「奇妙な死に方をした人たち」の第五弾は、20世紀編。
時代が現代に近づいて行くにつれ、奇妙な死にも変化は見られるのか?
これまでのシリーズはこちら。
【奇妙な死に方をした人たち①古代編】空から陸ガメが降ってくることもある
【奇妙な死に方をした人たち②中世編】笑い続けて気づいたらヘブン
【奇妙な死に方をした人たち③近世編】ヒゲに生きヒゲに殉ず髭ダンディズムを体現した男
【奇妙な死に方をした人たち④19世紀編】野菜が凶器になることもある
奇妙な死に方をした人たち20世紀編
①聖書で殴り殺された男
1903年、ハワイのホノルルで病を治すための儀式が行われていたが、その会場で名も無き男性が聖書で殴り殺されたという。
男性は医師によるマラリアの治療を受けていたが、男性の家族が呼び出した地元の「カフナ」は彼には悪霊が憑りついていると主張しはじめ、悪魔祓いと称して何度も頭を聖書で殴りつけ死亡させた。
その後、このカフナは殺人罪で裁判にかけられたという。
カフナとは、ハワイ先住民の社会で「神官・医者・職人・呪術者」といった専門職についている者のこと。
漫画ベルセルクにはモズクズ様という僧侶がいて、やっぱり聖書で人の頭を殴っていた。
使い方のおかしい奴らがたまにいる。
②金庫に殺された男
1911年、ウイスキーで有名なジャック・ダニエルは、ある朝、金庫が開けられなかったことに腹を立て、金庫を蹴飛ばして足の踵を負傷した。
その後、踵に負った傷が原因で肺血症を患い死亡した。
ダニエルは金庫の暗証番号の数字の組み合わせを思い出すのが苦手だったという。
この出来事を教訓になり、ジャック・ダニエルの名言には「朝早く仕事に行ってはいけない」というものがあるらしい。
③サーカスのゾウに殺された男
1916年、アメリカ・テネシー州、あるサーカスの調教師がゾウに殺害された。
その翌日、調教師を殺害したメスの象メアリは、工事用クレーンを使って絞首刑に処されたという。
④シロップ(糖蜜)に殺された者たち
1919年、アメリカ・ボストンの港湾部ノースエンドで巨大な貯蔵タンクが破裂しシロップ(糖蜜)の大洪水が起きた。
大量のシロップの波に人々は飲まれ21人が死亡し150人が負傷したという。
⑤蚊に刺されて死んだ男
1923年、イギリス貴族のジョージ・ハーバートは、蚊に刺された箇所をヒゲを剃っている時に誤って傷つけてしまい感染症にかかって死亡した。
彼は、エジプトでツタンカーメン王の墓を発見した考古学者ハワード・カーターに資金提供をおこなっていたとされる人物。
そのせいもあってか、ジョージ・ハーバートは「王家の呪い」で殺されたのではという噂も囁かれていた。
⑥夢の中で自殺した男
1924年、英国ウェールズの弁護士ソーントン・ジョーンズは目が覚めると自分の喉が切り裂かれていることに気が付いた。
その後、彼は「私は夢の中で喉を切った。目が覚めた時、それが現実だったと気づいた」と紙に書き残し、絶命していたという。
⑦オレンジの皮に殺された男
1926年、アメリカのスタントマンだったボビー・リーチは、オレンジの皮に足を滑らせて転倒し、足の骨を折ったが、その後の足の切断手術が失敗したため死亡した。
⑧ヒクイドリに殺された少年
1926年、オーストラリアのファー・ノース・クイーンズランドに住む16歳の少年フィリップ・マクリーンは、自宅の庭でヒクイドリを見つけた。
フィリップは、「こん棒」でヒクイドリを殺そうとしたが、突進され地面に倒されたあと、蹴りで首を切り裂かれて出血多量で死亡したという。
⑨スカーフに殺された女
1927年、世界的なダンサーだったイサドラ・ダンカンは、フランスで車の助手席に乗っていた際、首に巻いていた長いスカーフが車輪に巻き込まれたため首の骨を折って死亡した。
⑩刑務所内でパイプ爆弾を使って自殺した男
1930年、アメリカ・カリフォルニア州にある「サン・クエンティン州立刑務所」の服役囚ウィリアム・コガットは、自作したパイプ爆弾で自殺した。
コガットのパイプ爆弾は、独房の簡易ベッドの脚にトランプの破片と水を入れて作られていた。
パイプとはいわゆる「配管材」のこと。
⑪爪楊枝(つまようじ)に殺された女
1941年、アメリカの作家シャーウッド・アンダーソンは、誤って飲み込んでしまった爪楊枝が内蔵を傷つけたことで腹膜炎になり死亡した。
⑫テレビの生放送中に死亡した男
1958年、イギリスの俳優ギャレス・ジョーンズは、テレビ演劇の生放送に出演していた。
シーンとシーンの合間の時間に心臓発作で死亡した。
ジョーンズ氏の途中退場後、番組出演者は即興のセリフで乗り切ったという。
⑬原子炉のウォーターハンマーで死亡した男たち
