨大積乱雲スーパーセルをつくり出す。
スーパーセルは、回転をともなう激しい上昇気流を作りだして竜巻を発生させる。
ケンタッキー州などであった直近の出来事
竜巻がアメリカ中西部と南部の6つの州を襲う少し前の出来事といえば。
2021年11月29~30日には、米連邦地裁により、この地域での新型コロナワクチン接種義務の執行を差し止める命令が出されたばかりだった。
判事は、政府機関メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)には、数百万人のワクチン未接種の医療従事者、労働者に対して接種を義務化する権限が無いと指摘した。
ワクチン接種義務化の拒否と今回の竜巻は何の関係も無いし、たまたまエリアが被っただけの偶然だろう。
だが、冬の時期に今回のような竜巻が発生するのはアメリカでも珍しいそうだ。
- イリノイ州(義務化への抗議でシカゴの警官が勤務をボイコット)
- ミズーリ州(11/29 ワクチン接種義務差し止め)
- アーカンソー州(11/29 ワクチン接種義務差し止め)
- ケンタッキー州(11/30 ワクチン接種義務差し止め)
- テネシー州(11/30 ワクチン接種義務差し止め)
- ミシシッピ州(11/6 ワクチン接種義務差し止め)