不思議な話

バッタ大量発生の原因と進路

2020年も、もう少しで終わる。

今年は、コロナウイルスの感染拡大で国内の話題はもちきりだったが、海外ではコロナウイルスだけでなく、追い打ちをかけるがごとく「サバクトビバッタ」の異常繁殖による被害が以下の地域を襲った。

  • アフリカ
  • 中東
  • 南アジア

今回は、

  • バッタ大量発生の原因
  • サバクトビバッタの特徴
  • バッタの移動ルートと現在地
  • バッタの大群が日本に来る可能性
  • バッタの大量発生と聖書の記述

についてお伝えする。

バッタの大量発生

原因

バッタの大量発生の原因は以下の2つ。

  • サイクロン
  • 新型コロナの影響

サイクロン

2020年のバッタの大量発生の原因の1つは、サイクロンだと言われている。

2018年5月にサイクロン「メクヌ」、10月に「ルバン」が中東アラビア半島の砂漠地帯をサイクロンが襲った。

5月のサイクロン「メクヌ」はアラビア半島南部のブアルハリ砂漠に雨を降らせ、砂丘に多くの湖のような水たまりを作ると、サバクトビバッタが盛んに繁殖した。

これが最初のバッタ大発生である。

その後、10月にはアラビア海中部でサイクロン「ルバン」が発生し、イエメンとオマーンでも雨を降らせた。

アラビア半島に年に2回もサイクロンが上陸するのは異例で、地面がバッタの産卵に適した湿った状態になったことで爆発的に繁殖してしまったそうだ。

新型コロナの影響

2020年に入り、新型コロナが世界中で広まったおかげでバッタの大量発生に拍車をかける。

というのも、新型コロナウイルス対策で各国は、

  • 出入国の制限
  • 移動の制限

をしたことで肝心の殺虫剤の調達も困難になってしまったから。

その結果、殺虫剤を散布できず、バッタの駆除も後手後手にまわった。

また、中東などは紛争中であり、周辺諸国で協力してバッタ駆除などが行えなかったのも被害の拡大に一役買ったようである。

サバクトビバッタの特徴

SGR layingサバクトビバッタ image:wikipedia
和名 サバクトビバッタ
英名 Desert locust
体調 4~7センチ
体重 2~4グラム
体色 緑→(黄色、黒、茶色)

今回、大量発生したバッタは、「サバクトビバッタ」と言い、英語では「desert locust(ディザート・ローキャスト)」という。

このバッタは「世界最古の害虫」とも呼ばれ、旧約聖書やコーランにも登場し、古代から恐れられていた。

また、見た目はトノサマバッタに似ていて、蝗害を起こすバッタの中では大型の部類に入る。

蝗害(こうがい)

蝗害(こうがい、英: Locust plague)は、トノサマバッタなど相変異を起こす一部のバッタ類の大量発生による災害のこと。

出典:ウィキペディア

蝗害は日本で発生することは稀で、漢語の「蝗」という字に「いなご」という読み方がつけられたが、これは誤りである。

また、田んぼに生息するイナゴが蝗害を起こすことはない。

バッタが姿を変える相変異とは

DesertLocust写真(上)孤独相 写真(下)群生相 image:wikipedia

サバクトビバッタは、集団で移動し農作物を食い荒らすワタリバッタの1種だ。

バッタは蝗害を起こす前に、通常の「孤独相」から長距離移動に適した「群生相」に体を変化させる。

これを「相変異」といい、以下の2つのモードがある。

  • 孤独相(個体同士が離れておとなしく生息するモード)
  • 群生相(群れを成して獰猛化するモード)

群生相に変化したバッタの特徴

通常の孤独相から、ファイナルフュージョン承認とも言える戦闘モードでアラモードな群生相の特徴を見てみよう。

群生相の外見上の特徴

  • 孤独相に比べて暗色になる
  • 翅(はね)が長くなる
  • 足が短くなる
  • 頭幅が大きくなる
  • 胸部の上が孤独相は膨らんでいるのに対し、群生相はへこんでいる
  • 触覚の感覚子の数が現象する(顕微鏡で見ると)

などがあげられる。

群生相の行動的特徴

  • 群生相の個体は互いに近づこうとする
  • 孤独相のバッタが群れに入った場合は群生行動をするようになる
  • 孤独相の時には食べなかった植物まで食べるようになる
  • 産卵前の期間が増加し、羽化後の生存日数が減少する
  • 産卵回数と産卵数が減少する

相変異は生まれつき

群生相のバッタにるか、孤独相のバッタになるかは、どちらも生まれつきのものだ。

また、親バッタの遺伝子でも、他の個体のフェロモンの影響でもない。

つまり、親が暮らした集団のバッタ密度(バッタの人口密度)であり、他個体と接触することが原因とされる。

集団生活による他個体の接触が、ある種のストレスを与えるようだ。

集団生活している親バッタからは、群生相の子どもが生まれる。

逆に集団密度が低ければ孤独相の子どもが生まれてくる。

しかし、相変異の実験はまだ続いており、詳しい原因については解明されてない。

バッタの食欲は貪欲か?

