今まで「キューピッド」と「天使」は、同じモノだと思っていたのだが、どうやら違うものらしい。
恋と言えばキューピッド。
このたびは、恋の花咲くバレンタインデーも近いということもあり、すでにオッサンなので、チョコもクソも無いのだが、少しばかり見聞でも広めようと思い、天使とキューピッドの違いについて考えてみた次第である。
天使とはなにか
天使とは、時に人を導き、人を罰する神さまの使い。
英語では、Angel(エンジェル)という。
私たちはよく、可愛らしい「子ども」や「綺麗な女性」を見ると「天使だ」と称える。
しかしながら、この場合は天使の本質や実像とは無関係に「純粋さ」や「美しさ」を表す言葉として使用している。
そもそも天使とは
そもそも、天使とは神・ヤハウェを崇めるの3つの宗教における神の使いを指す。
- ユダヤ教
- キリスト教
- イスラム教
じつは、これらの宗教の教義の中で天使が「子供」や「女性」の姿をしていることは滅多にない。
キリスト教の宗教画にはよく、背中に白い翼を生やした子供が描かれているが、あの子供らは厳密には天使ではなく、「プット」と呼ばれる別の存在なのだ。
プットとは
プット(Puttto)とは、ルネサンス美術の絵画に描かれる翼の生えた裸の幼児である。
また、複数体で描かれることもあり、その場合は複数形のプッティ(Putti)とも呼ばれる。
そして、このプットは、ギリシャ・ローマ神話の神が「キリスト教美術」に取り込まれて生まれたものだ。
- ギリシア神話の愛欲の神・・・エロス(エロース)
- ローマ神話の愛の神・・・クピト(クピードー)
また、プットは「智天使ケルビム」の別の姿であるとも言われる。
天使は中世には怪物のような姿で描かれていたが、「不老」という特徴が独り歩きして誇張され多結果、ルネサンス期には「幼児の姿」で描かれるようになった。
キューピッドとエロス
テレビなどで紛らわしい使われ方をしているからだろうか。
日本ではよく、次の特徴を持ったものを「天使」だと勘違いされているような気がする。
- 弓矢
- 翼
- 幼児
しかし、こやつの正体は「ローマ神話に出てくる愛の神・クピト」なのだ。
クピトを英語で言うとキューピッド(Cupid)になる。
クピトの別名は以下のとおりだ。
- クピードー
- キューピッド
- キューピット
- アモール
また、このキューピッドは「ギリシア神話の愛欲の神・エロス(エロース)」と同一視されている。
なので、この世界の片隅で日夜、弓矢で恋を取り持つ任務に当たっているキューピッドさんは天使ではないのだ。
ちなみに、イタリア語で「愛」のことをアモーレという。
あとがき
天使とキューピッドの違いを簡単に言うと次のようになる。
- 天使・エンジェル・・・キリスト教が題材の神に仕えるの者でハープやラッパなどの楽器を奏でる
- キューピッド・エロス・・・ギリシア・ローマ神話に登場する神で対象を弓矢で狙撃する
パッと見、姿もソックリだし、天使とキューピッドの違いは紛らわしいのだ。
まあ、間髪入れずに弓矢で狙撃してくるのが「キューピッド」だから、今回は「俺たちは天使じゃない!」ということだけ分かってくれ。