毎年、冬になると「インフルエンザ」や「ノロ」などのウィルス感染についてのニュースでもちきりになりますが、実はこの「ウィルス感染」と「細菌感染」は性質も構造もまったく違うものだって知っていますか?
この記事では、似ているようで似てない、まぎらわしい「ウィルス」と「細菌」の違いについて簡単に解説します。
細菌はれっきとした遺伝子をもつ生物

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「大腸菌」や「サルモネラ菌」、「コレラ菌」などの細菌の大きさは、1マイクロメートルで人の細胞の約10分の1です。
細菌は自分で増殖するための酵素や遺伝子をもっているれっきとした生物で人体に侵入すると細胞分裂を繰り返し自己増殖をはじめます。
抗生物質は細菌の細胞膜を破壊するもの
細菌に感染した時に使用する抗生物質は、細菌の細胞膜を破壊し細菌の自己増殖を止めるためのものです。
風邪や「インフルエンザ」を治すのに抗生物質は効かない?
よく、「風邪をひいたから抗生物質を飲ませたい」という人がいます。
ですが、風邪の感染は80%~90%がウイルス感染で引き起こされるため、抗生物質は効かず特効薬もありません。
ですから、治療法は「咳止め」、「鼻水止め」、「解熱剤」などを服用して、症状を和らげる対症療法のみです。
ウイルスを倒すのは免疫の働き
風邪やインフルエンザは、「ウイルス」のため、抗生物質はおろか、治療するための特効薬はありません。
風邪を治療するには、いかに本人の免疫能力を高められるかにかかっています。
風邪を治療するポイントは以下の2点です。
- 栄養満点の食事をとる
- 安静にして体力回復
昔から言われていることですが、これに尽きると言えます。
ウイルスは生物であり非生物でもある不思議な存在

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ウイルスの大きさは、更に小さく「10ナノメートル」で細菌の100分の1ですから、確認するためには電子顕微鏡を使用します。
また、ウイルスは生命の最小単位である細胞や細胞膜を持たないので、人間の細胞に侵入しなければ増殖することができません。
これが、ウイルスが生物ではなく非生物と言われるゆえんでもあります。
また、治療に使う抗ウイルス薬は、細胞の中でウイルスが増殖するのを抑える働きがあります。
抗ウイルス薬はウイルスだけでなく人の細胞も破壊するおそれがある
ウイルスによる感染症の治療には、抗ウイルス薬を使用します。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、いわゆるエイズのワクチンも同じ仕組みで出来ています。
ただし、抗ウイルス薬は、「ウイルス」だけでなく「人の細胞」も一緒に破壊することがあるため抗生物質に比べると開発が難しいと言われています。
細菌とウイルスの違いのまとめ
細菌とウイルスの違いについて、簡単にまとめてみました。
細菌とウイルスは目に見えないほど小さな存在のため一括りにしがちですが、構造や性質が違うため治療薬や対処法が異なります。
これから、「ウイルス感染」による風邪やインフルエンザの活発になる季節がやってきますが特効薬がないので、やはり日頃からの「手洗い」や「うがい」などの基本的な予防が大切ですね。
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