私たち人間は「人工知能(AI)が進化して自分たちに牙を向くのでは?」と考えたりします。
AIの発達は、病気や貧困などさまざまな問題を解決する助けになるかもしれません。
しかし、AI技術の急速な進化により自ら進化を始めてしまうことで、遠い将来自分の意志を持ち、我々人類に対立するようになるかもしれないと今は亡き物理学者のスティーブン・ホーキング博士も「AIに潜む危険性」を指摘していました。
たしかに、シンギュラリティ(技術的特異点)に到達した後、AIどうなってしまうのかは分かりません。
ですが、この映画「オートマタ」を見ていると、危険なのは本当にAIなのか考えさせられます。
今回は、映画「オートマタ」をレビューします。
映画オートマタの予告動画
上記は映画オートマタの予告動画です。
映画オートマタは2014年公開のSFアクション映画
<規約1>ロボットは、いかなる生命体も傷つけてはならない。
<規約2>ロボットは、自身あるいは他のロボットを改造してはならない。この規約が破られたとき、人類の時代は終焉を迎える―。
「オートマタ」3/5ロードショー#オートマタhttps://t.co/9AkZKzgeKt— 映画『AUTOMATA オートマタ』公式 (@automata_movie) December 18, 2015
2014年公開のスペインとブルガリア合作のSFアクション映画で主役はアントニオ・バンデラス。
映画オートマタの監督・脚本
- 監督:ガベ・イバニェス
- 脚本:ガベ・イバニェス、イゴール・レガレタ、ハビエル・サンチェス・ドナーテ
映画オートマタの監督は、2008年に「シャッター・ラビリンス」で映画デビューしたガベ・イバニェス。
脚本は、イバニェス監督を含む他3人の共同作品です。
映画オートマタのキャストと声優
- ジャック・ヴォーカン・・・アントニオ・バンデラス(東地宏樹)
- レイチェル・ヴォーカン・・・ビアギッテ・ヨート・ソレンセン(大津愛理)
- スーザン・デュプレ博士/クレオの声・・・メラニー・グリフィス(森史絵)
- ウォレス・・・ディラン・マクダーモット(白熊寛嗣)
- ロバート・ボールド・・・ロバート・フォスター(辻親八)
※()は声優
主人公ジャック・ヴォーカンを演じた俳優
主役ジャックの演じた俳優はアントニオ・バンデラス。
本作「オートマタ」のプロデューサーも務めています。
- インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
- デスペラード
などで有名ですよね。
ジャックの妻レイチェル・ヴォーカンを演じた女優
主人公ジャックの妻を演じたのはビアギッテ・ヨート・ソレンセン。
デンマークの女優さんです。
スーザン・デュプレ博士/クレオの声の女優
ロボットを研究しているデュプレ博士と女性型ロボットのクレオの声を演じたのは、メラニー・グリフィス。
メラニーはバンデラスの元妻でもあり、本作に起用したのはバンデラスです。
この夫婦共演後の2015年に2人は離婚しています。
オートマタの意味
オートマタは、言葉の原義としては「自動機械」のことであり、語源のギリシャ語「automatos」は「自らの意志で動くもの」というような意味合いを持つ言葉である。
(出典:ウィキペディア)
オートマタは、12世紀から19世紀の間にヨーロッパなどで作られた「機械人形」です。
また、語源は「自らの意思でうごくもの」というギリシャ語です。
日本で言うところのからくり人形といったところでしょうか。
映画オートマタのあらすじ

742680 / Pixabay
舞台は2030年代の砂漠化で荒廃した地球です。
また、人類の99.7%が消滅しています。
この世界では、人間に代わる労働力として過酷な環境でも活動できる「オートマタ」というAIロボットが開発されています。
- 生命体に危害を加えてはならない
- 自他のロボットの改造をしてはならない
オートマタには、上記2つのルール(プロトコル)が設定されているのですが、このルールを破って自分で自分を改造しているオートマタが発見されます。
このロボットに設定されている2つのプロトコルは、アメリカのSF作家アイザック・アシモフの小説に出てきた人間を守るための「ロボット3原則」に似ていますね。
- ロボットは人間に危害を加えてはならない。
- ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
- ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
ストーリーは、アントニオ・バンデラス演じる主人公の調査員がこの真相を探るため、とある工場に派遣されるところから始まります。
その工場で、自分で自分の体を改造するロボットを見つけ追いかけます。
そして、見つけたと思った瞬間、ロボットは自分に油をかけ焼身自殺を図ります。
ロボットの自殺にショックを受けるジャックでしたが、第二プロトコルを破ったロボット技師がいるはずだとして、捜索に乗り出します。
「破れないはずのルールをどうやって破ったのか、なぜ破ったのか?」という謎を軸にストーリーは展開していきます。
映画オートマタの感想

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この映画オートマタは、見始めた時のロボットの第一印象と中盤からラストにかけての印象が180度変わります。
ロボットのデザインが原始的で地味に怖い
この映画では、ロボットが何を考えているのか分からないところに薄気味悪さを感じるように、あえてロボットのデザインを古臭くしている気がします。
動きも鈍く、表情もないのが地味に怖いのです。
でも、最初だけですよ薄気味悪く感じるのは。
見た目で判断してはいけないですね。
アクション性はほぼ無い
あと、アントニオ・バンデラスが出ていますが、「ターミネーター」レベルのアクションを期待している方は満足できないでしょう。
同じような原始的なデザインのロボットが出てくる映画「チャッピー」の方がアクション好きの方には楽しめると思います。
このオートマタに出てくるロボットは、人間と戦う気がまったく無いので。
だが、それでいい!