1961年、アメリカ・アイダホ州の原子炉のメンテナンス中に事故が発生し、ウォーターハンマー(水撃作用)が引き起こした爆発でアメリカ陸軍特殊技能兵と海軍電気技師の2名が死亡した。
⑭スカイダイビング中に死亡した男
1966年、アメリカのスカイダイバー、ニック・ピアンタニーダはパラシュートの最高高度記録に挑戦中に与圧服の不具合で脳にダメージを受けてしまい4か月後に死亡した。
⑮大気圏外で起きた人類唯一の死亡事故
1971年、ソ連の宇宙飛行士ゲオルギー・ドブロボルスキー、ウラディスラフ・ボルコフ、ビクトル・パツァーエフの3人は、滞在していた宇宙ステーションから地上へ帰還しようとしていたが、大気圏に突入する際、搭乗していたソユーズ11号で空気漏れが発生し窒息死した。
この事故は、大気圏外で起きた唯一の人類死亡例だといわれる。
⑯健康志向に殺された男
1974年、ロンドンに住む健康食の提唱者だった48歳の男性は、ビタミンAと人参ジュースの過剰摂取で死亡した。
男性は、10日間で700万IUのビタミンAと約38リットルのニンジンジュースを摂取したことで肝臓に異常をきたしていた。
死亡時の男性の肌は、黄色に変色していたという。
⑰コメディ番組を見て笑い死にした男
1975年、イギリスの50歳の男性が、「ザ・グッディーズ」というコメディ番組を視聴中に25分間笑い続けた結果、心不全を起こし死亡した。
⑱水中毒で死亡した女
1977年、アメリカの28歳の女性が、胃ガンを治療するために1日に15リットルもの水を飲み水中毒で死亡した。
⑲レース中に消火器が直撃し死亡した男
1977年、レーシンドライバーのトム・プライスは、南アフリカグランプリのレース中に270㎞/hのスピードでコースマーシャルを跳ねた際、頭に消火器が直撃して死亡した。
プライスに跳ねられ死亡した19歳のコースマーシャルは、反対側で出火した車両の火を消すためにコースを横切ろうとしていたところだった。
⑳妻が入院中に餓死した男
1978年、数学者のクルト・ゲーテルは、妻が入院している間に飢餓で死亡した。
彼は、毒殺を恐れ妻以外の者が用意した食べ物を決して口にすることはなかったという。
㉑人類で初めてロボットに殺された男
アメリカの自動車メーカー・フォードの工場で働いていた男性が、産業用ロボットのアームで頭部を強打して死亡した。
彼は、人類史上初のロボットに殺害された人物となった。
㉒ラジコン飛行機に殺された男
1979年、アメリカ・ニューハンプシャー州の20歳の男性は、アメリカンフットボールのハーフタイムショー中に重さ18㎏のラジコン飛行機が客席に墜落し頭部を負傷したことで死亡した。
㉓ヘリのプロペラに殺された男
1981年、映画監督のボリス・セイガルは、アメリカ・オレゴン州でテレビシリーズ「第三次世界大戦」の撮影中にヘリコプターのテールローターに近づいてしまい、頭部の一部を切断され死亡した。
㉔サボテンに復讐された男
1982年、アメリカ・アリゾナ州のプレザント湖近郊でサボテンをショットガンで撃ちまくって遊んでいた20歳の若造が、落下してきた1.2メートルサボテンの腕(枝)に押しつぶされて死亡した。
㉕ゴルフクラブに復讐された男
1982年、ルイジアナ州ニューオーリンズのゴルフコースでプレイしていた26歳の若造は、自分のミスへの怒りが収まらず、持っていたゴルフクラブを移動用カートに叩きつけた。
すると、破壊されたクラブのヘッド部分が勢いよく跳ね返り、男性の喉に突き刺さった。
男性は経静脈を損傷し、出血多量で死亡したという。
㉖映画の撮影中にヘリコプターの墜落に巻き込まれた男
1981年、アメリカの俳優ヴィック・モローは、映画「トワイライト・ゾーン/超次元の体験」を撮影中に頭上を飛んでいた撮影用ヘリコプターが映画の特殊効果の爆発の影響を受け、揚力を失い墜落した。
モローと共演者の6歳と7歳の子役は墜落に巻き込まれ死亡した。
㉗目薬のフタで死亡した男
1983年、あめりかの劇作家テネシー・ウィリアムズは目薬もしくは点鼻スプレーのフタを誤って喉に詰まらせて、窒息死した。
ウィリアムズがなぜフタを飲み込んだのかは明らかにされていない。
㉘テニスボールが股間に当たり死亡した男
1983年、全米オープンテニスの試合中に、ラインズマン(線審)を務めていた61歳の男性は、股間にボールが直撃して座っていた椅子から落下して頭を打ち死亡した。
男性の股間にテニスボールを当てしまった選手はエドバーグ選手だったといわれている。
㉙性行為中にピアノと天井に挟まれて死亡した男
1983年、サンフランシスコのナイトクラブに雇われていた用心棒の男性が、油圧モーターで昇降するシステムを搭載したグランドピアノの上で恋人と性行為をしていた。
