1990年代後半から2000年代初頭にかけて、「クローン問題」が沸き起こったはずだが、今となってはよく憶えていない。
とある宗教団体は、クローン技術により不老不死を手に入れようとしている。
今回は、クローン羊とクローン人間について簡単におさらいしてみた。
- クローン問題について
- クローン羊とクローン人間について
クローンとは
クローン(clone)とは、同一の起源、遺伝情報を持つ核酸、細胞、個体の集団のことをいう。
語源はギリシャ語で「植物の小枝の集まり」を意味し、本来の意味は「挿し木」である。
これまでクローンにより作り出された生物には以下のようなものがある。
- ウニ
- カエル
- コイ
- ヒツジ
- マウス
- ブタ
- ガウル
- ネコ
- ラット
- ウマ
- イヌ
- オオカミ
- ブカルド(ピレネーアイベックス)
- サル
- ヒト
クローン羊のドリー
1996年、「クローン羊のドリー」が「スコットランドのロスリン研究所」で誕生した。
「世界初のクローン哺乳類の誕生」に科学の大躍進と考える者、人類はついに闇の時代に足を踏み入れてしまったのかと嘆く者など世界の意見は真っ二つに割れた。
名前の由来
ドリーの名前の由来は、アメリカのカントリーミュージックの歌手ドリー・パートンにちなんで名づけられた。
これは「羊のクローン」が「乳房の細胞」で作られたからだ。ドリー・パートンはビブラートの効いた歌声だけでなく、「豊かな胸」でも有名だった。
アメリカ人の中にはドリー・パートンと聞けば、真っ先に「その大きな胸」を思い浮かべる人もいるという。
クローン羊の作り方
羊のドリーは初めて成熟細胞からクローン化に成功した哺乳類である。
ドリーは次の手順で創造された。
- 羊(A)の乳腺から乳腺細胞を取り出し、通常の血清濃度の1/20で培養する。このことによって細胞の全能性が復活する。
- 雌羊(B)の子宮から未受精卵を取り出し、核を除去する。
- 未受精卵に、先ほど処理した乳腺細胞を1つだけ挿入し、電気刺激をかけ細胞融合させる。
- 融合した細胞を代理母の雌羊(C)の子宮に移植する。
ドリーは早老で安楽死?
それからドリーが安楽死させられるまでクローン羊論争はさらに過熱していく。
ドリーはヒツジ肺腺腫と股関節の関節炎をわずらっており、2003年に安楽死させられた。
科学者たちは、クローンに関して以下のような疑問を抱いていた。
- ドリーの安楽死は早老が原因なのでは?
- ドリーと同じ方法で人間のクローンを作ったら子宮内で恐ろしい異常をきたすのか?
- クローン人間が誕生し無事成長したとして、10代のうちに人工股関節置換の手術は必要なのか?
- 18歳までに老年性認知症を発症する可能性はあるのか?
- ドリーは年齢にしては肺疾患(ヒツジ肺腺腫)と関節炎を発症するのが早すぎるので、これは生まれつきの老化が原因ではないのか?