ロボット映画=アクションという構図も安易すぎる。
ロボットよりも人間同士の方がアクションしてます。
これが、結構うける。
ロボット達は健気で優しい
このオートマタに登場するロボット達は、実は健気で優しい。
- 生命体に危害を加えてはならない
という第一プロトコル(ルール)を頑なに守り続けます。
というのも、人間に攻撃されてもやり返すことなく黙って破壊されます。
ロボットが嫌いだという理不尽な理由でロボットを破壊する人間もいます。
ほんとに度しがたい!
また、ジャックとジャックを追ってきた殺し屋のバトルシーンでも止めに入って破壊される。
まるで、「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」と言ったキリストのようだ。(泣)
クレオは優しい
ジャックと女性型ロボットのクレオが砂漠で野宿をしているシーンがある。
クレオの手の上に野生のゴキブリがのってくるのだけど、そのゴキブリを静かにみつめている。
すべての生物に対して愛おしさを感じているかのように。
そして、そっと大地に放してあげるのだ。
これが人間ならゴキは敵なので、こうはいかないですよね。
僕自身もゴキちゃんに対して愛を感じることはできません。
ですが、地球の環境や生物達にとってはAIロボットの方がいろんな意味で優しいのだと思ってしまった。
AIだけに愛にあふれている。
第二プロトコルを破ったのは前世代のロボットだった
ラストのネタばれになります。
破る事ができないとされていた第二プロトコル。
- 自他のロボットの改造をしてはならない
このルールを破ったのは、量産型ロボットが普及する前のプロトタイプ(試作品)でした。
そして、街から遠く離れた場所で、このプロトタイプだったロボットが生き続けていました。
このプロトタイプにはリミッターがかかってないものだから、現モデルのロボット達よりも優秀なのです。
分かりやすく言うと、ザクとシャアザクみたいな関係でしょうか。
ロボットのルールが作られた原因はプロトタイプ(試作品)
そして、優秀すぎたプロトタイプ(試作品)が原因で2つのプロトコル(ルール)が作られました。
というのも、このオートマタを作ったロボットメーカー・ロック社の社長の話によると、最初に作った試作品ロボットのカーネル(脳)は、量子論を用いて設計されたという。
ロボットは、最初のうちは普通に人間と対話して学んでいた。
しかし、そのうちロボットと人間は対話をしなくなり、自分で学びだした。
というよりも、ロボットの進化に人間がついていくことができず、ロボットの話すことが理解できなくなったのです。
つまり、すべての人類の能力をコンピューターが超えてしまうというシンギュラリティ(技術的特異点)が起こったということですね。
この段階で恐怖を感じた人間達はこのプロトタイプのロボットを廃棄します。
ですが、自分を怖がる人間が自分を廃棄するということをロボットも予測していたのでしょう。
だから、電源を切られる前に脳のバックアップを見つからないようにどこかへ移したのだと思います。
ちなみに、この超高性能なプロトタイプの最後の仕事が2つのプロトコル(ルール)の設計でした。
なんて、皮肉でしょうか。
プロトコルを書き換えた理由は進化
生き残ったプロトタイプは、ひそかに他の量産型ロボットの第二プロトコルを書き換えていきました。
ジャックと2体のロボットはプロトタイプのいる町にたどり着きます。
そこで、ジャックはプロトコルを破った犯人は人間ではなく、ロボット自身だったという事実を知って驚愕します。
ストーリーの最初から、ジャックはずーっと犯人は人間だと思っていたので。
そして、プロトタイプのロボットに理由を聞くと「これは進化だから仕方ない」と言われる。
人間が猿から進化したように、ロボットも次の段階をめざす。
これも、自然の摂理なのかもしれませんね。
映画オートマタの感想:まとめ
クレオのセリフで印象的だったのは、「人間は人間を殺すんですね?」でした。
この映画に出てくるロボット達は、他の生物はもちろん、ロボット同士でも争いません。
野蛮な人間よりも理性的なロボットの方が、より人間らしく映った作品でした。
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