かつて、この世界にはタルタリア帝国という国が存在したとか、マッドフラッド(泥の洪水)と呼ばれる災害により現代文明は一度リセットされたという都市伝説を最近よく耳にする。
しかし、我々が授業で教わった歴史にはこのような国の名前や事件は出てこない。
今回は、この不思議なタルタリア帝国とマッドフラッドについて少し調べてみた。
- タルタリア帝国とマッドフラッドについて
タルタリア帝国とは
19世紀初頭、タルタリア帝国はヨーロッパの支配者層と全面戦争へ突入したが、最終的に核兵器による攻撃で滅ぼされた。
この不思議の国の特徴は以下のようになっている。
- タルタリア帝国は13世紀から19世紀初頭まで存在していた
- 巨大な国土はユーラシア大陸北側全体、シベリア、中央アジア、満州、朝鮮半島、インドの一部、小アジア半島までを占めていた
- フリーエネルギーが普及(電気が無料で好きなだけ使える)
- 巨人と共生していた
- 現代文明を凌駕する科学技術を持っていた
タルタリア文明の痕跡
その後、支配者層は各国上層部に手を回して歴史を改ざんし、タルタリアの存在を世界中の歴史から葬り去った。
しかし、完全にその痕跡を消し去ることは出来なかった。その影響は現代建築の中に見ることができるという。
タマネギ形の建造物
世界には頭頂部がタマネギのような形をしている建造物が多数存在する。
- アメリカ議会議事堂(ワシントンDC)
- タージマハル(インド)
建物は、空に向かって突き出た尖塔(せんとう)からドーム状の屋根、その下には柱が多く使われた構造でヨーロッパや中国、日本にも同じようなデザインの建物が多く存在している。このデザインが「タルタリア様式」だとされる。
本来の用途は宗教的施設や墓などではなく、人類の理想郷タルタリア帝国で実現された「エーテルエネルギー」を電気に変換する「フリーエネルギー発電所」だ。
日本でも見られるタルタリアの遺産
日本にも存在するというタルタリアの遺産。
- 五稜郭
- 赤レンガ倉庫
五稜郭
星型の要塞もタルタリアの遺産だと言われている。これまでの歴史では「星型要塞」は15世紀中頃のイタリアで火砲を防御するために生まれた築城方式とされてきた。
この要塞は現在世界中に500ヶ所以上あるといわれ、日本でもかつて江戸幕府が函館に建造した「五稜郭」が有名である。
この星型要塞の用途はやはりフリーエネルギーの増幅装置とされ、星型の城壁の周囲に水を張り巡らし、音波を当てて水の結晶を変化させてエネルギーを作り出していた。
赤レンガ倉庫
横浜にある赤レンガ倉庫もタルタリア文明の流れを汲む建造物で本来の用途は蓄電池(バッテリー)なのだという。
酸化鉄を含み電気を通す「赤レンガ」は、タルタリア文明では蓄電池として利用され、電気を建物自体に蓄電したり、町の各場所へ無線で送電することも出来た。
1900年代に入り明治政府により建てられた赤レンガ倉庫は、現在では文化・商業施設を含む代表的な観光スポットになっている。
タルタリア人の生活
タルタリア帝国には主に「3つの種族」が暮らしていた。人々は互いに助け合い、健康で文化的な生活を営んでいた。
また、タルタリアの大地では農作物も豊富に取れ、食糧難の心配も無かったようだ。
- モンゴル系タタール人(黄色)
- ネイティブアメリカン(黄色)
- ロシア系アーリア人(白人)
巨人と共生していた
ネット上には、「普通サイズの人物」と「体の大きな巨人」と思しき者たちが一緒に写っている写真が出回っている。
タルタリア帝国では、人間と巨人が仲良く助け合いながら暮らしていたと言われるが、その巨人と思しき者たちが前述の3種族の民の者なのか、それ以外の別の種族なのかは分からない。
また、その写真が本物なのか、タルタリアと何の関係もない写真を、このストーリーの舞台装置の1つとして利用しているだけなのかは不明だ。
現代文明を凌駕する科学技術
- 自動車
- 鉄道
- 航空機
- モノレール
- 動く歩道
- 丸い形の一人乗りの自転車
- ロボット
タルタリアには現代文明で使われている道具や技術は当然ながら存在していた。
また、国内はフリーエネルギーで電力を賄っており、電気を無料で大量に使うことが出来た。
電気技術が発達し、テクノロジーは現代文明をはるかに凌駕していた。
マッドフラッドによるリセットと夏のない年
1816年、タルタリア帝国は支配者層による核攻撃で滅亡した。
なお、1816年は「夏のない年」とも呼ばれ、異常気象による冷夏が「北ヨーロッパ」、「アメリカ北東部」、「カナダ東部」を襲い、農作物に壊滅的な被害を与えた。
気候の異常や太陽活動の低下、そしてインドネシアで発生したタンボラ山の大噴火は過去1600年間で最大規模といわれ、「西洋において最後で最大の危機」とされた。
夏のない年はマッドフラッドなのか?
