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【韓国政治と陰謀論②】李承晩大統領の「法殺」陰謀論

この記事では、韓国の初代大統領・李承晩イ・スンマンの「法殺ほうさつ」陰謀論について紹介する。

これは「北朝鮮と共謀して政府転覆を企んでいる」という濡れ衣を着せて政敵(敵対勢力)を排除しようとする陰謀論である。

その目的は現政権の維持、延命である。

進歩党事件と「法殺」陰謀論

李承晩にとって曺奉岩チョ・ボンアム進歩党は敵対勢力として邪魔な存在となりつつあった。そこで北朝鮮のスパイである梁明山と接触し、彼らの統一戦略に同調したという陰謀論をでっち上げた。これが「進歩党事件」である。

逮捕後、起訴された曺奉岩梁明山の二人は最高裁(大法院)で死刑判決を受けると、すぐさま再審を請求するが棄却され、その翌日に死刑が執行された。

この事件は李承晩が司法を利用して政敵(敵対勢力)を排除した冤罪事件であり、法殺(司法殺人)と呼ばれている。

李承晩大統領は4月革命により失脚

その後、李承晩政権の関係者の証言によりこの冤罪事件の真相が暴かれていくことになる。

1960年4月、不正選挙に怒った市民や学生による「4月革命」が起き、李承晩は政権を追われ米国(ハワイ)に亡命し、90歳でその生涯を終えている。

この陰謀論で濡れ衣を着せられ、冤罪により死刑となった曺奉岩氏だが、2011年の再審判決で無罪判決が言い渡されている。

参考:『社会分断と陰謀論 虚偽情報があふれる時代の解毒剤』/文芸社

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