不思議な話

ギリシャ経済危機と全体主義への道筋

2010年、欧州経済危機(欧州債務危機)が発生した。

この危機は2009年10月のギリシャの政権交代時における国家財政の粉飾決算の暴露から始まった。

グローバリストたちはギリシャの国家財政が危機的状態にあることを以前から知っていた。

欧州経済危機とPIIGS

2009年12月のEU統合後(リスボン条約発効)の2010年1月、EUがギリシャの国家財政における粉飾決済を指摘するとギリシャの財政状況は悪化した。

ギリシア経済危機は、あっという間に欧州全域に波及し、欧州経済は大打撃を受けることになる。マスコミは危機に陥った国々の頭文字を豚に見立てて「PIIGS(ピッグス)」と罵倒した。

このスペルは「ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシア・スペイン」の頭文字を連ねたもので、意味は「豚ども」だ。

STUPID

ギリシャ経済の崩壊後、ドミノ倒し的に経済危機を迎えそうな国々の頭文字をとって「STUPID(馬鹿ども)」と呼んだ。

これは「スペイン・トルコ・イギリス・ポルトガル・イタリア・ドバイ(アラブ首長国連邦)」のことだ。

ギリシャでは緊縮財政が実行された

経済危機によりギリシャは債務問題の解決へ向け財政再建を迫るEUと緊縮財政に反発を強める国内との間で身動きがとれなくなっていた。

そして、ギリシャの次に不安視されていたのがイタリアスペインだった。これらの国々では国債利回りが急上昇(価格は下落)を始めており、市場では危機拡大への不安が大きく広がった。

ギリシャでは国民に痛みを強いる緊縮財政に反対が根強かった。多くの国民はデモやストライキなどの抗議行動を繰り返していた。

国際機関と国際会議を操り世界経済を誘導する

ギリシャは、いつ破綻しても不思議でないほど非常にシビアな政権運営を強いられていた。同時にこの経済危機がイタリアやスペインにも飛び火する可能性も秘めていた。

グローバリストはトロイカと呼ばれるEU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)などの国際機関やサミット(先国首脳会議)、G20(二十か国/地域・財務相・中央銀行総裁会議)という国際会議を巧みにに使って世界経済を誘導する。

2011年9月22日 ワシントン G20

2011年9月22日、ワシントンで開かれていたG20で次の声明が発表された。

  • 金融市場の安定に向けて必要なすべての行動をとる
  • 欧州金融安定基金の機能を強化する

2011年9月24日 ワシントン IMF

2日後の2011年9月24日、IMF(国際通貨基金)は各国の財務相らで作る国際通貨金融委員会(IMFC)をワシントンで開き、次の声明を発表した。

  • 世界経済が直面する危機に断固として行動する
  • 危機に対応した短期の融資制度の創設や資金の確保、分析機能の強化などを検討し、翌年2012年4月の次期会合で報告する

ラガルドIMF専務理事

2011年9月22日、世界の金融市場ではユーロ安が加速した。

欧州の財政不安からユーロが売られ、「1ユーロ=102円台」までユーロ安が進行した。これは当時10年ぶりの低水準といわれ、欧州経済は低迷した。

このような危機の中、IMFのラガルド専務理事は次のように述べた。

「世界経済は危険な新局面に入った。回復への道は残されているが狭くなってきている。協調と行動への世界各国の政治的な強い意志が必要だ」

バローゾ欧州委員長

ラガルドIMF専務理事のコメントから6日後の2011年9月28日、EUのバローゾ欧州委員長は議会での政策演説で「ユーロ圏の再生に向けた中長期的な金融安定化策」を発表した。

バローゾ氏のコメントは次の通りである。彼らが進めるのは「EU各国の財政統合」だった。

「EU(ユーロ圏)では金融取引税を導入する。同時にユー口共同債や欧州金融安定基金(EFSF)の再強化を図る。現代世界における欧州危機を突破するためにはユーロ圏における財政統合の加速が不可欠である」

ちなみに2016年7月、バローゾ氏はゴールドマン・サックスの社外取締役に就任することが発表された。

全体主義化への道筋

  • ラガルドIMF専務理事:「世界各国は協調に向けて強い政治的意志を持て」
  • バローゾ欧州委員長:「EU各国は財政統合せよ」

ラガルドとバローゾ、2011年当時の2人の発言は1つ道筋を示している。世界全体の強固な経済的統一と政治的統一である。

これは世界の全体主義化、世界政府樹立に向けた流れだった。

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