これに対し、ロスリン研究所の科学者たちは以下のように反論している。
ヒツジ肺腺腫
ヒツジ肺腺腫は、牧場の他の羊たちも同じ病気に罹っていたので、クローン化が原因とはいえない。
関節炎
関節炎がクローンのせいなのかどうかは判断できないが、ドリーはゲートを飛び越える時に足にケガを負い、関節炎を悪化させたことは分かっている。
クローン研究は禁止されず
政界でもクローン化を法的に禁止する動きがはじまっていた。
1997年、当時の大統領だったクリントン氏は安全面や倫理面で問題があるとして、今後5年間は人間のクローン研究に連邦予算を充てないことに決めたが、研究自体が禁止されることはなかった。
クローン研究に関しては国連でさえ世界的に禁止すべきかどうかを決めあぐねていた。
史上初のクローン人間誕生のニュース
2002年12月、陰謀論者もビックリするような発表があった。
クローンエイドという企業が「史上初のクローン人間を誕生させた」というのだ。誕生したクローン人間は「イヴ」と名付けられた。
クローンエイド社は、クローン人間を作り出すことを目的として「ラエリアン・ムーブメント」を代表する人物「ラエル」がバハマに登録した会社だ。
新興宗教団体「ラエリアン・ムーブメント」
ラエリアン・ムーブメントは、「人類はエイリアンがクローン技術により創造した生命体」だと主張する宗教団体である。
クローンエイド社のクローン技術を疑う証拠は見つからず
クローンエイド社は、イヴの誕生後も次々とクローンを誕生させていった。
同社の責任者ブリジッド・ボワセリエ博士はクローン化で生まれた子どもの身元を明かさないという条件であれば、DNA鑑定の実施も可能だと述べた。
裁判所のおこなったクローンエイド社の調査や資金援助者に向けておこなった説明によれば、同社のクローン技術のレベルが実現可能なレベル以下であると否定する証拠は見つからなったという。
フロリダ州地方検察局
フロリダ州の地方検察局が調査をおこなった目的は、イブが本当に存在するのかを確かめることではなかった。
特殊な事情で誕生したクローン人間「イブ」が閉鎖された空間で危険にさらされていないか、州が保護する必要があるのかを見極めるためだった。
少なくともフロリダ当局は世界初のクローン人間の存在を確信しているのだ。
ラエリアンが信奉する人類創造の神「エロヒム」とは
「クローン技術を完成させ、人類に不死をもたらすこと」
これは、新興宗教団体「ラエリアン・ムーブメント」が掲げる目標の1つである。
なぜなら、彼らが人類の創造主と崇める地球外知的生命体「エロヒム」もまた、同じ方法で不死を得たからだという。
本来、エロヒムはヘブライ語聖書にも登場する神のことで「ヤハウェと同一視される存在」である。
ラエリアン(信者)の中には、将来的に地球への帰還が予定されているエロヒムと交信していると信じる者もいる。
エロヒムは、永遠の命を追い求める地球の協力者たちに不老不死の魔法「クローン技術」を伝えたのだろうか。
宇宙人大使館の創設
ラエリアン(信者)たちの目標は、クローンで不老不死を手に入れることだけではない。
彼らは「エルサレムの地にイスラエル政府認可の宇宙人大使館」を建てようとしている。
しかし、2035年にエロヒムが地球へ帰還するまでに政府から同意を得ることは難しそうである。
クローン技術の陰には国際金融資本が?
クローン化が完全に成功し、その多大な恩恵を受けるのは「世界の富裕層」や「金融エリート」だろう。
だから、倫理的に問題視されているにも関わらず、この悪魔的な技術の研究が消滅することがないのだ。
経済金融マフィアたちは、実際にクローン人間が誕生したら民衆たちはどのように反応するのか、素直にこの技術を受け入れるのかをクローンエイド社を使ってテストしたのかもしれない。
第4帝国
遺伝学、クローン人間創造の可能性を追求していた先駆者といえば、「ナチスで優生学を研究していた科学者たち」だった。
一部の研究者は、UFOの謎の裏には「第4帝国」が存在すると主張している。
エイリアンになりすまし、月や他の惑星に移住した第4帝国民がラエリアンの信者たちを利用し、クローン研究をやらせているのだという。
オールファーザーズ
世界の裏には、育ちのいい科学者だけのグループ「オールファーザーズ」が存在する。このグループはクローン技術を合法化し、普及させようと企んでいる。
この計画の最終目標は従順な女性クローンを作り、持ち主の男の言いなりにさせることらしい。クローンのメイドは男のために作られ、不要になった女性は強制収容所へ送られる。
この物騒な話は、フェミニストな陰謀論者のあいだで囁かれていた都市伝説であるが、実際問題クローンのメイドよりもAIロボットのメイドが普及する方が現実的な気がする。
あとがき
哺乳類で最初にクローンが作られたのは羊だったが、これにも何か意味があるような気がしてならない。
クローン化の普及で社会問題となっている「不妊」や「臓器提供」、それに絡む「人身売買」などの問題を解決できる。
羊たちが大好きな「権威」を利用してリスクを上回る、ベネフィットを強調すれば、多くの羊たちは沈黙し、支配層は大手を振ってクローン化を実施できるようになる。
より羊らしいのは、すぐ目の前で起きていることの意味さえ考えようとしない人間の方なのだ。
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