2001年9月11日午前8時46分、最初の飛行機が世界貿易センターに激突し、その後ハイジャックされたアメリカン航空77便が国防総省ペンダゴンに突っ込んだ。
世にいう「9.11アメリカ同時多発テロ」である。
アメリカは新たな敵の出現を認識し、「これまでアメリカが受けてきた破壊的なテロ攻撃の裏にはアルカイダがいるのだ」と情報通の多くの論者がテロネットワークとその脅威を口にしていた。
- アルカイダとCIAについて
- ビン・ラディンについて
アルカイダとCIA
以前からCIAとテロリストのあいだには深い関係があり、詳しい情報を握っていたCIAはアルカイダの打倒に向けて優位な立場にいたとされる。
アルカイダがイエメンのアメリカ大使館やアメリカ軍艦コールを襲撃したとき、この優位性は存分に発揮されるはずだった。
だが、1998年から2001年までのあいだ、アメリカはビン・ラディンらの膨れ上がる脅威に対し、ほとんど抵抗することがなかった。
聖戦の英雄ムジャヒディーンはCIAの作り出した怪物
1980年代、ムジャヒディーン(聖戦に参加する兵士)はアフガニスタンに侵攻したソ連軍と戦ったが、彼らを訓練し武装させ資金援助したのはCIAだった。
「基地・基盤」を意味するアルカイダという言葉をはじめて使ったのもCIAで、それは聖戦士ムジャヒディーンの突出した武力を言い表すものだ。
元イギリス外務大臣ロビン・クックもついうっかり口を滑らせ、アルカイダを次のように称している。
「あれは西の情報機関が計算違いで生み出してしまった怪物だ」
アルカイダの資金源
アルカイダはアメリカの経済や軍事の中枢を狙い、高度で緻密なテロ攻撃を実施するための巨額な資金を手に入れることができた。
ブッシュ家が利益を得ている石油会社などの有名なアルカイダ支持者がアメリカの会社に投資することで、アルカイダのメンバーはアメリカでの資金集めが容易になった。
アメリカ政府のすぐそばに潜伏し、自分たちの作戦がスムーズに展開するよう支援を受けていたのである。
石油会社との関係
アルカイダがアフガニスタンでソ連軍と戦ったとき、彼らを支援していたのはおもにアメリカの石油会社関連の人間だった。
のちにアルカイダはアフガニスタンでのアヘン売買で儲けた大金をアメリカの石油会社に投資した。
対テロ戦争が原油価格に与える影響を考えれば、アルカイダ支援者の本当の目的は単純に金儲けだったとも考えられるのだ。
欧州連合
アルカイダについて詳しく調べていくと、テロ組織のネットワークだけでなく、欧州連合の加盟国とつながっていることに気づくだろう。
とくにドイツの個人や企業、情報機関とあちこちでつながっていることに。
アルカイダが世界制覇に向けて欧州連合のアジェンダに潜り込み、大西洋沿岸のおもなライバル国に揺さぶりをかけている可能性もゼロではないのだ。
ビン・ラディンとCIA
2001年7月1日、イタリアのジャーナリストたちはビン・ラディンがドバイの病院で長年患っていた腎臓の治療を受けたという情報をつかんだ。
ビン・ラディンの入院中に見舞いに来た人物がいたという目撃情報もあり、その中には湾岸国ドバイでCIAの偽装組織として動いている複数の企業と深いつながりのある人物もいたとされる。
この時すでにイエメンやドバイでテロ活動を指揮した罪でビン・ラディンはアメリカの情報機関から指名手配されていたことを考えると、なぜ絶好のタイミングで彼の身柄を確保しなかったのか疑問が残る。
9.11の後、家族は国外へ脱出
9.11事件から2日後の9月13日、アメリカ全土の民間機がフライトを中止した日、サウジアラビア王家とビン・ラディンの家族を乗せたチャーター機がフロリダを飛び立った。
チャーター機はアメリカ軍と馴染みの深い企業が運営する空港を離陸し、ビン・ラディンの家族には情報機関の職員が同伴していたという。
ビン・ラディンの家族はアメリカの敵と見なされるどころか、VIP待遇の大切な友人として扱われており、FBIが彼らを確保する前に政府内の有力者がアメリカから出国させたのだ。
アルカイダはサウジアラビア製?
ビン・ラディンは、強大なコネに恵まれたサウジアラビアの富豪の家庭に生まれた。
9.11以降もサウジアラビア王家の権力と富を利用して、世界中に散っているアルカイダのメンバーを守っている。
一時は、アメリカの傘下に入ったようにも見えるが、もともとはサウジアラビアが生み出した組織で宗教の過激派グループを隠れ蓑にして勢力拡大を続けているのかもしれない。
9.11の犠牲になった元FBI副長官ジョン・オニール
ジョン・オニールは、FBI副長官と対テロ作戦部長を務めていた人物である。
彼は9.11に巻き込まれて亡くなったが、生前つぎのように主張していた。
- ブッシュ政権下の人物の背後にいるアルカイダがアフガニスタンのタリバン政権と不法な取引をおこなっている
- アメリカの巨大石油企業がアフガニスタンを経由し、カザフスタン内陸の広大な油田までパイプラインを敷設する許可を得ようとしていた
核心に迫る者、利用価値のなくなった道具は処分対象ということだろうか。
アイマン・アルザワヒリ殺害
ビンラディンの死後、組織のリーダーを務めていたアイマン・アルザワヒリ氏が2022年7月31日、アフガニスタンの首都カブールで米軍の無人兵器により殺害された。
現在、アルカイダの組織内ではアルザワヒリ氏の影響力はそれほどなかったとされ、彼の死は組織にとってさほど痛手ではないという話もある。
懸念されるのは、リーダーを殺されたことに対する報復活動である。これは自分で撒いた火種で大火事を起こし、自ら消火するというアメリカ産の新たな茶番が起きる前触れなのだろうか。