その際、誤って昇降システムが起動してしまい、上昇したピアノと天井の間に挟まれて死亡した。
㉚ピストルの空砲で死亡した男
1984年、アメリカの俳優ジョン・エリック・ヘクサムは、空砲の装填された撮影用ピストルで、退屈しのぎにロシアンルーレットをしていた。
自分のこめかみに銃口をつけ引き金を引くと、空砲内の紙の詰め物が発射され頭蓋骨を直撃し、へクサムは重度の脳内出血を起こし死亡した。
㉛聖書を飲みこんで死亡した男
1987年、カナダにある刑務所に収容されていた22歳のフランコ・ブランは、ポケットサイズの聖書を飲み込もうとして窒息死した。
彼はうつ病で苦しんでいたらしく、自分の体の中に悪魔が住んでいると主張していた。
そのため、この行為は単なる自殺ではなく、悪魔を浄化するためにおこなったのではと言われている。
㉜パラシュートを持つのを忘れて空から飛んだスカイダイバー
1988年、ベテランのスカイダイバーだった35歳男性は、パラシュートを付け忘れて飛行機から飛び降り、地面に激突して死亡した。
男性は、ノースカロライナ州にあるスカイダイビング・スクールのインストラクターと生徒が空中でタンデムジャンプしている様子をカメラに収めるために同行していたのだが、パラシュートを持たずに飛行機から飛び降りてしまったという。
㉝死は連鎖する
1988年、アルゼンチンのブエノスアイレスでは、映画「ファイナル・デスティネーション」ばりの事件が起きていた。
まず、1頭のプードルが建物の13階から落下すると、たまたま下に居た75歳の女性を巻き添えにして死亡した。
次に、その事故の話を聞きつけて様子を見にやってきた46歳の女性は、バスに轢かれて死亡する。
さらに、その付近にいた男性が46歳女性の事故死を目撃したショックで心臓発作を起こして死亡したという。
㉞ジャンボジェット機のエンジンに身を投げた男
1990年、31歳のアメリカ人男性が、旅行先であるトリニダードトバゴのピアルコ国際空港でジャンボジェット(ボーイング747)のエンジンに身を投げて自殺した。
㉟映画の撮影中に射殺されてしまった男
1993年、ブルース・リーの息子で俳優のブランドン・リー28歳は、映画「クロウ/飛翔伝説」の撮影中に共演者のマイケル・マッシーのより射殺されてしまった。
というのも、マッシーが使用した撮影用の拳銃に誤って弾頭が装填されていたのが事故の原因だという。
㊱ビルの窓の強度をアピールしようとして24階から転落死した男
1993年、カナダのトロントの弁護士38歳男性は、訪問者グループにトロント・ドミニオン・センターの窓が頑丈で壊れないことをアピールするため、窓に向かって体当たりをしたところ、窓を突き破っと24階の高さから転落死した。
男性が落下した原因は、窓枠が外れたからであり、彼の言う通り窓は割れてなかったという。
㊲研究中水銀に殺された女
1997年、ダートマス大学の化学教授カレン・ヴェッターハーンは、研究中に防護手袋に数滴のジメチル水銀が付着したのが原因で10か月後に死亡した。
彼女は防護手袋で対策していたが、ジメチル水銀の威力は凄まじく、数秒のうちに手袋を突き抜け皮膚まで浸透したという。
㊳デオドラントスプレーに殺された男
1998年、イギリスの16歳の男性が、デオドラントスプレーの過剰使用で死亡した。
彼は、スプレーをかけ過ぎた結果、血液中にブタンとプロパンが増加したことで心臓発作を引き起こし死亡した。
㊴道路に設置されているチャッターバーに殺された男
1999年、女性DJのKemmistryは、車の助手席に座っていた際に、道路に設置されているチャッターバーがフロントガラスを突き破り、頭部に直撃して死亡した。
彼女の乗車していた車の前を走っていたバンがチャッターバーを跳ね飛ばしたのが事故の原因だった。
㊵競技用投げ槍に頭部を貫かれた男
1999年、イギリスで体育教師をしていた41歳男性は、たまたま競技用の投げ槍の上に倒れてしまい、そのはずみで槍が目を貫通して脳まで達したことで死亡した。
まとめ
今回の「奇妙な死に方をした人たち20世紀編」で特に印象深いのは、1988年アルゼンチンのブエノスアイレスで起きた映画「ファイナル・デスティネーション」ばりの連鎖事故だろう。
プードル犬が13階から落下して75歳女性を巻き添えにして死亡すると、その事故の見物にやってきた46歳女性がバスに轢かれて死亡し、その交通事故を目の前で目撃した男性がショック死する。
なんつーか、デキすぎくんかよって、漫画かよって・・・ピタゴラスイッチじゃないんだからさ。
「死の連鎖」ってホントにあったんだなあ。
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