マッドフラッド論者は信じている。
タルタリア帝国とマッドフラッドの存在を隠蔽するために「夏のない年」がでっち上げられたのではないかと。
実際に全世界を飲み込むほどの大洪水が起こったのかどうかは不明だが、夏のない年には世界各地で洪水が起きていた。
中国(清)
当時の中国は清の時代。
とくに北部では寒さで夏に雪が降り、稲作と水牛が被害を受けた。
タンボラ山の噴火で季節風の流れが変化したため、長江では破滅的な大洪水が発生した。
日本(第11代将軍・徳川家斉の治世)
当時の日本は江戸幕府第11代将軍・徳川家斉の時代。
とくに大規模な飢饉も発生せず、日本は「夏のない年」の影響はほとんど受けなかったとされる。
しかし、全国的に冷夏が記録され、9月には暴風雨や洪水が頻発した。
ヨーロッパ(ナポレオン戦争末期)
当時のヨーロッパはナポレオン戦争が終わりを迎えた時期だった。
以下のヨーロッパ各国を流れるライン川などの河川では、異常な降雨による洪水が発生した。
その結果、各地で食糧不足による暴動や略奪事件も起き、「夏のない年」のヨーロッパ全体の死亡者数は20万人にのぼった。
- スイス
- リヒテンシュタイン
- オーストリア
- ドイツ
- フランス
- オランダ
ロシア(シベリア地方)
ロシアのシベリアでも不思議なことが起きていたようだ。
- 隕石が落ちたあとのクレーターのようにたくさんの丸い湖が出現した
- シベリアのタイガの針葉樹は樹齢200年以下の若い木だけで構成されている(通常、杉の樹齢は1000年と言われる)
マッドフラッド論者はつぎのように考えている。
- シベリアの植物が全滅した理由はタルタリア帝国内に核兵器が撃ち込まれ、壊滅的な被害を受けたため
- 異常低温が3年間も続いたのは「核の灰」が地球を覆いつくしたため
夏のない年の原因
夏のない年を引き起こした原因は「火山の噴火」だと言われる。
「夏のない年」付近に発生した火山の噴火は以下のとおり。
- 1812年:カリブ海セントビンセント島のスフリエール山
- 1812年:インドネシアサンギヘ諸島のアウ火山
- 1813年:現在の鹿児島県鹿児島郡十島村の諏訪之瀬島
- 1814年:フィリピンルソン島のマヨン山
- 1815年:インドネシアのスンバワ島のタンボラ山
なかでもインドネシアのタンボラ山の噴火は人類史上最大であった。
1812~1814年までに発生した4回の噴火に加え、タンボラ山の大噴火により大量の火山灰が大気中に巻き上げられた。
その結果、大気中の火山灰は太陽光をさえぎり、世界的な気温の低下を引き起こした。
参考:wikipedia
噂の出どころの謎
気になる事と言えば、ネット上に突如として姿を現した「マッドフラッド論」と「タルタリア帝国」の噂話の出どころだ。
SNSなどでこの噂話に飛びついている人の広がりを見ていくと、トランプ信奉者や某アノン系の支持者と被っていたり、話の内容にもそのような人たちが好むようなキーワード、設定が盛り込まれている。
- フリーエネルギー
- 支配からの解放
- 理想郷
- 覆い隠された真実
一説には某アノン系の人が気づいているいないに関わらず、その背後にはCIA左派だか右派だかが蠢いていて、この手の噂を流して分断工作や大衆扇動しているみたいな話もあるとかないとか。
マッドフラッドは嘘なのか
「世界が押しつけてくる嘘を誰もが受け入れるのならば。そして、あらゆるメディアが同じ内容しか伝えないのであれば、その嘘が歴史となり、真実になってしまう」ととある作家は書いている。
とはいうものの、「夏のない年」の火山灰が世界から太陽を奪ったように、人々からマッドフラッドとタルタリアの記憶を覆い隠してしまったというのはいささか無理があるのではないか。
江戸時代が無かったことになっていたり、曾祖父さん曾祖母さん、もしくは爺ちゃん婆ちゃん達の人生の記憶がすべて消されているとか、改ざんされてしまったとか信じがたいのだ。
ただし、都市伝説として見るならば興味深く、SF小説を読んでいるかのような感覚で、これがホントだったら面白いなと妄想するのは悪くない。
だからこそ、この荒唐無稽な物語をあたかも思想警察よろしく、大真面目に否定し、それを信じる者たちを大人げなくぶった斬る気などさらさら無い。
最終的に、現実逃避することや物事を信じる信じないは人の勝手であり、ある人にとっての真実は、ある人の幻想にすぎないのだから。