サバクトビバッタの底なしの食欲の持ち主で、農業に壊滅的な被害をもたらす可能性がある。

バッタの成虫は自身の体重と同じ量の植物を1日で食べる事ができる。

そして、サバクトビバッタの体重は2グラムでバッタの大群は700億匹に達することもある。

その場合、約13万6000トンもの作物が1日で失われる計算になるのだ。

もっと小さな4000万匹の群れでも、3万5000人分の1日の食料に匹敵する量の植物を1日で食べてしまう。

脅威的である。

バッタの大群の移動ルートと現在地

東アフリカで大量発生したサバクトビバッタは、アフリカ大陸と中東にある紅海を越えた。

単独でいると弱いサバクトビバッタだが、群れるとなぜか形状が変わり、胴が短くなり、足と羽が長くなって、風に乗ると1日100キロの距離を移動できるようになる。

2020年夏のの時点でインドまで来ていた。

バッタの移動ルートは、

東アフリカ

サウジアラビア

イエメン

オマーン

アラブ

へと広がった。

また、サウジアラビアから

イラク

イラン

パキスタン

インド

というルートへと進んでいる。

バッタの大群が日本に来る可能性

Everest kalapatthar cropヒマラヤ山脈 image:wikipedia

東アフリカで発生後、インドに到達し、もはや中国付近まで来ているので、このまま日本にもやって来そうな勢いのサバクトビバッタであるが、どうやら日本までは来ないのではと言われている。

その理由としては、サバクトビバッタが寒さに弱く、ヒマラヤ山脈を越えることができないと予想されているからだ。

ヒマラヤ山脈には世界一高いエベレスト山や、標高7000メートルを超える山々が100以上も存在し、大群になりパワーアップしたバッタでも山越えするのは至難の業ではと考えられている。

中国などが懸念してるのは、海上コンテナなどに紛れ込み、ヒマラヤ山脈以外の経路で侵入されることだ。

バッタ大量発生と聖書の記述

 

バッタの大量発生については、以下の聖書や教典にも記されている。

また、「バッタの大量発生」と「聖書の記述」を結び付けた終末論的な都市伝説も語られていて興味深い。

  • 旧約聖書(ユダヤ教)
  • 新約聖書(キリスト教)
  • コーラン(イスラム教)

古代の時代から人類はバッタの大量発生による被害(蝗害)に苦しめられてきたことが分かる。

旧約聖書の出エジプト記「十の災い」

旧約聖書では、出エジプト記の「十の災い」の中の1つとして蝗害が登場している。

その8つ目の災いは「蝗を放つ」というものだ。

  1. ナイル川の水を血に変える(7:14-25)
  2. 蛙を放つ(8:1-15)
  3. ぶよを放つ(8:16-19)[注釈 2]
  4. 虻を放つ(8:20-32)[注釈 2]
  5. 家畜に疫病を流行らせる(9:1-7)
  6. 腫れ物を生じさせる(9:8-12)
  7. 雹を降らせる(9:13-35)
  8. 蝗を放つ(10:1-20)
  9. 暗闇でエジプトを覆う(10:21-29)
  10. 長子を皆殺しにする(11章、12:29-33)

出典:ウィキペディア

新約聖書の「ヨハネの黙示録」第9章

ばったの大量発生についての記述は、新約聖書では「ヨハネの黙示録」第9章1節から11節までのあいだでバッタ(イナゴ)についての記述がある。

第五の御使いが、ラッパを吹き鳴らした。

すると私は、1つの星が天から地上に落ちるのを見た。

その星には底知れぬ穴を開くかぎが与えられた。

その星が底知れぬ穴を開くと、穴から大きな炉の煙のような煙が立ち上り、太陽も空も、この穴の煙によって暗くなった。

その煙の中から、イナゴ(蝗)が地上に出てきた。

彼らには、地のさそりの持つような力が与えられた。

そして彼らは、地の草やすべての青草や、すべての木には害を加えないで、ただ、額に神の印を押されていない人間にだけ人間にだけ害を加えるように言い渡された。

しかし、人間を殺すことは許されず、ただ五ヶ月の間、苦しめることだけが許された。

その与えた苦痛は、サソリが人を刺した時のような苦痛であった。

その期間には人々は死を求めるが、どうしても見いだせず、死を願うが死が彼らから逃げて行くのである。

そのイナゴの形は、出陣の用意の整った馬に似ていた。

頭に金の冠のようなものを着け、顔は人間の顔のようであった。

また、女の髪のような毛があり、歯は獅子の歯のようであった。

また、鉄の胸当てのような胸当てを着け、その翼の音は多くの馬に引かれた戦車が、戦いに馳せつけるときの響きのようであった。

そのうえ、彼らはサソリのような尾と針とを持っており、尾には五ヶ月間、人間に害を加える力があった。

彼らは、底知れぬ所の御使いを王にいただいている。

彼の名はへブル語でアバドンといい、ギリシャ語でアポリュオンという。

「新約聖書 ヨハネの黙示録 第9章1節-11節」

イスラム教の教典「コーラン」133節

「そこでわれ(アッラー)はかれら(フィルアウン(アラビア語でファラオの事))に、自らの様々な力の明証として洪水やバッタやシラミ、カエルや血などを送った。だがかれらは高慢な態度を続け,罪深い民であった。」[5]

出典:ウィキペディア

こちらは、イスラム教が旧約聖書の記述をアレンジしてコーランに記述したものと考えられています。

あとがき

サバクトビバッタは、「群生相」という獰猛なモードに変身するところが仮面ライダーさながらで興味深い。

また、集団になると狂暴化したり制御不能になったりするところは人間と一緒だ。

生き物という奴は得てして群集心理や同調圧力にハックされやすいということだろうか。

人が人をいじめる時も集団でやるものな。

関連商品


error: Content is protected !!